放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    英C4,ロンドン以外の制作拠点化を計画

    イギリスの老舗テレビ局であるチャンネル4(C4)は3月8日,ロンドン以外に制作拠点を新設し,地域での投資を増大する計画を発表した。計画によると,C4は番組の地域制作比率を2023年までに現在の35%から50%に引き上げ(制作費は2億5,000万ポンド以上に相当),2019年にロンドン以外の地域に制作センターを新設したうえで,300人の要員を移動させる。地域制作センターの建設に関する選定作業は,2018年4月に始めるとしている。なお,ロンドン中心にあるC4の本部は,規模は縮小するが,その機能を維持する。

    英BBC,ラジオのアナログ放送継続を主張

    BBCのラジオ局長ボブ・シェナン氏は3月19日に国際会議で講演し,ラジオのデジタル化について,当面はアナログ放送も継続すべきだと述べた。イギリス政府がアナログ放送終了の検討基準としているラジオのデジタル聴取50%に間もなく達するとみられているが,シェナン氏は「リスナーは選択肢を求めている。アナログ放送を終了するのは時期尚早である」と述べ,数年間は,DAB方式のデジタルラジオと並行してアナログのFM放送も運用すべきだと主張した。

    英BBC,2018年度計画を発表

    BBCは,新特許状のもとで義務づけられた年度計画を3月28日に発表した。計画では,BBCが直面する課題として,若者を中心とした視聴習慣の変化への対応,英国のメディア産業への投資の減少と米メディア企業の伸張,BBCの財源の縮小を指摘。それらに対する具体策として,2018年度は英国コンテンツと新しいタレントへの投資や,iPlayerを軸にパーソナル化や生放送の増加といったコンテンツの提供方法の改良など,4つの項目に重点的に取り組むという方針を示した。

    仏商業放送TF1,番組再配信料倍増の提示で紛糾

    フランス最大手の商業放送TF1は,自社番組を通信事業者らが再配信する契約の更新にあたって,その額をこれまでの2倍にすると提示したことから,高すぎるとして紛糾した。フランスの主な通信事業者であるOrange,Free,SFR,Bouyguesと放送事業者のCanal+は,TF1と系列を含む5つのチャンネルの無料放送コンテンツを,IPTVや衛星などの契約視聴者に向け再配信している。日刊紙フィガロによれば,TF1は2018年の契約更新にあたって,5社全体でこれまでの2倍の約1億ユーロ(約130億円)の配信料を要求した。これに対してCanal+は,法外な増額は認められないとして3月1日から6日間,TF1の番組の再配信を停止した。フィガロによれば,OrangeとSFR,それにBouyguesは3月中に,金額は明らかにされていないが,TF1と合意に達した。

    独国際放送,トルコ語テレビチャンネルを計画

    ドイツの国際放送Deutsche Welle(DW)のリンブルク会長は2月28日,連邦議会の文化委員会で,トルコ語テレビチャンネル「DW Türk」の開設計画について説明を行い,DWの予算増額を訴えた。「DW Türk」は24時間放送の衛星テレビチャンネル。DWは2017年12月に公表した4か年業務計画の草案で,「近年のトルコは大統領による独裁政治の傾向が顕著で,国内で批判的報道への弾圧が行われていることから,DWの客観的で質の高い情報が求められている」と分析していた。DWの財源は連邦政府の交付金で,現在,英語,アラビア語,スペイン語,ドイツ語の4言語でそれぞれ国際テレビ放送を行っている。

    伊Mediasetと衛星Sky Italia,有料番組相互提供で合意

    イタリアの大手商業放送Mediasetと21st Century Fox傘下の有料衛星Sky Italiaは,3月30日,有料番組を相互提供することで合意したと発表した。この合意により,今後,Skyの契約者はMediasetが地上デジタルのみで提供していた「Mediaset Premium」ブランドの映画やドラマなど9つのチャンネルが,Mediaset Premiumの契約者は衛星Skyの数チャンネルが新たに視聴可能となる。また,合意にはSkyがMediasetの多重周波数帯を借用して地上デジタルでもスポーツを含めた複数の有料チャンネルの提供を6月から開始することも含まれ,今後共同で新会社を設立する予定という。