文研ブログ

調査あれこれ

調査あれこれ 2021年12月09日 (木)

#353 テレビを見ない人々にも「届けきる」~SNSを活用した報道の新たな取り組み~

メディア研究部(番組研究) 宮下牧恵


 こちらの動画をまず、ご覧ください。


 若年層のテレビ離れが進む中 1)、NHKの報道局映像センターでは、2019年7月から、ふだんテレビを見ない人たちに、情報をデジタルで届けきる「モバイル・ジャーナリズム(MOJO)」と呼ばれる取り組みを始めています。「命や暮らしを守る情報」や「生活に役立つ情報」などを自分のこととしてより身近にとらえてもらえるよう、放送で伝えた内容をTwitterやFacebook、LINE、Instagram、YouTubeなどの外部プラットフォームに最適化した動画に編集して投稿するという取り組みです。
 上の動画は、2021年5月17日にBS1で放送された「#アスリートは黙らない」(『スポーツ×ヒューマン』)を再編集したものです。心の傷と向き合いながら、社会を変えようと行動する4人のアスリートを取材した番組で、中でも、学生時代の「体罰」の記憶に苦しめられ、慣習を変えようと活動している元バレーボール日本代表選手の益子直美さんについて編集したこの2分の動画は、もっと短い動画が多いSNS上では長めのものでしたが、それでもTwitter上のNHKニュースなどの複数の公式アカウントから投稿した結果、多くのユーザーからの反応がありました。
 動画を作成したのは、入局11年目で、MOJOチームのプロジェクトリーダーを務める寺田慎平カメラマンです。番組の撮影担当となり、テレビを視聴していない20代、30代にも、出演したアスリート達のメッセージを届けたいとSNSからの動画投稿を提案しました。
 放送局のコンテンツへの接触動向を確認すると、20代、30代は男女ともに、SNS上の公式アカウントからの接触が目立ち、特に、Twitterから接触している傾向が見られます 2)
 寺田カメラマンも、動画を投稿するにあたり、Twitterで視聴されやすい動画の作りを意識して作成を行ったそうです。具体的には、Twitter上では動画の音声を聴く人が少ないため、読み物のようにテロップで理解できるようにすることや、投稿文の冒頭で関心を持ってもらえるようにユーザーが読んだときにどのような気持ちになるかをイメージしながらディスカッションし、文章を考えるなど、工夫を行ったということです。
 こうした取り組みについて、「放送研究と調査」2021年8月号に掲載した放送研究リポート「テレビでは届かないメッセージをSNSで ~「スポーツ×ヒューマン」の事例から~」で詳しく書いています。ぜひ、お読みいただければと思います。
 私が取材した6月時点では、地域の放送局や報道現場のカメラマン、編集マンなど500名以上がオンライン上で議論や意見交換をしながら600本以上の動画を制作していました。今では参加者も約700名に増え、作成した動画も750本を数えるまでになったそうです。
 例えば、スマホを見ながら点字ブロックの上を歩いたり、立ち止まったりする行為、いわゆる「点ブロスマホ」の歩行者と衝突し、全盲の男性が救急搬送された体験を当事者の目線から訴えた動画には、視聴した多くの人々が、こうした社会の課題に対して自分自身が感じている問題意識をコメントしました。

211209-111.JPG
 また、多様性を認め合い、お互いを尊重しあえる社会の実現を目指す動きを伝える放送とあわせて、「生理の貧困」や、生理用品を保健室に貰いに行くことが出来ないなどの中学生の悩みについて特集したNHKのWEB記事に関連して、山口放送局の入局2年目の女性カメラマンが、公立中学校の校長が始めた取り組みを動画にしてTwitterに発信。さらに「NHK広報局note」で、職場での自分自身の生理に関する悩みや体験を記事にして掲載しました。こうした動画や記事などに、男性や、10代・20代の女性に、より接触してもらうためにはさらにどういうことができるのか、プロジェクトでは議論が進められています。

 8月25日に総務省が発表した「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 3)によると、すべての年代で<平日の「インターネット利用」の平均利用時間が「テレビ(リアルタイム)視聴」の平均利用時間を初めて超過>しました。また、<「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」については、年代別に見ると、20 代を除く各年代で「テレビ」を最も利用しており、20 代では「インターネット」を最も利用しているという結果になっている。>ことも報告されています。
 放送局が発信する情報やコンテンツに、特に若い世代にどのようにして接してもらい、信頼を得られるのかが、NHKのみならず民放各社にとっても課題となっています。

 放送の現場でも、これからは放送だけでなく、自社サイトやネット配信、さらにSNSなどの外部プラットフォームをどのように組み合わせて発信を行い、信頼される情報基盤を維持していくことができるのかが鍵になりそうです。こうした取り組みについて、今後も注目していきたいと思います。


1) 若年層のテレビ離れの様相については以下の論文に詳しく記載されている
世論調査部 渡辺洋子/ 伊藤 文 / 築比地真理 / 平田明裕 「新しい生活の兆しとテレビ視聴の今 ~「国民生活時間調査・2020」の結果から~」『放送研究と調査』(2021年8月号)P19-P21 
2) 世論調査部 保髙隆之 「人々は放送局のコンテンツ,サービスにどのように接しているのか~「2020 年7月全国放送サービス接触動向調査」の結果から~」」『放送研究と調査』(2021年3月号)P4-P7
3) 「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」 (令和3年8月 総務省情報通信政策研究所)p3、P78
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765258.pdf



調査あれこれ 2021年11月19日 (金)

#350 紅白シーズン到来! 音楽コンテンツはテレビ放送から?それとも動画?

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之


 早いもので11月も終盤に入ってきました。コロナ禍で季節感を感じる機会が例年より少なかった気がする2021年ですが、個人的には毎年、この時期に楽しみにしている恒例のイベントがあります。それは…「紅白歌合戦」の出場者発表!

211124-01.jpg
 我が家では家族そろって紅白を見て、両チームを採点するのがお約束。誰が初出場で、誰が出場しない、というのは子どもの頃は“重大”ニュースでした。大みそかには、父の「若いアイドルはみんな同じ顔に見える」なんて声を聞きながら、「これは人気ドラマの主題歌なんだよ!」などと、「ザ・ベストテン」仕込みの知識で解説したものです。40代以上の方なら同じような経験をした方も少なくないのではないでしょうか?
 最近は発表と同時に、若年層と高年層の双方から「知らない人ばかり」「なぜ私の推しが出ないの!」などと激しい応酬がSNS上で繰り広げられることも風物詩となっています。刺さる人にはとことん刺さるけど、そのアーティストのファンコミュニティーの範囲を超えることは難しい。そんな昨今の音楽シーンの背景には「音楽」ジャンルの映像コンテンツへの接触パターンの変化もありそうです。
 下のグラフは昨年11月から今年の1月にかけて実施した世論調査「コロナ時代のテレビの価値」(全国13歳以上対象)の結果です。動画利用者(1,377人)に、「テレビ放送(録画含む)」(図中では「放送」)、NHKプラスやTVerなど「インターネット経由のテレビ番組」(同じく「番組配信」)、YouTubeやAmazonプライム・ビデオのオリジナルコンテンツなどの「インターネット動画(テレビ番組除く)」(同様に「動画」)の3つに分けて、それぞれ視聴ジャンルを複数回答で尋ねました。

211124-2.JPG
 「音楽」ジャンルと、参考に「ニュース・報道」ジャンルの接触パターンを年層別に比較すると、「放送のみ」での接触がどの年層でも多い「ニュース・報道」に比べ、「音楽」は「動画のみ」での接触が目立ちます。動画利用者へのインタビュー調査では、自分の好きなアーティストのパフォーマンスだけを見たいという声が多く聞かれました。ひと昔前なら、自分の聞きたい歌手の出番が来るまでテレビの前で待つしかありませんでした。(その代わり、思いがけない歌手との出会いの楽しさもありました。)しかし、今は違います。ハードなニュースで問題になりがちな社会の「分断」ですが、「音楽」ジャンルにも「自分」と「他者」のお気に入りを隔てる壁が存在しているようです。
 一方、「放送&動画」の両方で接触する人が幅広い年層で一定数いることも確か。これは他のジャンルと比べても「音楽」の大きな特徴になっています。そういえば、私も昨年の紅白で、それまで食わず嫌いだったYOASOBIの曲を初めて聞き、以来、サブスクやYouTubeで新曲は必ずチェックするようになりました。「ザ・ベストテン」世代の私でさえそうなのですから、デジタルネイティブのZ世代は各メディアとジャンルの特性を理解し、賢く効率的に使い分けているはずです。さて、今年の紅白では、どんなアーティストが世代をこえた出会いの喜びと感動を届けてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
 コロナ禍を経た今、ジャンルや生活場面によって異なるテレビや動画の見方について、また、紅白のように家族そろってテレビ「放送」をみる習慣が変化する可能性について、「放送研究と調査」10月号「コロナ禍はテレビと動画の利用者にどんな影響を与えたか」で詳しく報告しています。ぜひ、ご一読ください。


調査あれこれ 2021年10月21日 (木)

#346 年代によって異なる関心ジャンルの傾向 ~「全国メディア意識世論調査・2020」の結果から~

世論調査部(視聴者調査) 内堀諒太


211025.png文研では、2020年10月から12月にかけて、人々のメディア行動や意識をたずねる新調査「全国メディア意識世論調査」を実施しました。
(調査結果の詳細は、「放送研究と調査」9月号「多メディア時代における人々のメディア利用と意識」で報告しています。)


このブログでは、その調査の中から、テレビ番組やインターネット動画の“関心ジャンル” についてたずねた質問の結果をご紹介します。


調査では、テレビやインターネット動画で視聴するジャンルをたずねることに先駆けて、ご覧の17のジャンルの中から関心のあるものをいくつでも選んでもらいました。
皆さんの関心のあるジャンルはいくつあるでしょうか。



今回は便宜的に若年層(16~29歳)・中年層(30~59歳)・高年層(60歳以上)の3つの年層に分けたグラフにしています。


皆さんはピンク色で囲ったジャンルと水色で囲ったジャンルの違いにお気づきでしょうか。



ピンク色で囲ったジャンルは「政治・経済・社会」「天気予報」「旅行・街歩き」「ドキュメンタリー・教養」です。これらは年齢が上の年層ほど関心を持つ人の割合が高くなっています。


一方、水色で囲ったジャンル「音楽」「芸能人・アイドル」「アニメ」「ゲーム配信・実況」は若い年層ほど関心を持つ人の割合が高くなっていました。





この調査とほぼ同時期に、20代の男女を対象にインタビューを行いました。そこでテレビ番組やインターネット動画の視聴について聞いてみても、実際に「Instagramの通知で、気になる芸能人がYouTube配信を始めたことを知って見ることにした」「HuluやTVerで好きなアニメの最新話を探して見る」「見たいテレビ番組がないときはYouTubeでゲーム実況の動画を見る」などの声がありました。

「放送研究と調査」9月号では、これらのジャンルをそれぞれどんな視聴方法で見ているかについてもご紹介しているほか、メディアごとの利用実態や効用比較も掲載しています。ぜひ、ご一読ください。


調査あれこれ 2021年09月08日 (水)

#341 被災地の人々が求めている復興とは? ~「東日本大震災から10年 復興に関する意識調査」結果から~

世論調査部(社会調査) 中山準之助


 大津波が、太平洋側の沿岸部に押し寄せ、広い範囲に甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から、今年の3月11日で、10年になりました。
 あの日、私は、岩手県盛岡市にあるNHK盛岡放送局で勤務していました。緊急地震速報を知らせるアラーム音と自動音声が、館内に鳴り響いた直後に、放送局の建物全体が激しく揺れて、立っていられないほどの衝撃を感じました。その後、取材で目にした、津波や地震によって壊れた街の光景は、10年たった今も、鮮明に覚えています。

 あれから10年。復興と防災、原発事故に対する人々の意識を把握するため、世論調査部では全国世論調査を実施し、特に被害が大きかった岩手、宮城、福島の被災3県と全国の回答者の意識を比較して、分析を試みました。その結果、被災した県の人たちと、全国の人たちの意識には、大きなズレがあることが分かりました。

 例えば、震災直後に思い描いていた復興が、実現できていると思うかどうかを尋ねた質問では、「道路や建物」(図①)では、『実現できている』と答えた人が、被災3県で83%、全国でも75%に上ります。ハード面の復興については、被災した県以外でも、多くの人が、復興したと感じています。
 これに対し、「被災者の暮らし」(図②)では、『実現できている』と答えた人は、被災3県が59%なのに対し、全国は39%と少なく、意識に大きなズレがあることが分かります。
生活の復興については、地元で暮らす人たちのほうが、復興を実感できているようです。
ただ、同じ被災県でも、宮城県が65%に上るのに対し、岩手県は50%にとどまっていて、復興に対する意識に差が見られました。

210903-111.JPG
210903-222.JPG
 そうした意識の差は、何から生じているのか、「国の復興対応の課題」への回答から見てみます。
 図③は、国の復興対応で大きな課題だと思うものを8つの項目から選んでもらい、その結果を、左から、全国の回答の多い順に並べたものです。

210903-33.JPG
 一番左の「原発事故への対応」は、全国、被災3県ともに、6~7割を超えています。
「復興予算の使い道」や「復興予算の規模」も、全国と被災3県の差は、あまりありません。

 しかし、「住宅再建への支援」や「人口減少への対応」では、全国と被災3県で、大きな差があることが分かります。
 さらに、被災3県のグラフを比べてみると、岩手県が、他の被災県より、回答が多くなっているものがあります。例えば、「人口減少への対応」は、岩手県では、被災する前から深刻な課題になっていました。震災後も、こうした地域の課題が解決されていないことが、復興を実感できない背景にはあるようです。

 今回の調査では、福島県の復興を進めるうえで、大きな妨げとなっている「原発事故」についても、詳しく聞いています。その結果の一部をご紹介します。

▽約7割の人が、国内では原発の利用を減らすか、やめるべきだと考えている。
▽福島第一原発の処理水の海洋放出に、全国では『賛成』18%、『反対』39%、『どちらともいえない』44%。
▽処理水を海に流すと魚介類への風評被害が起きると『思う』人は8割を超える。

 調査結果の詳細については、「放送研究と調査2021年7月号で紹介していますので、是非、ご一読ください。


調査あれこれ 2021年08月04日 (水)

#336 GIGAスクール構想と「オンライン学習」に向けたメディア利用

メディア研究部(番組研究) 宇治橋祐之


 今年の夏休み、小学生や中学生の子どもがいる家庭では、子どもたちが学校からパソコンやタブレット端末を持ち帰ってきているかもしれません。

 2021年度は「校内通信ネットワークの整備」と「児童生徒1人1台端末の整備」を柱とするGIGAスクール構想の実現により、全国の多くの小・中学校で1人1台の端末を使った学習が始まりました。夏休みについては、文部科学省から「ICT端末を活用した課題(生活の記録、日記、自由研究等)の検討」や、「緊急時の自宅等でのオンライン学習を想定した試行」などが全国の教育委員会に求められており1)、家で端末を使って自由研究をしたり、オンライン学習をしたりしている子どもたちの姿をみることもあるでしょう。

 これまで授業でのメディアの利用は、教師がデジタルテレビやプロジェクターなどの大きな画面に教材を提示する形式が中心でした。子どもたちがパソコンルームなどで1人1台の端末を利用することはありましたが、今年度から本格的に自分だけの端末を使えるようになったのです。

210806-1.jpg
 文研では2013年度から、各クラス(教師)単位でのメディア環境や利用の実態、そして教師のメディア観や教育観を調べるために「教師のメディア利用と意識に関する調査」を継続して行っています。小学校、中学校、高等学校、特別支援学校それぞれの調査結果は、文研のウェブサイトに公開しています。

 2020 年度は小学校教師を対象とした調査を予定していましたが、①新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う学校の臨時休業があり、経年比較が難しいこと、②「オンライン学習」への関心が急速に高まっており、NHKでも新規サービスを行ったこと(この調査では、教室での対面授業をオンラインで行う「リアルタイム型または録画授業型のオンライン授業」とともに、学校が指定したインターネット上の教材を利用して、児童・生徒が家庭で行う学習全てを「オンライン学習」に含めています。)、③「GIGA スクール構想」によって学校のメディア環境が変わろうとしていること、などの理由から新型コロナ下の小学校、中学校、特別支援学校(小学部、中学部)のメディア利用の全体状況を把握するための特別調査を行いました。

 調査結果からは、教師が利用できるメディア機器やインターネット接続の環境は整い、「指導者用のデジタル教科書」や「NHK for School(NHKのテレビ学校放送番組とウェブサイト)」などのメディア教材の利用が、すべての学校種で9割を超えていることがわかりました。また、全体で9割前後の学校が,パソコンとタブレット端末のいずれかを児童・生徒に利用させていて、授業での利用が浸透している様子がみられました。

 また、家庭における「オンライン学習」は,臨時休業の期間(2020年4~5月)のみ実施した学校も一定数存在しましたが,調査時点(2020年10~12月)でも,学校種により差はあるものの3~4割の学校が実施していて、今後の実施意向もみられました。

 「放送研究と調査」2021年6月号「GIGAスクール構想と「オンライン学習」に向けたメディア利用~ 2020 年度「新型コロナ下の小学校,中学校,特別支援学校での メディア利用に関する調査」から~」では、こうした各学校種のメディア利用の状況と、オンライン学習の実施状況とその課題についてまとめています。学校でのメディアを利用した学習だけでなく、家庭でのメディアを利用した学習にこれから何が必要かを考える基礎情報として、読んでいただけるとありがたいです。


1) 「GIGA スクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等に向けた夏季休業期間中における取組について」(文部科学省)
    https://www.mext.go.jp/content/20210713-mxt_jogai01-000011648_1.pdf


調査あれこれ 2021年08月02日 (月)

#335 国民生活時間調査サイトに新しいコラムを追加しました

世論調査部(視聴者調査) 渡辺洋子


1日にテレビを見ている人の割合は?
日本人の睡眠時間の平均は?

このようなことがわかる国民生活時間調査ですが、結果を目で見て比較出来たり、ダウンロードできたりする便利な特設サイトがあるのをご存知でしょうか?

210730-1.png

特設サイトには、分析を担当した研究員による結果の紹介や、生活時間調査にまつわる話のコラムも掲載しています。

8月からは、新たにこの2本を追加しました。
「コロナ禍で睡眠時間は増えた?減った?」
「在宅勤務はどこまで広まった?」

今後も随時、コラムを追加していくので、是非ご覧ください!

210804-22.JPG

答え    国民全体で平日にテレビを見ている人の割合 79%
      平日の国民全体の睡眠時間 7時間12分


調査あれこれ 2021年07月28日 (水)

#334 予想外?予想どおり? 日本人の環境意識

世論調査部(社会調査) 村田ひろ子


210728-11.jpg 皆さんは、スーパーやコンビニで買い物をするとき、レジでレジ袋をもらっていますか?それとも、持参した袋に買った商品を入れていますか?
 文研が実施した環境に関する世論調査※1の結果をみると、レジ袋の有料化が義務付けられる前(206月以前)では、レジ袋を「毎回もらっていた」が53%と過半数を占め、「必要なときにだけもらっていた」(41%)を合わせた『もらっていた』は94%に上ります。
一方、有料化が義務付けられた後(207月以降)では、「毎回もらっている」は、わずか3%で、「必要なときにだけもらっている」を合わせた『もらっている』は50%です。レジ袋をもらっている人は、有料化が義務付けられた後、大きく減少したことになりますが、これは、ほぼ予想どおりの結果でした。

210728-2.jpg
 一方で、レジ袋の有料化が、プラスチックごみの削減につながると思っている人は、予想以上に多くいました。有料化がプラスチックごみの『削減につながる』という人は70※2で、『削減にはつながらない』の28%を大きく上回っていたのです。ペットボトルなどのプラスチック製品も大量に使われているので、レジ袋を有料化してもプラスチックごみの『削減にはつながらない』と考える人が多いのでは?と予想していたので、私はやや意外に感じましたが、皆さんはどう思われますか?

210728-3.jpg
 調査では、人々が気候変動問題をどうとらえているかについても尋ねています。「気候変動による世界的な気温の上昇」が危険だと思っている人は、どれくらいいたのでしょうか・・・?
 答えは75%! 調査方法が異なるため単純な比較はできませんが、10年前の調査でも、76%もの人が気温の上昇を危険視していて、多くの日本人が気候変動を心配していることがうかがえます。

 「放送研究と調査」2021年6月号では、「脱炭素時代」を迎え、日本人が環境問題とどう向き合い、行動しているのか、世論調査の結果からご紹介しています。2011年の福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発や放射性廃棄物に対する意識がどう変わったのかも注目のポイントです。ぜひご一読ください!!



※1 ISSP国際比較調査「環境」・日本の結果 時期:20201028日~122日、
   調査方法:郵送法、調査対象:全国18歳以上の2,400人、調査有効数(率):1,491人(62.1%) 

※2 回答結果をまとめる場合は、実数で足し上げて%を計算しているため、
   単純に%を足し上げた数字と一致しないことがある。

調査あれこれ 2021年07月16日 (金)

#333 コロナ禍のストレス事情 ~「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査」から~

世論調査部(社会調査) 原 美和子


 毎日発表される感染者数やワクチン接種の進捗状況、そして感染拡大の不安の中で開催される東京五輪・パラリンピック大会・・・・・。新型コロナウイルスに振り回される日々が相変わらず続いています。
 NHKは、この新型コロナウイルス感染症について、2020年11月から12月にかけて、初めて体系的な世論調査を実施しました(調査結果の詳細は、「放送研究と調査」6月号「新型コロナは私たちの暮らしや意識をどう変えたか」で報告しています)。
このブログでは、その中から、“コロナ禍のストレス事情”についてご紹介します。

withコロナはwithストレス
 感染拡大前と比べて、ストレスを感じることが「大幅に増えた」人は14%、「ある程度増えた」人は53%で、3人に2人がストレスを感じることが『増えた』と感じています。

210712-1.JPG
 そのストレスの中身は、具体的にどのようなものなのでしょうか。ストレスを感じることが『増えた』人に、11の選択肢の中からいくつでも選んでもらった結果がこちらのグラフです。
「マスクの着用など感染防止対策に気を遣うこと」(グラフでは「感染防止への配慮」)、「気軽に遊びに行けないこと」、「自分や家族が感染するかもしれないと考えること」(グラフでは「感染するかもしれないと考えること」)をストレスと感じている人が、いずれも7割を超えています。

210712-2.JPG
 ところで、こうした「ストレス要因」の中には、若い人にはストレスになっているけれど、高齢の人はそれ程つらいと思っていないもの、また、特定の年代の人に特にストレスになっているものがあるようです。

次のグラフは、11の項目のうち、4項目について、男女年層別の結果を示したものです。

210712-3.JPG
このAからDのグラフは、次の4項目のどれに当たると思いますか(正解はブログの末尾をご覧ください)?

「感染防止への配慮」
「家事や育児、介護の負担が増えていること」
「気軽に遊びに行けないこと」
「仕事や学業が思うように進められないこと」

コロナ禍のストレス解消法は?
 何とかしたいコロナ禍のストレス、みなさんはどう解消していますか?
ストレスを感じることが『増えた』人に、ストレスの解消法について自由に答えてもらった結果をご紹介します。 

その1)「自宅で●●」
 「庭の手入れ」「読書やパズル」「料理やお菓子作り」「テレビや録画した番組、動画を見る」など、ステイホームが求められる中、家でできる楽しみが多く挙げられました。

その2)密を避けつつ外へ
人が少ない時間帯に散歩や運動をしたり、市民農園で畑仕事をしたり、ドライブに行くなど、感染防止に気を使いつつ、外に出て気分転換をしている人も多いようです。

その3)誰かとつながる
電話やメール、SNSでのやりとりや、オンライン飲み会など、会いたい人と思うように会えない中、さまざまな形でコミュニケーションをとっていることがうかがえます。

その4)今はひたすら・・・・
我慢する・あまり深刻に考えないようにしている・あきらめるという人もいました。ストレスが解消されるというより、あまり振り回されないようにすることで、ストレスを増やさない、ということでしょうか。

その5)なるほど!
 最後に、印象に残ったものをいくつかご紹介します。どうでしょう、気持ちがちょっと前向きになる気がしませんか?

「大きな声で歌う」 「笑顔で過ごす」 「感染が収束したあとにやりたいことを考えて準備する」 「新型コロナについて正しい知識や情報を得る」

 ワクチン接種がようやく軌道に乗りつつあるとはいえ、感染の収束は見通せない状況です。新型コロナとの生活はまだまだ続き、すぐにストレスが減ることは期待薄かもしれません。自分に合ったストレス解消法を見つけて、少しでも気分よく毎日を過ごしていきたいですね。


【正解】
感染防止への配慮=A
家事や育児、介護の負担が増えていること=D
気軽に遊びに行けないこと=B
仕事や学業が思うように進められないこと=C



調査あれこれ 2021年04月22日 (木)

#316 「エヴァとラジオと私の25年」

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之


1996年3月27日の夕方。入社式を数日後に控えた私は大学の同級生の部屋にいました。
友人は地元の会社に就職して実家に戻ることになっており、ちょっと感傷的な気分だったのを覚えています。
その友人から、パソコン通信(!)で話題になっているアニメの最終回の放送があるので見よう、と誘われて戸惑いました。ツイッターもLINEもない時代、子ども向け以外のアニメは一部のマニアだけが盛り上がるもの。私は全く知らない作品だったからです。しかしながら、その後の30分にわたる放送時間は、学生時代の最後の思い出として、強烈に胸に刻まれました。
そのアニメのタイトルは「新世紀エヴァンゲリオン」です。(最終回がどんな内容だったかご存じでない方は、検索をしてみてください。リアルタイムで、しかも、人生のあの時期に見ることができたのは幸運でした。)

210422-00.png
あれから25年目の春。
現在公開中の映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は、(これはネタバレにならないと思いますが)観客が現実の世界で過ごした25年間という時間の経過さえ取り込んだ、孤高のエンターテインメントになっており、また、強く「卒業」を意識させる作品でした。見終わった後、すっかり忘れていた学生時代の自分の姿が思い出され、あれから「変わったこと」と「変わらなかったこと」を改めて考えさせられました。
自分語りが長くなって申し訳ありません。もう少しだけ、お付き合いください。
25年前から「変わったこと」。その1つが「ラジオ」です。
私の学生時代、受験勉強の友といえば、深夜のラジオでした。音楽の流行も、好きな有名人の日常も、情報源はラジオ。家族そろってお茶の間でみるテレビとは違い、自由でとんがった話や、ほかのリスナーやパーソナリティーとの「共犯感覚」は、まだまだ青く、自意識過剰だった当時の私にとって、もっとも身近に感じられるメディアでした。
しかしながら、社会人生活が続く中で、ラジオはいつのまにか遠い存在になってしまいました。それは私だけではないようで、文研の「全国個人視聴率調査」の結果をみると、25年前、1996年のラジオの週間接触者率は43%。直近の2019年調査では30%まで落ち込んでいます(NHKと民放、AMとFMを含む)。代わって、SNSやYouTubeが日々の暮らしの中に入り込むようになってきました。
ところが、2020年。コロナ禍の日本でラジオが再び脚光を集めたのをご存じでしょうか。雑誌で次々に特集が組まれ、ネットラジオ「radiko」ユーザーの急増がニュースになりました。文研が7月に実施したグループインタビュー調査でも、「ジムに行けなくなり、代わりに始めたジョギングのお供に聴き始めてハマった」とか「在宅勤務中、音がないと寂しくてラジオをつけるようになったが、暗いニュースやリモート演出ばかりのテレビと違って、以前の日常が続いている感覚がして落ち着く」など、ラジオを再評価する声が相次ぎました。いったい、ラジオは今、どのように聞かれているのでしょうか。(やっと本題です。)
次のグラフは2020年7月に文研が郵送法で実施した世論調査の結果です。(図1)

210422-12.JPG
上の棒グラフは全国の7歳以上の人が、伝統的な「放送」と「インターネットラジオ」をどう組み合わせてNHKと民放のラジオを聞いているか(週間接触者率)を示しています。

「放送のみ」が3割近くを占め、まだまだネットラジオの比重を大きく上回ることがわかります。
ただ、年層別に分けてみてみると、20代では「ネットラジオのみ」で聞いている人が「放送のみ」で聞いている人と同程度に迫っています。また、図2のとおり、「radiko」は近年、利用経験率が順調に伸びていて、今回の調査では11%に達しました。

210422-2.JPG
少ないと感じられるかもしれませんが、この調査の1%は総務省の人口統計で換算すると100万人超に相当するので、おおまかにいっても1,000万を超えるユニークユーザーが利用したことになります。日本でこれだけのメディアパワーを持つインターネットサービスはそう多くないはずです。
25年という時間は、1人の大学生をくたびれた中年サラリーマン(私のことです。)にし、「エヴァンゲリオン」を完結させただけでなく、「ラジオ」というメディアが新しく生まれ変わるのに必要な時間だったのかもしれません。
コロナ禍に揺れた2020年の日本のメディア環境の動向について、「放送研究と調査」3月号の「人々は放送局のコンテンツ,サービスにどのように接しているのか」では他にも詳しく報告しています。ぜひ、ご一読ください。


調査あれこれ 2021年01月25日 (月)

#295 「オンデマンド化」と「有意義な」時間へのニーズの高まり ~「新型コロナウイルス臨時休校・休園時と再開後の,子どもと保護者のメディア行動調査」から~

メディア研究部(番組研究) 宇治橋祐之


 このブログを書いている1月21日現在、11都府県で2回目の緊急事態宣言が出ています。今回は小中学校や高校などへの一斉休校の要請はありませんでしたが、学級や学年単位での休業や、感染リスクの高い部活動などの制限は行われています。大人の生活だけではなく、子どもたちの生活も大きく変わらざるを得なくなりました。学びたいのに学べない状況も生まれています。
 NHKでは現在「#学びたいのに いま、学びを守ろう」というキャンペーンを進めており、学びを守るために何が必要か、みなさんの声をもとに取材・放送した内容を特設サイトで紹介しています。

 子どもたちはいったいどんな状況にあり、どんなことを感じているのでしょうか。文研では、昨年4月の臨時休校・休園時と6~7月の再開後に緊急調査を行いました。
 限られた期間の調査だったこともあり、ウェブを使った全国調査をまず行い、さらにMROCという専用の掲示板を利用した調査を組み合わせました。ウェブの調査では、全国の幼稚園・保育園児から小学生、中学生、高校生までの子どもを持つ保護者と高校生に回答をお願いし、MROCでは小学生、中学生の保護者と中学生、高校生に協力を頂きました。

 調査では大きく「メディア行動の変化」と「生活の変化」についてと、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの機器で利用されるさまざまな「デジタル学習教材」について調べました。

 「メディア行動の変化」については、「休校・休園前の通常時」「4月の休校・休園時」と比べて「6~7月の再開時」にどう変わったかを尋ねました。その結果「テレビ」については、「6~7月の再開時」に「休校・休園前の通常時」と比べて利用時間が「増えた」子どもは「減った」子どもより多い傾向でした。また「4月の休校・休園時」との比較では「増えた」と「減った」が、ほぼ同じ程度でした。それに対して「スマートフォン」は、「休校・休園前の通常時」、「4月の休校・休園時」と比べると、いずれも「6~7月の再開時」に利用時間が「増えた」子どもが多いという結果でした。休校・休園期間を経て子どもたちの生活に「スマートフォン」がますます定着した様子がみられます。さらに分析を進めると、好きな時に自由に見られる「オンデマンド」という要素の重要性が高まっているようでした。
 この背景には「生活の変化」がありそうなこともみえてきました。「ストレス」に関する質問への回答からは、「ストレスが多重にかかる状況」が継続している様子がみられ、ストレスを感じている子どもほど、メディア接触時間が長いという傾向もありました。そしてオンライン掲示板のMROCの投稿内容の分析から「有意義へのニーズ」というキーワードがみえてきました。ただし求める有意義の意味は休校・休園時と再開後では少し異なります。休校・休園時は、家族で過ごす時間が長くなる中、テレビに対して「家族で楽しむことで、家族間のコミュニケーションをよくする効果」を感じている人が多いようでしたが、再開後は「貴重な少ない時間の中で、いかに有効・効率的にストレス解消をするか」にはスマートフォンで動画やゲームをするほうがよいと考える人が増えたようでした。

 「デジタル学習教材」についてみると、休校・休園期間を経て利用は広がったけれど、それは学校などからの指示によるためで、必ずしも興味をもつ子どもや保護者が増えたわけではないこともみえてきました。その一方で実際にデジタル学習教材を利用した結果、これまでみえなかった多様なニーズがわかってきました。その大きな方向性は、メディア接触の変化でみられた「オンデマンド化」と「有意義へのニーズ」と重なることが多く、自分のペースで学べることや、「楽しさ」だけでなく「わかりやすさ」を求める傾向がみられました。

 この先の状況はまだわかりませんが、臨時休校・休園というこれまでにない時間を経て、子どもたちにどんな変化があったのか、詳細な結果と、保護者や子どもたちのリアルな声は「放送研究と調査」2020年11月号12月号で紹介しています。これから先の子どもたちに何が必要かを考える際に、読んでいただけるとありがたいです。