調査研究ノート

公共放送による360°映像のVR配信の意義

~2020年とその先に向けて~

公開:2017年10月1日

VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)は放送に何をもたらすのでしょうか?次世代通信規格5Gが導入される2018年平昌、2020年東京のオリンピックでは、VR配信によって、スポーツ中継が大きく変わろうとしています。その時、公共放送サービスは、どうあるべきか。IT、通信業界と世界の公共放送の最新動向から読み解きます。

NHKは、2015年からVRジャーナリズムに取り組み、NHK VRをネット上で運用しています。2017年6月には、ドキュメンタリー番組『トランプワールド』で、世界初となる放送と同期させた360°映像のVR配信を行いました。視聴者は、放送を見ながらスマホを上下左右に動かすことで、テレビ画面の外側につながる世界を360°体験。TVの新しい見方を提案したのです。

一方、世界の注目が集まるオリンピックでも、VR元年と呼ばれた2016年のリオ大会からオリンピック放送機構(OBS)が、360°VR配信を開始。5Gが導入される平昌、東京大会は、世界的IT企業や通信キャリアがオリンピックスポンサーとなり、多視点や自由視点などより高度なVR配信に乗り出そうとしています。また、放送のネット配信が一般化した欧州やIP通信と親和性が高いATSC3.0という次世代放送規格を導入し2017年に4K地上波放送に踏み出した韓国といった世界の公共放送もネットをベースとしたVR配信に乗り出しています。通信ベースのVR配信は、新しい公共放送サービス、公共メディアサービスとなるのか考えます。

メディア研究部 山口 勝

※NHKサイトを離れます

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