放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    韓国MBC前社長,労組活動に不当介入で有罪判決

    労働組合の活動に不当に介入した罪に問われていた韓国MBCのキム・ジャンギョム(金張謙)前社長に対し,ソウル西部地裁は2月19日,懲役8か月,執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。キム前社長は報道本部長を務めていた2014年から17年にかけて,不公正な放送に抗議してストライキに参加した言論労組の組合員に対し,人事上の不利益を与えたなどとして,「労働組合及び労働関係調停法」違反の罪に問われていた。キム前社長は2017年,社長に選任されたが,同年9月から,MBC労組は公正な放送の実現と社長の退任を求めて全面ストライキに突入。この結果,同年11月に社長を解任された。キム前社長は控訴する方針。

    2回目の米朝首脳会談,北朝鮮メディアは対話継続を強調

    ベトナム・ハノイで2月27日と28日に行われた2回目の米朝首脳会談について,韓国では大手地上テレビ局のKBS,MBC,SBSが早朝から深夜まで中継の枠を設けて最新情報を伝え,結果について「核交渉決裂,合意に至らず」「青瓦台,米朝会談決裂に困惑」などと報じた。一方,北朝鮮では,朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」が,両首脳が握手する場面や夕食会などのカラー写真を掲載するとともに,「生産的な対話を継続することになった」と伝え,対話姿勢を強調した。

    香港,2020年11月末にアナログ放送終了へ

    香港特別行政区政府の邱騰華(きゅうとうか)商務・経済発展局長は2月11日,2020年11月30日の深夜でアナログテレビ放送を終了し,完全にデジタル放送に移行することを明らかにした。邱局長によると,現在,香港では90%近くの家庭が地上デジタル放送を視聴していて,アナログの受信機で視聴している家庭は18万戸程度とみられている。このため政府はこのうち16万戸程度を対象に,デジタルテレビ受信機もしくはセットトップボックスの購入に補助金を出すなどの対策をとったうえで,アナログ放送を終了する方針を決めた。香港では2007年から地上デジタル放送が始まり,当初は2012年のアナログ放送終了を予定していたが,地上テレビ局のデジタル専用チャンネルの魅力が乏しいこともあって,対応する受信機の普及が進まず,これまで延期を重ねていた。

    比選挙に向けてメディアがファクトチェック連携

    フィリピンでは5月に行われる議会や自治体首長の統一選挙に向けて2月11日,メディアや大学が参加するファクトチェック連携が立ち上がった。参加したのはフィリピン大学など3つの主要大学,それにテレビ大手ABS-CBNやオンラインニュースRapplerなど11の報道機関。候補者や政府関係者による選挙に関わる発言や,選挙公約,ソーシャルメディア上で拡散される選挙関連の情報などを事実に照らし合わせて検証し,国際的なガイドラインに沿って5段階に評価した内容をそれぞれが報じるほか,連携のウェブサイトTsek.phに掲載する。

    インド政府,公共放送機関への交付金認可

    インド政府の内閣経済問題委員会は2月6日,情報放送省が提案した公共放送機関プラサール・バーラティ(インド放送協会,PB)への交付金105億4,000万ルピー(約164億円)を認可した。放送設備の更新費用のほか,デジタル放送のHD化計画推進にも充てられる。組織の肥大化が指摘されてきたPBをめぐっては,一時は解体が検討され,傘下にあるテレビのドゥールダルシャン(DD)やラジオのAIRを政府の持ち株会社にする計画が浮上。このためインド政府はPBへの資金投入をためらっていた。

    豪ABC新理事長,メディア界で活躍のバットローズ氏

    オーストラリアのモリソン首相は2月27日,5か月間空席だった公共放送ABCの最高意思決定機関であるABC理事会の理事長に,アイタ・バットローズ氏を指名した。ABCでは2018年9月,理事会がガスリー会長(当時)を突然解任。さらに3日後,ミルン理事長も,政治圧力を受けて記者の人事に介入したなどの疑いで辞任に追い込まれ,経営の混迷が続いていた。バットローズ氏は民放の朝番組の司会を務めるなど,豪メディア界で幅広く活躍してきた人物で,「ABCの経営を安定させ,職員の安心感を取り戻す」と抱負を述べた。