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文研フォーラム 2021年02月02日 (火)

#300 "メディアは"機密の壁" にどう向き合うか

メディア研究部(海外メディア) 佐々木英基


政府の“機密文書”
そこには、公にされていない軍の“不法行為”が記されていた。
その事実を国民に知らせようと、軍の関係者が公共放送に機密文書を提供し、
公共放送がそれを報じた結果、
軍の関係者は訴追され、
公共放送は家宅捜索を受け、データを押収される・・・

これは、2017年から2019年にかけて、オーストラリアで起きたことです。

ABC(オーストラリア放送協会)が報じた機密文書には、
“アフガニスタンに派遣されたオーストラリア軍兵士が、非武装の民間人を殺害した”
という衝撃的な内容が含まれていました。

この事例が注目を集めた理由は、
機密文書の内容を報じたメディアに対して家宅捜索が入ることが、
“民主主義国”では異例だったことです。

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ABC(オーストラリア放送協会)

日本人である私からみても、ABCが報じた内容は、
主権者であるオーストラリアの人々が知らなければならない重大な問題をはらんでいると思えました。

「なぜ“民主主義国家”オーストラリアでこんなことが起きたのか?」
「メディアは、“機密の壁”にどう向き合うべきなのか?」

こうしたテーマについて、徹底的に議論するシンポジウムを開催します。

登壇者は、いずれもこのテーマを語るにふさわしい方ばかりです。
柳澤秀夫さん(ジャーナリスト)
「あさイチ」の「ヤナギー」としてお茶の間の人気を集めましたが、
1991年の湾岸戦争では、特派員として、バグダッドから最新の情報をリポートし続けました。

太田昌克さん(共同通信社編集委員 論説委員兼務)
核をめぐる日米関係の闇に深く切り込んできた太田さんは、
日米政府の最奥部から情報を得て、知られざる数々の事実をスクープしてきました。

西土彰一郎さん(成城大学教授)
憲法・メディア法の専門家です。
「放送の自由」について、国内外の法制度に精通すると同時に、
メディア関係者と議論を重ね、「あるべき放送」について発信を続けています。

VTRで参加するゲストにもご注目ください。
モートン・ハルペリンさん(国際政治学者)
アメリカ国防総省の上級担当官を務めたハルペリンさんは、米国の核政策に深く関わり、
“沖縄返還交渉”の当事者です。

マーティン・ブライトさん(英国ジャーナリスト)
イラク戦争の開戦直前、米国の政府機関が、違法な盗聴を英国政府機関に要請した事実をスクープしました。

3月3日(水)午後4時、1時間半にわたる白熱した議論にご注目ください。

↓↓文研フォーラムの詳細はこちらから、2/1(月)~2/24(水)申し込み受け付け!
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