多様化が進む教室のメディア環境と教師のメディア選択

―2014,2015年度「教師のメディア利用と意識に関する調査」結果からー

公開:2017年1月30日

電子黒板やタブレット端末などの新しい機器が全国の教室に入りつつある。その画面にはデジタル教科書やNHKの教育サービスNHK for Schoolをはじめとするインターネットのコンテンツが映し出され,教師や子どもたちに日々利用されている。2010年度以後,加速化する「教育の情報化」は教室の姿や授業の進め方を確実に変えつつある。

NHK放送文化研究所ではこうした教室の姿をとらえるため,教師を対象としたメディア利用と意識についての調査を2013年度から実施している。これは1950年から2012年まで60年余にわたって全国の「学校」を対象として定期的に実施してきた「学校放送利用状況調査」を,「教師」を対象として調査の方法・内容を新たにしたものである。変容する教育現場のニーズをより的確・詳細に把握して,今後の教育サービスのあり方のデータを得ることを目的としている。

本稿は,既発表の小学校教師(2014年度)と中学校教師(2015年度)の調査結果を新たな視点で分析した報告である。小学校教師,中学校教師それぞれについて,年代や担当学年・教科という属性による分析と,「デジタル機器に対する意識」と「授業を進める考え方」という意識による分析を行い,さらに小学校教師と中学校教師のメディア利用と意識の比較を行った。

分析からみえてきたことは,同じ小学校教師,中学校教師でも,担当している学年や教科によってメディアの利用の仕方は多岐にわたるということである。授業で扱う内容にあわせて必要なメディアを選択して利用しているのである。また年代による利用の差もみられた。全体に若い年代ではネットワーク型のいつでもどこでも使えるメディア教材の利用が多く,年配の教師ではパッケージ型で,ネットワークに依存せず安心して利用できる教材の利用が多いという傾向がみられた。

さまざまなメディアが利用できる一方,利用にあたっては事前の準備と機器やソフトウェアに対する知識も求められる環境の中,教師たちがどのようにメディアを教育に活かしていこうとしているのかをみていく。

メディア研究部 宇治橋祐之

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