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研究発表・シンポジウム

2014年 春の研究発表とシンポジウム

テレビとメディアの“現在地”~伝えてきたもの、伝えていくもの~
実施報告
3月12日(水)、13日(木)、14日(金) 千代田放送会館(千代田区紀尾井町)
参加者数合計 のべ938人(3/12…489人 ,3/13…314人 ,3/14…135人)
3月13日(水)
研究発表幼児のテレビ視聴時間は、なぜ減ったのか ~幼児の生活時間と視聴率の調査から~
報 告
安楽 裕里子 (NHK放送文化研究所 研究員)
幼児のリアルタイムのテレビ視聴時間が、長期的に減少している要因は何か、2013年に実施した「幼児生活時間調査」と「幼児視聴率調査」の2つの調査結果のデータを10年前と比較して、その背景を探りました。
幼児の生活時間の変化や、保護者のテレビ視聴時間の減少、母親(保護者)の意識の変化、また子ども向け番組の編成の変化や、進化するメディアの影響など、さまざまな視点から分析して報告しました。

*調査結果の報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2013年10月号11月号に掲載されています。

研究発表テレビは人や社会をどのように“つなぐ”のか ~テレビ視聴とコミュニケーションの関係~
報 告
西 久美子 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
テレビは人と社会とのコミュニケーションをはかるうえで、重要な役割を果たしていますが、人々のメディア環境が多様化する中で、テレビがもたらす“つながり”の形にもさまざまなものが考えられます。
2013年11月に実施した世論調査の結果をもとに、視聴者がどのような「つながり感覚」を持っているか、5つのグループに分けてその構造に迫りました。

*調査結果の報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2014年6月号に掲載する予定です。

シンポジウムテレビの未来  ~変容するメディア空間で何が求められるのか~
パネリスト
小杉 善信  (日本テレビ放送網(株)取締役 専務執行役員)
今谷 秀和 ((株)電通関西支社テレビ局 局次長)
片岡 秀夫 ((株)東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 プロダクト&ソーシャル・インターフェース部 部長)
吉沢 章 (NHKメディア企画室 室長)

報 告
松本 和也 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
司 会
村上 圭子 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
シンポジウムでは、放送と通信の連携による新サービスが放送やテレビの新たな価値を創造するのか、役割の強化につながるのかを議論しました。セカンドスクリーンやハイブリッドキャスト、スマートテレビなどの新サービスは現時点では視聴者の認知も利用も低く、ビジネスモデル構築には長い道のりがあることが確認されました。また、同時再送信や時差再生、見逃し無料といった、海外では行われているサービスがなぜ日本では進まないのかについても議論され、視聴者の利便性とビジネスモデルの両立の難しさが伺えました。

*シンポジウムの採録は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」 2014年7月号に掲載する予定です

3月14日(木)
研究発表急速に普及する中国のネット動画サイト
報 告
山田 賢一 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
田中 則広 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
中国ではここ数年、ネット動画サイトが若者を中心に急速に普及しました。当初は海賊版が横行していましたが、知財保護の体制整備が進み、海外コンテンツも正規流通が主流になりつつあります。
その中で映画やテレビドラマなどの版権の落札競争が起きましたが、ネット上のコンテンツは課金が難しく収入は広告頼りのため、今も恒常的な赤字体質に苦しむ企業がほとんどです。
経営改善に向け、業界シェアで1位と2位の事業者が合併するなど、再編・淘汰の動きも既に始まっています。中国ネット動画サイトの現状と課題、それに日本のコンテンツ事業者がどう対応しているかについて、北京での現地調査を中心に報告しました。

*調査結果の報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2014年3月号に掲載されています

研究発表『中学生日記』資料が語りかけるもの
報 告
宮川 大介 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
田代 匠子 (NHK放送文化研究所 アーキビスト)
番組制作の過程では、番組の企画提案票や台本、スタジオセットの図面、さらに広報用の資料など、さまざまな資料が生み出されていきます。
映像記録としての放送番組の収集・保存が進む一方で、文書中心の番組制作資料は収集・保存の対象になってきませんでした。
今回の発表では、2012年8月に名古屋放送局から移管した長寿番組『中学生日記』の番組制作資料の収集・保存活動を報告し、資料をアーカイブ化することによって、番組の社会的・歴史的位置づけの検証が出来ることなどのメリットを紹介しました。
研究発表「日本人の意識」40年の軌跡  ~最新の調査結果とコウホート分析~ 
報 告
荒牧 央 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
解 説
中村 隆 (統計数理研究所 研究主幹・教授)
「日本人の意識」調査は、日本人のものの見方や考え方を長期的に追跡するため、1973年から5年ごとに行っている世論調査です。
2013年の調査結果のポイントや40年間の変化について報告した後、時系列データの変化から時代・年齢・世代の3つの影響を分離する「コウホート分析」について統計数理研究所の中村隆教授に解説していただき、日本人の意識変化の背景を探りました。

*『日本人の意識』2013年調査の結果報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2014年7月号,8月号に掲載する予定です。

研究発表震災後、日本人は災害とどう向き合っているか  ~防災に関する世論調査から~
報告
河野 啓  (NHK放送文化研究所 主任研究員)
政木 みき  (NHK放送文化研究所 専任研究員)
コメンテーター
室崎 益輝 (兵庫県立大学 防災教育センター長)
村上 広志 (復興に取り組む被災者)
司 会
岩本 裕 (NHK放送文化研究所 副部長)
震災から3年を機に全国と東北の被災3県で実施した世論調査について、専門家や復興に取り組む被災者とともに考えました。
大多数が「復興は進んでいない」とした調査結果については「いまだ深刻な被災地の状況に関心を持ち続けることが必要」との意見が出されました。また、震災前より社会貢献を志す人が増えたという結果に関連し、「ボランティアの中には生き方すら見直した若者もいた」という事例が紹介されました。
最後に、超高齢社会の災害への備えを議論し、避難や情報入手に不安がある高齢者を地域で見守る重要性が指摘されました。

*調査結果と分析は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2014年4月号に掲載されています。

3月14日(木)
特別セッション“ソーシャル”が生むテレビ視聴熱?!   ~あまちゃん現象が投げかけたもの~
パネリスト
木俣 冬 (文筆家)
藤田 真文 (法政大学社会学部 教授)
鈴木 謙介 (関西学院大学社会学部 准教授)
武田 隆 ((株)エイベック研究所 代表取締役)
大加 章雅 (NHK制作局 第2制作センター長)

報 告
二瓶 亙 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
司 会
関口 聰 (NHK放送文化研究所 専任研究員)
連続テレビ小説『あまちゃん』が巻き起こしたブーム=「あまちゃん現象」とは何だったのか。放送文化研究所で行った世論調査やソーシャルリスニングの結果を報告しながら、『あまちゃん』の持っていた魅力、いま視聴者が求めているもの、テレビとソーシャルメディアの関係、ソーシャルメディアで交わされるコミュニケーションをどう読み解いていけばよいか、など多岐にわたる論点について議論しました。


*調査結果と分析は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2014年3月号に掲載されています。
 また、セッションの採録は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」 2014年6月号に掲載する予定です