文研ブログ

文研フォーラム 2023年02月13日 (月)

#452 Z世代と「テレビ」?

世論調査部(視聴者調査)保髙隆之

「ワールドカップ(W杯)の日本戦ですか? テレビ画面で見ていましたよ。…ABEMAの中継で」

大学生が当然のように答えたとき、私は軽いショックを受けました。

もちろん、ABEMAのサッカーW杯中継が多くの方に見られたことは報道で知っていました(実際の規模感については諸説ありますが)。しかしながら勝手にスマホでの視聴だと思い込んでいたのです。かつてのワンセグによる日韓共催のW杯中継のように。

この違いは非常に大きいです。つまり、放送も同時に行われていたのに、あえて「テレビ」という箱の中で動画サービスによる中継が選択されたのです。ときどき、「テレビ離れ」は「コンテンツ離れ」ではないから大丈夫、という放送業界の方がいらっしゃいますが、これは放送局にとっては言い訳ができない、まさに存在意義を問われるような事態です。
この大学生にとっては、「テレビ」という「機器」は既に「放送」を前提にしたものではありません。

では、彼や彼女たちにとっての「テレビ」とは何なのでしょう?

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今年のNHK文研フォーラムのプログラムB「Z世代とテレビ」(3月1日(水)午後2時~)では、デジタルネイティブの先駆けであるZ世代の大学生たちと、いまのテレビとのリアルな距離感、そしてこれからのテレビに期待することを語り合います。ゲストはメディア研究の第一人者である渡邊久哲さん(上智大学教授)とZ世代と未来を考えるプロジェクトを進める小々馬敦さん(産業能率大学教授)。文研からは「メディア利用の生活時間調査」など視聴者行動の分析が専門の舟越雅研究員が最新の調査結果を報告、保髙が進行を担当します。

pb_01.jpgのサムネイル画像上智大学文学部 渡邊教授

 

pb_02.jpgのサムネイル画像産業能率大学 小々馬教授

現在は本番に向けて大学生たちに鋭意取材中。その繊細な感性や合理的な考え方に驚かされたり、教えられたりする毎日です。ぜひ、当日の議論の行方をお楽しみに!