NHK放送文化研究所では2016年度、特別支援学校(小学部)教師と特別支援学級(小学校)教師を対象とするメディア利用と意識に関する調査を実施した。
「テレビ受像機」や「パソコン」などのメディア機器と、これらの機器を授業で利用するにあたって重要なインターネット環境についてみると、一定の環境が整っていること、「ラジオ・CDラジカセ」がよく利用されていることがわかった。また「タブレット端末」の利用が教師にも児童にも広がっているのが特徴的であった。機器操作が「パソコン」より容易であり、子どもの学習を拡げる有効なツールであるためであろう。
メディア教材の利用についてみると、「自作教材」「音声教材」「ネット上のコンテンツ」の利用が大きなウエイトを占めていた。また、「NHK学校放送番組」またはインターネットのサービス「NHKデジタル教材」の利用については、特別支援向けの番組だけでなく、幼児向けの番組や、理科・社会などの教科番組など、さまざまな分野の番組の利用がみられた。全体としてみると、特別支援の現場では担当している児童の障害種に合わせて授業の進め方や授業の形態を変えており、その場に適したメディア教材を選択して利用していることがわかった。
もともと特別支援の現場では、「一人一人に応じた指導の充実」が重視されてきたが、タブレット端末の広がりとあわせて、個人の状況に合わせた学習者中心の取り組みが進み始めているといえる。