放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    英受信許可料,75歳以上免除見直しへ

    イギリス政府はBBCに対し,75歳以上の高齢者が居住する世帯への一律の受信許可料免除を見直す権限を,4月27日に発効した「2017年デジタルエコノミー法」で付与した。テレビ受信許可料は現在,75歳以上の高齢者が居住する世帯について,その構成員の違いにかかわらず一律で支払いが免除され,減収分は労働・年金省が補塡してきた。しかし政府は,この補塡を2018年から徐々に減額し,2020年に完全に廃止することを決めた。その額は,2015年度で6億2,170万ポンド(約900億円)に上ることから,減収対策として,こうした措置が講じられた。

    英Amazon,テレビチャンネルの同時配信サービス開始

    OTTサービスを手がけるAmazonは5月22日,イギリスでテレビチャンネルの同時配信サービスを始めた。Amazonは,プライム会員向けに映画やテレビ番組をオンデマンド視聴できるサービスをすでに展開しているが,今後は,ディスカバリーやユーロスポーツなど約40のテレビチャンネルの同時視聴も可能になる。テレビチャンネルの契約は"バンドル(束)"ではなく個別に行われ,月額1.99~9.99ポンドで提供される。Amazonはドイツでも同様のサービスを開始した。

    英BBC,「BBC Store」を閉鎖へ

    BBCは,放送済み番組をダウンロードして購入できるサービスBBC Storeを閉鎖することを5月25日に発表した。BBCの番組はiPlayerで放送後30日までオンデマンド視聴できるが,BBC Storeは期限を超えても購入できるサービスとして,2015年11月に始まった。BBCでは,番組を1本あたり平均1.89ポンド(約270円)で販売してきたが,人気番組『シャーロック』や『ドクター・フー』などはNetflixやAmazon Videoでも提供しており,BBC Storeの需要は期待ほど伸びなかったという。BBCでは11月1日をもって購入済みの番組も視聴できなくなるとして,代金の払い戻しなどを行う。

    仏公共放送FTV,統一ウェブサイトで配信開始

    公共放送フランステレビジョン(FTV)は,5つのチャンネルごとにあるVODのサイトを統一し,5月9日から新サイト「france.tv」のサービスを開始した。この新サイトでは1日に放送される合計500本近いFTVの番組を,ニュース,スポーツ,文化,教育,青少年などのジャンル別に検索し,放送から7日目まで無料で視聴でき,8日目以降は原則有料のダウンロードで視聴できる。また一部のニュース番組はライブで視聴できる。FTVは2016年9月,ウェブとテレビの双方に同時配信する24時間のニュースサイト「franceinfo」を開設したが,2017年9月にはドラマや映画が定額見放題のSVODサービスも開始する計画で,当面はこの3つのサイトがFTVのデジタル戦略の主力となるという。

    独公共放送,放送負担金収入額の減少を予測

    ドイツの公共放送ARD,ZDF,ドイチュラントラジオは4月末,2017年から2020年末までの4年間の財政状況の見通しをKEF(公共放送財源需要審査委員会)に報告した。これによると,4年間の放送負担金の年平均収入は77億5,000万ユーロ(約9,600億円)となり,2016年4月のKEF予測額よりも年平均で8,500万ユーロ(約110億円)少なくなる見通しとなった。放送負担金制度の導入後,全国の住民登録データとの照合が行われたが,その際,本来支払い義務がないのに支払い義務ありと登録され,その後申請により登録から外れた世帯の数が当初の予想よりも多かったことが,収入予測の減少につながった。

    伊RAI受信料,電気代一括徴収制導入で550万契約増

    イタリア歳入庁のオルランディ長官は5月10日,国会の答弁で,2016年に導入した公共放送RAI受信料の電気代一括徴収制の結果について,2016年徴収分の公式の数字を明らかにした。それによると,契約件数は約2,200万件となり,2015年より約550万の増加となった。また,支払い義務のないケースとして,テレビを保有していないと申告した人が約55万件あるほか,免除対象者については,75歳以上でかつ年収6,713.98ユーロ(約83万円)以下の単身低所得者が約13万件,NATO加盟国の軍人や互恵条約を結ぶ国の大使館員等が約5,000件あった。