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文研フォーラム

文研フォーラム 2018年02月16日 (金)

#113 トランプ時代のアメリカと日本を考える

世論調査部(社会調査) 外池武司

アメリカのトランプ大統領が就任して1年あまり。1月に行った一般教書演説の様子を覚えていますか。日本の総理大臣の施政方針演説に当たるこの演説。トランプ大統領は自身の政策の成果を強調するとともに、国民や議会の結束を繰り返し訴えました。しかしその会場では、与党・共和党議員が演説の節目に立ち上がって拍手をする一方、野党・民主党の議員は抗議の意味を込めた黒い服で出席し、座ったまま拍手をせず、演説が終わるとさっさと会場を後にしました。トランプ大統領がもたらした社会の分断が色濃く反映した光景でした。

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メキシコとの国境に壁を作ろうとするなど移民の規制強化を目指す数々の発言、国際的な貿易や温暖化防止の枠組みからの脱退表明、自国の産業や雇用を守ろうとする保護主義的な政策、この一年、世界はトランプ大統領の言動に翻弄された感があります。こうした状況をアメリカや日本の国民はどう見ているのか、今後についてどう考えているのか、NHKは大統領就任1年の時期に合わせて日米で同時に世論調査を実施しました。調査からは、トランプ大統領に「良い印象」を持つ人は日米とも少ないものの、アメリカでは岩盤とも言われる底堅い支持層があること、それまでの好景気も後押しをして経済政策については支持が多いことなど、不安と期待が交錯する現実が見えてきました。

調査結果について、3月に開催するNHK文研フォーラム2018で詳しく報告します。フォーラムでは、情報番組などで広く活躍しているジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんと、アメリカでの取材経験が長いNHK国際部の石井勇作副部長をコメンテーターに迎え、トランプ政権が生まれた背景、深まる分断がもたらした影響、そして日米関係や国際社会の今後について考察を進めます。

トランプ大統領がツイッターでつぶやくだけで日本の企業の株価や業績が大きく影響を受けたり、その外交方針により世界各地で暴動が起きたり、私たち日本人の暮らしも、否応なしにトランプ政権の影響を受けています。トランプ時代をどう生きるのか、会場で私たちと一緒に考えてみませんか。参加の申し込みは文研のホームページで受け付けています。この研究発表「トランプ時代のアメリカと日本」は3月7日(水)午後3時20分から。ぜひお越しください。   

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文研フォーラム 2018年02月09日 (金)

#112 土井善晴さんがやってくる!文研フォーラム2018

メディア研究部(メディア動向) 大野敏明

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皆さん、このお顔、ご存知ですよね?
そうです、料理研究家の土井善晴さんです。
『きょうの料理』のレギュラー講師としてお馴染みですが、近頃は『一汁一菜でよいという提案』という著書が話題になっています。

「一汁一菜」とは「ご飯+汁物一品+おかず一品」という意味ですが、土井さんが勧める「一汁一菜」は「ご飯+具だくさんのみそ汁+漬物」が基本。しかし「毎日これだけで済ませなさい!」という意味では決してありません。「みそ汁を具だくさんにするだけでおかずは十分。何にしようかと毎日悩む必要はなく、おかずは余裕がある時に作ればいい」という意味です。
「日本の家庭は「日常の食卓」が「ハレの日の食卓」のように豪華になりすぎてはいないか。慎ましい食事に慣れると、たまに作る何気ないおかずが、もっと美味しく感じられる」と言う土井さん。忙しい毎日の食事づくりに悩む皆さん、そう言われると少し気が楽になりませんか?

さて、その土井さんですが、3/9(金)の「NHK文研フォーラム2018」に登壇します。テーマは「『きょうの料理』60年の歴史とこれから」です。
『きょうの料理』の放送が始まったのは昭和32年。高度経済成長が進み、家庭の食卓が大きな変貌を遂げた時代です。それまでの慎ましい食卓から、各国料理のおかずが日替わりで登場するバラエティー溢れる食卓へ。その変化に、『きょうの料理』は多彩なレシピを伝えることで役割を果たしてきました。
しかし一方で、多彩になりすぎた食卓は、忙しい毎日を送る人にとって調えることが負担になっているという面もあります。そういったニーズに応えるべく「外食」や、調理済みの料理を買って家で食べる「中食」も日々進化しています。
さらに今や、毎日の献立はスマホで決める時代。SNSを覗けば、シズル感たっぷりのレシピ動画が次々と流れてきます。長年、テレビとテキストの2本柱でレシピを伝えてきた『きょうの料理』ですが、取り巻く環境は目まぐるしく変わり続けています。
文研フォーラムでは、番組の歴史を懐かしい映像とともに振り返りながら、時代によって変わる食卓のニーズに番組はどう応えてきたか、そしてこれから先、どう応えていくべきかを考えます。

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(このプログラムの詳細とお申込みはこちら

僭越ながら私もそのフォーラムに登壇するのですが、太ってスーツが着られなくなっていることが判明。そこで自問自答の末、毎晩の食事を一汁一菜にし、健康的にやせようと結論しました。
ですが、その分お昼に食いだめしてしまうので、一向にやせる気配はありません。

文研フォーラム 2018年02月02日 (金)

#111 「これからの"放送"」を民放連会長とともに考えます!

メディア研究部(メディア動向) 村上圭子

「電波を使って放送することが絶対ではない」
「本当に電波が必要なのかどうか。(中略)放送の産業構造そのものがどうなっていくのかも見据えた議論をやっていかないといけない」


これは、去年の10月から内閣府の規制改革推進会議で行われてきた議論の一幕です。推進会議では、“放送”について2か月間、8回の集中した議論が行われ、11月末に「第2次答申」が提出されました。
(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/toshin/171129/toshin.pdf)(放送については10 Pを参照)

放送の種類には、テレビでは、地上放送、衛星放送、ケーブルテレビ、IPTVがありますが、この議論で扱われてきた“放送”とは地上放送のことです。地上放送は、事業者に対し日本のあまねく世帯に届けることが法律で定められており(NHKは義務、民放は努力義務)、全国津々浦々に中継局を設置して、みなさんのご自宅まで電波で放送番組を届けています。世界的には、地上放送はケーブルテレビやIPTV経由で視聴することが多く、自宅にアンテナを設置して電波を直接受信する割合は低いのですが(アメリカは約10%、韓国は約1%)、日本の場合は、約半数の世帯が直接受信しています。

地上放送が使う電波については、特定の周波数帯域が割り当てられています。現在割り当てられている周波数帯域はUHF帯と呼ばれる場所ですが、ここは、放送事業者だけでなく多くの事業者にとって使い勝手の良い場所(下図参照)。そのため、次のような問題提起がなされています。<これから需要が大きく増えると見込まれているIoTやAI、データ利用といったさまざまな通信サービスなどに、放送用帯域の中で使っていない場所を活用できないか>、中でも冒頭で紹介した発言は、<地上放送は今後、電波を使う必要はない、つまり専用の帯域を割り当てなくてもいいのではないか> という究極的な指摘ですが、こうしたことも議論されているのです。

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(図)電波の利用状況
(参照: http://www.soumu.go.jp/main_content/000517430.pdf P3)

1月30日からは総務省でも、このテーマで議論が開始されました。放送事業者の監督官庁である総務省、それから事業者自身がしっかりと放送の未来像を考えていこうということで、「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討分科会」と名付けられました。第1回目であったため、本格的な議論はまだ行われませんでしたが、この夏までには一定の方向性を示すとしているのであまり時間はありません。地上4Kはどうなるのか、同時配信はどうなるのか、民放とNHKの共通プラットフォームという考え方はありうるのか、など先読みが難しいテーマについて、どのような議論が行われるのか、引き続き注目して取材していきたいと思います。

こうした状況も含めて来月に実施するNHK文研フォーラム2018では、日本民間放送連盟の井上弘会長にお越しいただき、「これからの“放送”」はどうなっていくのか、をみなさんとともに考えていきたいと思っています。参加の申し込みは、2月2日(金)から文研ホームページで開始しています。ぜひお早めにお申込みください。会場でお待ちしています。

文研フォーラム 2018年01月26日 (金)

#110 「NHK文研フォーラム2018」 2月2日から参加申し込み始まります!

計画管理部計画) 大森龍一郎

年に一度、われわれNHK放送文化研究所(文研)が総力を結集してお届けする「NHK文研フォーラム」が近づいてきました。3月7日(水)8日(木)9日(金)の3日間、東京・紀尾井町の千代田放送会館にてシンポジウムやワークショップ、研究発表を集中して行います。

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内容をご紹介しましょう。今回のテーマは「テレビの未来 メディアの新地図」。テレビやメディアを巡る状況が大きく変動するいま、文研の研究員が国内外の専門家とともに、多岐にわたるテーマに切り込みます。各プログラムの日時はこちら

激変するメディア界の動きに関心のある方には、欧米メディア関係者が参加するシンポジウム「欧米メディアのマルチプラットフォーム展開」や、「これからの“放送”はどこに向かうのか?」がオススメ。スマホファースト時代のテレビ論に関心のある方は、ワークショップ「大学生たちと考える“テレビ”の未来」を。また、シンポジウム「『きょうの料理』60年の歴史とこれから」では、NHK長寿番組の取り組みを検証します。登壇するゲストの顔ぶれにもご期待ください。
ほかにも、「トランプ時代のアメリカと日本」「データから読み解くテレビドキュメンタリー研究」「放送の中の美化語を考える」と、多彩なラインナップを取り揃えております。

参加の申し込み受け付けは、来週2月2日(金)から文研ホームページで開始します。お申し込みは先着順で、定員に達したプログラムから受付を終了しますので、ぜひお早めにお申し込み下さい!
NHK放送文化研究所の研究員一同、みなさまのお越しをお待ちしております。

文研フォーラム 2017年12月22日 (金)

#107 NHK文研フォーラム、今年度も3月開催決定!

計画管理部(計画) 松本裕美

2017年も残りわずかとなりました。新年を迎えると、色々な行事が目白押しですよね。
1月 箱根駅伝、大発会…
2月 ピョンチャンオリンピック…
3月 文研フォーラム2018、ピョンチャンパラリンピック…
かなり無理やりでしたね。

では、「文研フォーラム」って何??と言う方に…
年1回、NHK放送文化研究所が総力を挙げて、研究や調査の成果を発表したり、シンポジウムを開催している場です。NHK文研フォーラム2018「テレビの未来 メディアの新地図」をテーマに、3月7日(水)から3日間東京・千代田放送会館で開催します。

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プログラムは7つ。そのキーワードを一部抜き出してみると…
*日米同時世論調査
*マルチプラットフォーム戦略
*スマホ時代のテレビの可能性
*メディアの公共性
*テレビドキュメンタリー研究
*美化語
*老舗番組

ちょっと謎?なものもあると思いますが、なかなかバラエティに富んでいるような気がしませんか?
国内外のメディア関係の研究者をはじめ、ジャーナリスト、料理研究家の方など豪華ゲストをお招きして、テレビやメディアの今、未来について文研の研究員と共に考えていきます。

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文研フォーラム2017から

ちなみに過去5年のテーマを見てみると、
2013年「テレビ60年 未来へつなぐ」
2014年「テレビとメディアの‘現在値(ち)’~伝えてきたもの、伝えていくもの~」
2015年「放送90年 これまで、そしてこれから」
2016年「変貌するメディア、その先を考える」
2017年「いま考える メディアのちから メディアの役割」です。

文研が、激変しているテレビやメディア環境について模索し続けていることがお分かりいただけますでしょうか?
さて、興味を持っていただいたプログラムの申し込みは、来年2月上旬にこちらのホームページで開始予定です。定員に達してしまうと受付終了となりますので、是非お早めに。

文研フォーラム 2017年07月21日 (金)

#88 ドキュメンタリストから学んだこと@「文研フォーラム2017」

メディア研究部(番組研究) 松本裕美

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田原総一朗さん
今野勉さん相田洋さん。この、ドキュメンタリーの“巨匠”が「NHK文研フォーラム2017」に集いました。いったいどんな議論が飛び交ったのか…気になりませんか?
テーマは、「テレビ・ドキュメンタリーにおける“作家性”とは?」です。

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文研は年に一度、調査研究成果を発表するフォーラムを開催しています。今年は、3月1日(水)〜3日(金)に東京の千代田放送会館“いま考えるメディアのちから、メディアの役割”と題して行われました。
その2日目のシンポジウムが、「テレビ・ドキュメンタリーにおける“作家性”とは?」です。パネリストとしてお招きしたのが、ジャーナリストの田原総一朗さん、テレビ演出家・脚本家で、テレビマンユニオン最高顧問の今野勉さん、NHKのOBでディレクターの相田洋さん。そしてコメンテーターとして早稲田大学の伊藤守教授を迎え、ドキュメンタリー制作者の作家性などについて、約2時間半、自由奔放、闊達自在(かったつじざい)、制御不能?なトークが繰り広げられました!

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80歳を越えた今も現役で活躍中の3人ですが、テレビ・ドキュメンタリーの創り手、送り手として、その歴史とほぼ同じ時間を歩んできたからこそ語れる言葉を、シンポジウムでは聞くことができました。

89-0728-6.PNG今回のシンポジウムは、この本『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』の出版を機に行われました。これは、『放送調査と研究』2009年8月号に掲載したパイロット研究と、同誌に2012年2月号から3年半にわたって連載してきた「制作者研究」の論文をまとめたものです。

そして、このシンポジウムの一部も、『放送研究と調査』の7月号に採録しましたので、こちらもぜひご一読ください。
また、このシンポジムのダイジェストを文研ホームページで動画配信しています。ご覧になりたい方はここをクリック!ぜひご覧ください!

 

 

 

 

文研フォーラム 2017年03月17日 (金)

#70 多くの来場に感謝~「文研フォーラム2017」

計画管理部(計画) 安楽裕里子

年に一度、文研の調査研究成果を発表するNHK文研フォーラム
今年は3月1日(水)〜3日(金)に東京の千代田放送会館で、“いま考える メディアのちから、メディアの役割”をテーマに開催しました。海外からのゲストも招いて様々なテーマで行った8つのプログラムには、「フォーラム」という名前になったおととし以降で最も多い、延べ1400人を超える方々にご来場いただきました。

 文研フォーラム2017ポスター
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ここでは、初日と2日目に行われたシンポジウムの様子をちょこっとご紹介します。
初日は“東京2020オリンピック・パラリンピックへ”と題し、世論調査の報告と、シンポジウム「パラリンピックと放送の役割を開催。

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上智大学の師岡文男教授、英チャンネル4のマーティン・ベイカーさん、車いすランナーでパラリンピック金メダリストの伊藤智也さん、NHK2020東京オリンピック・パラリンピック実施本部の樋口昌之副本部長をパネリストに迎え2時間半。リオ大会ではNHKのスタジオゲストも務めた伊藤智也さんからは、「障害者スポーツとして撮るのではなく、アスリートとしてカッコよく撮って欲しい」という率直な発言、また、日英の放送を比較した報告や、登壇者の熱いディスカッションに会場も沸き、2020年に向けた関心の高さが改めて感じられました。

2日目は、「テレビ・ドキュメンタリーにおける“作家性”とは?」として、文研発行の『放送研究と調査』に3年にわたって掲載した「制作者研究」のシンポジウムを2時間半にわたって開催。

ゲストにジャーナリストの田原総一朗さん、テレビ演出家・脚本家の今野勉さん、元NHKディレクターの相田洋さんという3巨匠、コメンテーターに早稲田大学の伊藤守教授を迎え、制作者の作家性などをテーマに自由闊達(制御不能?)なトークが繰り広げられました。

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このシンポジムの様子は、後日、文研ホームページで動画配信を予定しています。どうぞお楽しみに。

また、今回は午後の時間帯に1階ラウンジで、「文研カフェ」をオープン。文研の調査研究内容を紹介した各グループ力作のパネルを見ながら、登壇者やゲストと質疑を交わしていただくなど、交流の場としてにぎわっていました。

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文研各部グループ作のパネルを展示
世論調査部 視聴者調査グループとメディア研究部 メディア動向グループのパネル(クリックすると拡大表示されます)

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シンポジウム終了後の文研カフェ

3日間にわたったプログラムには、応募開始直後から多くの申し込みをいただきましたが、座席数の関係でご来場いただけなかった方も出てしまい、大変申し訳ありませんでした!
そんな皆さんに、会場でお配りした文研作成の資料を、近々「文研フォーラム」のホームページに掲載する予定ですので、ぜひご活用ください。
また、いくつかのプログラムでは、『放送研究と調査』の6月号、7月号等に採録を予定していますので、こちらもぜひご一読ください。
文研フォーラムはここ数年、毎年3月に開催しています。文研の一年間の調査研究成果に、多少のテレビ的演出も加え、分かりやすい発表に努めております。来年度もご期待ください!
ご来場いただきました皆さん、ありがとうございました。

文研フォーラム 2017年02月21日 (火)

#67 いま「ポッドキャスト」が新しい?

メディア研究部(海外メディア研究) 柴田 厚

3月1日(水)・2日(木)・3日(金)に行われる「NHK文研フォーラム2017」の2日目に『米ラジオ・オンデマンド時代の到来か? ~拡大する「ポッドキャスト」サービス~』の研究発表を行います。

ポッドキャストって、いつの話?」というご指摘は、ある意味ごもっともです。日本のラジオはNHKの「らじる★らじる」、民放の「radiko」で多くの番組のストリーミング配信が聞け、世界的に見てもかなり進んだ状況です。でも、国土が広く、日本ほど通信環境が整備されていないアメリカでは、スマートフォンなど自分の携帯端末にコンテンツをダウンロードして聞く「ポッドキャスト」の“第2(第3とも)の波”が訪れ、いま静かなブームになっています。

その牽引役は、まずは「スマートフォン」。そして、確かな番組作りで知られる公共ラジオ「NPR」です。彼らの特徴は、政治・経済から、音楽、映画、歴史、笑い、クイズ、ドキュメンタリーまでさまざまなジャンルのポッドキャストを提供していることです(全て無料)。1回20分から30分程度、難しすぎず、かと言って薄っぺらくもない内容は、個人的には「万人受けはしないけれど、好きな人にはたまらない“NHK教育テレビ的”だ」と思っています。

そして、もうひとつ別の“波”も。世界を揺るがせているトランプ新政権をきびしくウォッチングするために、アメリカを代表するNew York TimesとWashington Postの2大紙が、相次いでポッドキャストを始めました。いわば、異業種からの参入です。NYTは『The Daily』の名の通り、毎日の配信。WPは『Can He Do That?』、(彼にできるの?)というタイトルが痛烈です(週1回の配信)。デジタルの普及でメディアの垣根が低くなっている今、ポッドキャストはさまざまな人が参加できるメディアになっています。

もちろん収益につなげることや、たくさんのコンテンツの中から見つけてもらう難しさなどの課題もありますが、デジタル時代に“個人の息吹を感じとることができるメディア”として、その可能性は今後広がるのではないかと感じています。実際、出演したNYTの記者に「そんなことまでしゃべっていいの?」と驚いたり、WPの記者が言いよどんだりするところで、妙に安心したりしました。ああ、人間らしくていいな、と。テクノロジーの力もありますが、『語りの力』を再認識できるアメリカのポッドキャスト。

まだまだ発展途上の“古くて新しいメディア”ポッドキャストの可能性について一緒に考えませんか。3月2日(木)の研究発表へのご参加をお待ちしています。 

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(参加申し込みはこちらから↓)
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文研フォーラム 2017年02月17日 (金)

# 66 台湾新政権は「メディアの公共性」を実現できるか

メディア研究部(海外メディア研究) 山田賢一

台湾では去年5月、民進党の蔡英文新政権が発足しました。親が政治家でない、かつ女性の最高指導者は、アジアでは珍しいとして注目を集めましたが、この新政権の特色として指摘されるのは、「メディアの公共性」を重視していることです。
従来、台湾では、メディアは財閥オーナーの所有物という側面が強く、2008年に中国時報グループという大手メディアグループの経営権を食品事業者の旺旺が握った際は、中国をほめたたえる報道が急増、中国事業で多大な利益を上げる旺旺のオーナーの意向が働いたとして、メディア関係者や市民の警戒が高まりました。
こうした声に配慮する新政権は、メディア政策として①公共放送の充実②「財閥のメディア支配」排除、の2点に力を入れています。このうち①に関しては、新理事の選出にあたって、多くのメディア関係者や女性を候補者としてリストアップ、これまでより大幅に「若返り」と「多様化」が進みました。また②に関しては、財閥の通信事業者「遠傳」によるケーブルテレビ事業者最大手「中嘉網路」の買収に政府の投資審議委員会が待ったをかけ、独立規制機関のNCC(国家通信放送委員会)に審査のやり直しを求めています。

こうした新政権の政策について、与党民進党や、与党に近い政党の時代力量はおおむね肯定的ですが、商業局や野党国民党それにメディア研究者の一部は、①の公共放送の規模拡大について、民業圧迫や官僚主義による非効率につながると批判しています。一方②に関しては、与野党を通じ「遠傳」の買収に否定的な見方が多く、ある程度のコンセンサスが得られる可能性もあります(その後2月8日に中嘉が売却断念を発表)。
当面新政権のメディア政策で最も大きな課題は、公共放送充実のために必要とされる【公共テレビへの政府交付金増額】と【公共放送グループ(現在は公共テレビを中心に、中華テレビ、少数派住民向けの客家チャンネル、国際放送の宏観チャンネルで構成)の構成員拡大】に向けての公共テレビ法改正です。しかし台湾では現在、年金改革や同性婚合法化といった社会の関心の高い案件が目白押しで、公共テレビ法改正案がいつ立法院(国会)に上程されるかメドはたっていません。政策の実現にはまだまだ山あり谷ありの状態で、今年どのような動きが見られるか注目されます。

詳細は、3月1日から3日にかけて行う「NHK文研フォーラム2017」の最終日(3日)午前10時から報告いたします。ぜひご参加ください。

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(参加申し込みはこちらから↓)
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文研フォーラム 2017年02月07日 (火)

#65 一緒に考えてみませんか? 『パラリンピックと放送の役割』

メディア研究部(メディア動向) 山田 潔

1つ1つの粒が立ち、キラキラ輝いていて、じっくり味わうとなかなかおいしい。高級ブランド米の宣伝ではありません。障害者スポーツの祭典・パラリンピックの競技中継を見た感想です。
2バウンドまでOKのルールから、ラリーの応酬が延々と続く車いすテニス。激しくぶつかり合う衝撃音に興奮する車いすラグビー。静寂のなか、ボールの中の鈴の音に集中するゴール・ボール。一度見始めると、自然とこぶしを握り応援してしまう、純粋にスポーツとしての興奮と感動を感じます。
NHKは、パラリンピックのリオ大会について、初めて総合テレビでの本格的な競技中継を行うなど、ロンドンの約3倍、133時間あまり放送しました。
スポーツには、する者、関わる者、観る者、それぞれに自然とお互いの垣根を低くし、理解を進める一面があります。パラリンピックを通して、障害があるけれど、同じ人間という実感が広がり、障害のある人もない人も、誰もが1人1人個性的で、輝ける共生社会になっていけるといいですね。

地球の裏側、ブラジル・リオデジャネイロで熱戦が繰り広げられてから、はや半年近くが経ち、東京2020大会が着々と近づいています。
2020年の東京大会で、パラリンピックをみんなで楽しみ、パラリンピックを共生社会の実現につなげていくために、放送はどう貢献できるのか。3月1日から3日にかけて行うNHK文研フォーラム2017の初日にパラリンピックと放送の役割~ロンドン・リオから東京2020に向けて~をテーマにシンポジウムを開催します。2012年の自国ロンドン大会からリオ、東京とパラリンピック放送を行う英国チャンネル4とNHKのリオ大会での中継番組比較を軸に、それぞれの放送当事者、北京大会での金メダルをはじめ合計5つのメダルを獲得した車いすランナー・伊藤智也さん、パラリンピックを社会変革の機会ととらえる上智大学教授・師岡文男さんをパネリストとして、東京2020に向けて放送の役割を考えます。
あなたも会場で、一緒に考えてみませんか。

また、シンポジウムに先立ち、「文研世論調査で探る東京2020への期待と意識」と題して、世論調査の結果から、オリンピック・パラリンピックの2016年リオ大会のテレビ視聴状況の分析、2020年東京大会に関する人々の意識などを報告します。なお、この調査は東京大会まで継続し、経年比較を行うことになっています。
こちらも是非ご参加ください。

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(参加申し込みはこちらから↓)
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それにしても、善し悪しは別としてオリンピック、パラリンピックは、やっぱり金メダルをとると盛り上がるんですよね。
選手の皆さん、ファイト。応援していきます!!