「絶版」状態の放送アーカイブ 教育目的での著作権法改正の私案

公開:2022年6月1日

教育のICT活用が本格化する中、放送局に保存される膨大な数の放送アーカイブを、授業等で利用するニーズが高まりつつある。本稿の主眼は、放送局等から教育機関に放送アーカイブを提供するうえで課題となる権利処理の問題に注目し、著作権法の新たな権利制限規定の私案を提示ながら、その妥当性を検討することにある。私案は、放送アーカイブのうち権利処理が難しく、一般の市場で入手困難なものを、「絶版」として再定義し、それらを授業等の目的と限定的な範囲での配信であれば権利制限とするものだ。国際的な手法「スリー・ステップ・テスト」にもあてはめ検討し、私案の妥当性を確認した。併せて検討した拡大集中許諾制度の効果と課題も示す。また、仮に私案が実現しても、学校のネットワーク環境や認証システムなど、ほかにも課題はある。しかし、それらの課題を克服すれば、放送アーカイブが多くの社会的ニーズに貢献する可能性を指摘する。

メディア研究部 大髙 崇

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