『テラスハウス』ショック①

~リアリティーショーの現在地~

公開:2020年10月1日

2020年5月、フジテレビ系列で放送されていたリアリティーショー『テラスハウス』に出演中の22歳の女性プロレスラーの木村花さんが亡くなった。SNS上で番組内容をきっかけとした誹謗中傷を受け、自ら命を絶ったとみられている。
そもそもリアリティーショーとは、定義もスタイルも曖昧な番組群である。おおよその共通項からまとめると、「制作者が設けた架空のシチュエーションに、一般人や無名のタレント等を出演させ、彼らの感情や行動の変化をひき起こす仕掛けを用意し、その様子を観察する番組」といった所か。欧米を中心にここ20年で増え、最近は有料動画配信サービスでも提供されている。
しかし、リアリティーショーは誕生当初から、出演者の心を"虚実皮膜"の状態に長時間置くストレス、出演者に葛藤を与えるような仕掛けをする"社会実験"的な側面、視聴者が出演者の様子を"のぞき見"する倫理的課題が指摘され、欧米では多くの出演者の自殺が報告される等社会問題となっていた。近年はSNSの普及で、出演者はより誹謗中傷を受けやすい環境に置かれ、対応の必要性が叫ばれていた。
花さんの死のような痛ましい問題が繰り返されないため、メディア研究の分野では何を考えていくべきか。本稿は1回目として、そもそもリアリティーショーとはどんな番組を指し、なぜここまで発展してきたのか、これまで指摘されてきた課題はどのようなものだったのかを考察する。

メディア研究部 村上圭子

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