文研ブログ

放送博物館 2019年08月16日 (金)

#202 NHK放送博物館で「音の展覧会」を開催中です!

計画管理部 東山一郎


NHK放送博物館では、「むかしの音でめぐる“にっぽん”」と題した企画展を開催中です。
この企画展は、日本各地の方言や物売りの声、祭りや鉄道の音などを集めて展示したもので、いわば「音の展覧会」といったものです。

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「音の展覧会」といってもなかなかイメージがわかないと思いますので、実際に展示している音声を少し紹介しますね。
ひとつめは、愛知県愛西市で1958年に収録された方言です。愛西市は愛知県の西部に位置し木曽川に沿った地域です。男女の会話の一部を抜粋します。


 エー キョーワ アツィーヤ ネァカ(きょうは 暑いじゃ ないか)

 エー アーッツィーナモ(ええ 暑いですね)

 エー キョーワ ドコェ イクノー(きょうは どこへ 行くんだい)

 クサミシリジャーナモ(草取りですよ)


この地域の方言の中心地は名古屋ですが、名古屋のことばに関して高浜虚子が1942年に次の句を詠んでいます。
 なもなもと 名古屋訛の 声涼し
この句に表れているように、助詞の「ナモ」が名古屋の方言のひとつの特徴だったようです。実際の音声を聴くと、この「ナモ」のおかげなのか、ことば全体が柔らかく優しい感じに聞こえます。「声涼し」のなかに虚子は「優しさ」を感じ取っていたのかもしれません。


下の写真は、1956年に福岡市で撮影された「きびだんご売り」です。

kibidango-uri.jpg
「文研月報」1957年12月号より

この「きびだんご売り」の展示では、こんなふれ売りの歌を聴くことができます。


♪♪ 日本一のオキビチャン  オキビチャンのあーつあつ

        ぬくーて 甘くて オキビチャン キビチャンの生まれはどこですか


   遠く離れて300里  備前の国の岡山で・・・♪♪

このような「きびだんご売り」はすでに存在しないかもしれませんし、「ナモ」もあまり使われなくなっているかもしれません。今回の企画展は、こうした消えてしまっているかもしれない「音」も含め、NHKが収集・保存してきた「すこしむかしの音」で日本各地をめぐることを試みたものです。展示では、日本各地の方言や物売りの声のほか、親しみやすい祭りや鉄道の音など、40点の音声をCDプレイヤーを用いて聴くことができます。


およそ60年前に収録された方言や物売りの声を聴く機会はなかなか無いかもしれません。
そして、距離的にも時間的にも旅をした気分になれるかもしれません。
11月17日(日)まで開催していますので、ぜひこの機会に放送博物館にお越しください。


NHK放送博物館

休館日 :月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は火曜日休館)、年末年始
入場料 :無料
開館時間:午前9時30分~午後4時30分
所在地 :〒105-0002 東京都港区愛宕2-1-1  
TEL  : 03-5400-6900

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