問われる放送界の倫理観

—BPO検証委 検証事例から—

公開:2009年1月30日

関西テレビが制作し,フジテレビ系列で放送された『発掘!あるある大事典Ⅱ』の納豆ダイエット編で,実験結果などの「ねつ造」が発覚して社会問題となり,日本放送協会と日本民間放送連盟は不祥事に関わる自律機能を強化するため,2007年5月に第三者機関として「放送倫理検証委員会」を設置した。
この小論では,委員会が2007年と08年に審理と審議を行った『みのもんたの朝ズバッ!』の不二家不祥事報道,『報道ステーション』のマクドナルド元従業員制服証言報道,光市母子殺害事件の差戻し控訴審に関する一連の報道,の3事案を取り上げ,いまの日本の放送界が抱える放送倫理上の問題点を検証した。
『みのもんたの朝ズバッ!』では,告発発言に対する不十分な取材などが原因で,不祥事を起こした会社を一方的に断罪する番組司会者のコメントにつながったこと,曖昧な内容のお詫び放送だったにもかかわらずテレビ局と抗議していた会社が和解したこと,などが問題点として指摘された。『報道ステーション』では,不祥事を告発した元従業員に,勤務していた当時の制服を着させてインタビューした演出が不適切であったこと。光市母子殺害事件の差戻し控訴審報道では,刑事裁判に対する前提的知識の不足などが原因で,被害者遺族の感情が強く前面に出て,被告・弁護団が悪者扱いとなり,裁判報道の公平性に問題が生じたことなどが指摘された。
これらの事案を通じて,放送倫理に関する不祥事の再発防止の課題として,制作担当者のプロフェッショナル意識の向上,現場の意識改革,番組の外部委託制作条件の改善などが浮かびあがった。

メディア研究部 奥田良胤

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