アーカイブ利用研究には3つのフェイズがある。(1)収蔵された番組群を視聴することで、そこに映し出された社会的な背景を理解するレベルからはじまり、次に、(2)シリーズまたはテーマごとに番組群の相互関係を明らかにし、通時的・共時的にマッピングをする。最後に、(3)アーカイブ編制に再帰的な視線を向け、保存主体である放送局の編集傾向を知る。これら3つのフェイズで過去を探索することによって、どんな未来を遠望していたかがわかるのである。
今回は、シリーズ「ある人生」に描かれた人物とその時代背景を探り、その周辺のシリーズである「日本の素顔」、「現代の映像」などを相互にタグづけし、「ある人生」が高度経済成長期にどのような取材領域を切り拓こうとしていたか、そして、どんな未来の入り口に立っていたかを考える。