放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    英BritBox,国内サービスを開始

    イギリスの地上商業テレビ最大手のITVと公共放送BBCが共同で運営する,有料の動画配信サービスBritBoxの国内向けサービスが,11月7日に開始した。月額5.99ポンド(約850円)で,ITVとBBCのドラマを含む娯楽番組のほか,2020年からは,Channel 4と映画専門のFilm4の作品も提供される。イギリス国内で先行するアメリカのNetflixやAmazon Primeに対抗するサービスととらえられてきたが,ITVの幹部は,Netflixのグローバルな展開と作品群に対し,BritBoxはイギリスの作品に特化したサービスであり,Netflixらとは補完関係だと語っている。

    英BBCとITV,「世界障害者の日」にイベントを共催

    イギリスの公共放送BBCと地上商業テレビ最大手のITVは共同で,12月3日の「世界障害者の日」に,テレビ業界のオンスクリーン(出演)・オフスクリーン(制作)への障害者の参画促進をテーマに,イベントを主催した。Channel 4やChannel 5,衛星放送のSkyも参加し,業界あげて障害者のテレビ業界参画の課題を議論した。2017年のイギリスの障害者は労働人口全体の18%だが,出演者は6.8%,制作現場は4.5%にとどまった。テレビ業界は2020年内にこれらの割合の倍増を目標に掲げている。

    仏,公共放送Radio France,299人合理化へ

    公共放送Radio Franceの執行役員会は11月14日,職員約4,600人の6.5%にあたる299人の合理化案を公表した。それによれば,今後3年間に希望退職を募るなどして41の技術職員のポストを削減する。これらの対策によって,政府が要求している6,000万ユーロ(約72億円)の経費削減を2022年度中に実現するとしている。一方,新たに76のポストを増やし,このうち50のポストはデジタルサービスの強化・刷新にあてるとし,放送と通信の融合が進むメディア環境の変化にも対応しようとしている。

    独放送負担金,2021年から値上げの方針

    ドイツの公共放送の主な財源である放送負担金の改定について提言を行う独立委員会KEF(公共放送財源需要審査委員会)が,2021〜24年は1世帯あたりの月額を0.86ユーロ(約100円)値上げし,18.36ユーロ(約2,200円)と答申する方針であることが,11月中旬明らかになった。公共放送は,2019年4月,4年間の経営計画をKEFに提出し,要望額を月額19.2ユーロとしていたが,KEFは支出の削減が可能と判断し,値上げ幅を抑えた。公共放送の職員給与が公務員と比べて高いことを指摘し,人件費の削減も求める方針。正式な答申は2020年2月の予定。

    独公共放送ARDとZDF,番組配信サイト連携

    ドイツの公共放送ARDとZDFは11月16日,それぞれの番組配信サイト「ARDメディアテーク」と「ZDFメディアテーク」を連携させると発表した。例えば,ARDメディアテークでZDFの番組を検索すると,ZDFメディアテーク上の視聴用画面へのリンクが表示されるようになる。またARDとZDFは将来的に,利用者が1つのアカウントで両方のサイトを利用できるようにすることも計画している。

    伊政府,次世代テレビ購入への助成を開始

    イタリアの放送・通信を所管する経済発展省は11月19日,次世代テレビ方式DVB-T2/HEVCへの移行に伴い,一般家庭に向けた受信機購入の助成を12月18日から開始すると公表した。助成の対象は年収2万ユーロ(約240万円)以下の社会保障優遇世帯で,新方式に対応した受信機を購入する際,1回に限り1世帯あたり最大50ユーロ(約6,000円)が販売店で割引される。助成は2022年12月31日まで続けられ,3年間で合計1億5,100万ユーロ(約180億円)の財源が計上されている。

    アイルランドRTÉ,5か年経営計画を発表

    アイルランドの公共放送RTÉは11月6日,2020〜24年の5か年経営計画を発表した。ローカルスタジオの閉鎖やデジタルラジオの廃止,また双方向サービスRTÉ Aertelの終了に加え,2020年中の200人要員削減,高額出演者の出演料15%削減,RTÉ役員報酬10%削減といった詳細を明らかにした。RTÉは2023年までの3年間で6,000万ユーロ(約72億円)の経費削減を迫られている。