欧州"公共サービスメディア"のデジタル戦略

~そのオンライン・サービス構想の展開と課題~

公開:2019年5月1日

現在世界的にメディア消費のモバイル化が進み、またGAFAなどのグローバルIT企業によるAI、ソーシャル・ビッグデータ解析等の次世代基幹技術のメディア市場への導入が、メディア環境と人々のコミュニケーション形式を劇的に転換させている。そうした中、世界的に公共放送の「放送」と「オンライン・サービス」のシェアが低下し続けており、特に若年層で加速している。こうした事態は公共放送の基本的な公共サービスの履行を困難にしている。一方EU各国の公共放送はこうした変化に対応するため、10数年前から「公共サービスメディアPublic Service Mediaへの転換を試み、公共サービスへの新たなテクノロジーの導入を進めてきた。しかし現在欧州PSMは、GAFA等のグローバルな市場支配、技術的独占などの影響によって、新たな技術的イノベーション、サービス開発の停滞を余儀なくされており、欧州放送連合(EBU)などはこうした状況に対し、強い危機感を表明している。本稿では現在のNHKの「公共メディア」化の先行例である欧州PSMが、現在直面する課題とそれらへの対応戦略、イノベーション構想を、「EBU:戦略目標2017」などの資料を基に確認し、その上で欧州PSMのイノベーション構想に内在する「可能性」と「限界」について検証する。最後にPSMのイノベーションの未来像について、若干の考察を試みる。

メディア研究部 伊吹 淳

※NHKサイトを離れます

全文を見る PDF(1,349KB)

英文サマリー