大雪による停電でIP電話不通 孤立した集落で住民の安否確認できず

冬型の気圧配置と強い寒気の影響で,2014年12月5日から6日にかけて西日本の山沿いなどでまとまった雪が降った。徳島県では倒木などで山間部の道路が通行できなくなり,徳島県庁によると,三好市,つるぎ町,東みよし町で最大876世帯・1,550人が孤立した。四国電力によるとこれらの地域を含む3,373世帯が停電,完全に復旧するまで1週間を要した。

徳島県では,テレビの地上デジタル化による難視対策などのため,平成14年から山間部でケーブルテレビ用の光ファイバー回線の整備を推進した。この回線を利用した「IP電話」や,緊急情報を聞いたりボタンを押すだけで自治体に安否を報告したりできる屋内型の「音声告知端末」も各家庭に広く普及している。

徳島県によると,今回の大雪で集落が孤立した3つの市町では全世帯の8~9割がIP電話を導入していたが,停電でIP電話や音声告知端末が使えなくなった。携帯電話を持たない高齢者世帯も多く,大雪に阻まれ戸別訪問もままならず,停電の長期化で孤立地域の住民の安否確認が困難な状態が続いた。徳島県では今後,地域ごとに衛星携帯電話や防災無線を整備するほか,各家庭でも予備のバッテリーなどを準備するよう啓発していくという。

今回はIP電話が注目されたが,NTTの加入電話でもコンセントから電源を取っている多機能型電話機は停電時には使えなくなる。総務省は今回の徳島県のケースを踏まえ,電源を必要とする通信機器は停電時に使えなくなることを業界団体や自治体を通じて改めて周知することにしている。

入江さやか

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