放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    中国,当局によるトランプ大統領のツイート報道規制に批判

    アメリカのトランプ大統領が5月5日,中国からの輸入品への関税を大幅に引き上げるとTwitterに投稿したのを受け,6日以降,世界中で株安が進んだが,中国国内では,このツイートについて中央ラジオテレビ,新華社,人民日報といった主要メディアが当初まったく報道せず,SNSでの発信も全面的に規制された。このため中国の個人投資家からは,なぜ株が6日朝から下がっているのか,規制が解除された午後になるまでわからなかったと不満の声が上がった。香港浸会大学の陸尚勤助教授は「こうした報道規制は,情報の入手が遅れる個人の投資家だけが損をする結果を招いている」と批判した。

    韓国,地上テレビ3局のOTTサービス満足度は低水準

    韓国の市場調査会社エムブレインは5月3日,韓国内のOTTサービスの利用状況などについて,地上テレビ局KBS,MBC,SBSの3社が共同配信するpooqの満足度は32%で,Netflixの69%と比べ半分以下にとどまる,という調査結果を発表した。この調査は,韓国でデジタル機器を所有する19〜59歳の男女1,000人を対象に,3月19〜22日にネット上のアンケート形式で行われた。POOQと韓国の移動通信最大手SKテレコム傘下のoksusuは,Netflixなど海外のOTTサービスに対抗するため7月1日に経営統合し,国内最大規模の動画配信会社が発足する予定である。

    韓国,地上テレビ局の番組編成に「働き方改革」の影響

    韓国では,労働時間の上限を週68時間から52時間に短縮するなどの「働き方改革」が2018年7月から進む中,地上テレビ局の番組編成に新たな動きがみられるようになってきた。「平日午後10時はドラマ,11時は芸能」というのが長年,番組編成の鉄則とされてきたが,MBCは5月8日,ドラマの放送時間を1時間早めて午後9時にすると発表した。またSBSは同月10日,芸能番組を午後10時に編成すると発表した。公共放送KBSも今後,生活スタイルの変化に対応した番組編成に取り組む方針を示している。

    タイ,地デジ局が経営難で免許返上

    タイの地上デジタル放送の6事業者は5月10日,視聴率や広告料収入の低迷による経営難から,国家放送通信委員会(NBTC)に放送免許を返上することを明らかにした。6事業者が運営する,子ども向けの「チャンネル3ファミリー/13」「MCOT/14」,ニュースチャンネルの「スプリングニュース/19」「ブライトTV/20」「ボイスTV/21」,娯楽チャンネルの「スプリング/26」「チャンネル3SD/28」の計7チャンネルは2019年8月に放送を終了する予定。タイでは2014年の地デジ化によりチャンネル数が急増したが,OTTサービスの台頭などを背景に,地上デジタル放送局の経営環境は厳しさを増している。

    NZ,BBCにならった地方記者雇用プロジェクト開始

    ニュージーランドの公共放送RNZ,規制監督機関の放送委員会(通称NZ On Air),および新聞発行者協会(NPA)は5月27日,地方紙の取材を支援するため,記者8人を新たに採用して国内各紙に配置する1年間の試験的プロジェクトを開始した。これは英BBCが実施している同様の取り組みにならったもので,政府からRNZとNZ on Airに割り当てられた600万NZドル(約4億2,900万円)の追加予算を財源とする。採用された記者は「地方民主主義記者」と呼ばれ,出稿した記事はRNZやプロジェクトに参加する各メディアが活用できる。ニュージーランドでは新聞各社の経営難により,地方記者の数が過去3~5年で3割近く減少したという。

    スーダン,アルジャジーラが支局閉鎖命令に反発

    アフリカのスーダンで,民主化を求める市民の抗議行動を取材してきた中東の衛星テレビ局アルジャジーラのハルツーム支局が5月30日,「混乱を扇動した」などとして,国を統治する暫定軍事評議会から閉鎖命令を受けた。スーダンでは4月にクーデターに踏み切った軍がバシール前大統領を拘束し,「アラブの春」の再来といわれたが,軍の本部前では民政移管を求める抗議の座り込みが続き,死傷者も出る事態となっている。アルジャジーラは「報道の自由に対する攻撃で,受け入れられない」と反発している。