令和元年台風19号における住民の防災情報認知と避難行動調査報告②

~宮城県丸森町の中小河川氾濫と石巻市の浸水被害~

公開:2020年9月1日

「令和元年台風19 号(東日本台風)」は,2019 年10月12日に伊豆半島に上陸し,東日本を中心に記録的な豪雨をもたらした。NHK 放送文化研究所では,台風19 号で顕著な被害を受けた長野県長野市,宮城県丸森町・石巻市,福島県本宮市・いわき市の5つの自治体において,浸水の被害が出た地域の住民3,000人を対象に,郵送法による世論調査を実施した。本稿では,このうち,宮城県丸森町と石巻市の調査結果をみていく。
丸森町では、町内を流れる3つの中小河川川が決壊するなど、宮城県内で最も人的被害の大きかった自治体である。回答者の75%が「避難勧告」を認知していたものの、自宅を離れて立ち退き避難をした人は17%にとどまっていた。浸水するとは思わずに自宅にとどまった人が多く、中小河川の水害リスクの周知の必要性が明らかになった。
一方、石巻市では河川の氾濫はなかったが、内水氾濫で約1万棟が浸水した。調査では、回答者の5割が自宅の浸水を想定していた。風雨の激しい時間帯には無理に避難をせず、自宅の2階などに「垂直避難」をして、水が引くのを待った人が多かったとみられる。東日本大震災による地盤沈下により、たびたび浸水に見舞われていることが、こうした避難行動の背景にあると考えられる。

メディア研究部 入江さやか

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