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調査あれこれ 2024年06月24日 (月)

能登半島地震 被災地にどこまで情報は届いていたのか?~文研ネット調査の結果から読み解く~【研究員の視点】#545

メディア研究部(メディア情勢)村上圭子

*はじめに

 2024年5月、文研では能登半島地震で被災した人たちを対象に、被災地の情報伝達などについてインターネット調査を実施しましたⅰ)。本ブログでは、調査の結果について、これまで私が取材で感じてきた認識と共にまとめておきたいと思います。
 なお、調査の概要については、同月23日に実施した「NHK文研フォーラム2024」のシンポジウム、「能登半島地震から5か月~地域メディアによる課題共有と今後について考える~」で報告しています。シンポジウムでは、報告をきっかけに、北國新聞、石川テレビ、NHK金沢放送局の3者と災害報道や災害情報伝達について議論しました。文研のウェブサイトで8月末までアーカイブ配信ⅱ)しています。ご関心がある方はぜひご視聴ください。


*調査のねらい

 能登半島地震後、私は被災者に必要な生活関連情報(ライフライン関連、行政の手続きに関する情報、避難生活に関する情報など)はどう届けられたのか、どんな点が課題だったのかについて調べてきました。能登半島の自治体を取材すると、住民への情報伝達を体系立てて行えるようになるまでに、1週間から10日くらいかかったという声が多く聞かれました。また、新聞、テレビ、ラジオなどの地域メディアも、被災者向けの情報伝達には力を入れていましたが、最大の情報源は自治体が発信する情報にならざるを得ません。そのため、発災後しばらくの間は、必要な情報が被災者に届きにくい状況があったのではないかと考えました。課題を検証して今後に生かすためには、自治体やメディアといった情報の"伝達側"だけではなく、"入手側"の実態も把握する必要があると思い、今回の調査を企画しました。
 調査対象は、地震が発生した1月1日に、石川県で被害が甚大だった7市町(輪島市、珠洲市、七尾市、志賀町、能登町、穴水町、内灘町)ⅲ)に居住または滞在していた、20歳から79歳までの200人です。
 今回の調査で明らかにしたかったのは、被災地におけるメディアに対する意識と、被災者の災害情報(主として生活関連情報)入手の実態の2点です。このうちメディアに対する意識については、シンポジウムの議論と共に改めて論考としてまとめる予定です。本ブログでは、被災者の情報入手の実態について、①情報ニーズ、②入手ルート、③インターネット系由のコンテンツ接触、④情報入手とメディアへの評価といった調査項目別に、それぞれ回答結果をみていきます。


*調査結果① 情報ニーズ

Q.どんな情報が必要だったか?
 発災から約1か月間、被災地ではどのような情報が必要とされていたのでしょうか。過去の災害を参考に25個の項目を挙げ、その中から複数の項目を選択する形で回答してもらいました。回答の上位10位を示したのが図1です。

<図1>240624_graph1.jpg

 1位が「給水情報」、2位が「ライフラインの復旧見通し」、3位が「入浴できる場所」となりました。能登半島地震においては下水道の復旧の遅れが大きな課題となっていたため、そのことが被災者の情報のニーズの高さとして表れたのだと思われます。

Q.どんな情報が入手しにくかったか?
 では、発災から1か月間、入手しにくかった情報はどのようなものだったのでしょうか。こちらも、必要だった情報と同じ25項目を示して、複数の項目を選択してもらいました。
 上位10位の回答が図2です。図1の「必要だった情報」と重なっているものも多いですが、「入手しにくかった情報」のみで上位にあがっていたのが、「自宅の修理・解体に関する情報」、「店舗復旧・開店情報」、そして「がれきやゴミの処理」でした。

<図2>240624_graph2.jpg

 このうち「自宅の修理・解体に関する情報」と「がれきやゴミの処理」については、情報をどう"伝達"するか、という課題というよりも、復旧に向けた"政策"の課題であると思われます。前者については、公費解体の時期が見えない中、いつになったら自宅を修理していいのか分からないという被災者の声をよく耳にしました。また、後者については、能登半島で複数の産業廃棄物焼却場が被害を受けたことに加えて、道路事情が悪くて周辺地域への運搬も遅れていたという事情があると思われます。そのため、本ブログでこれ以上論じることはしませんが、被災地の復旧・復興については、引き続き関心を持って取材していきたいと思います。
 「店舗復旧・開店情報」については、それぞれの自治体がホームページで掲載していましたⅳ)。しかし、調査回答から推察されるのは、その情報が被災者に十分に届いていなかったのではないか、もしくは情報の内容が不十分だったのではないか、ということです。
 自治体の職員に伺うと、民間の店舗の情報をどこまで伝えるべきかについては明確な判断基準がなく、ガソリンスタンド、ドラッグストア、コンビニ、大手スーパーやホームセンターくらいまでは公共的な施設だと思うものの、個人商店になるとどこまで掲載すべきか難しいし確認もとりにくい、と悩みながら対応していたことが分かりました。
 一方で、今回の能登半島地震では、LINEのオープンチャット機能やFacebookのグループ機能を活用した、民間による地域限定の情報共有の場が複数立ち上がりましたⅴ)。そのうちの1つ、Facebookの「珠洲市の災害情報共有ⅵ)」という公開グループ(図3)では、参加者が個人商店も含めた細かい店舗の開店状況を調べてExcelシートにまとめて公開しており、その情報は今も更新され続けています。私も珠洲市に取材に行った際、とても参考になりました。
 こうした民間によるSNSを通じた情報発信は、今後の災害においても自然発生的に出てくると思われます。今回の災害では、民間と自治体との連携はみられませんでしたが、今後、早い段階から役割分担と緩やかな連携を探っていくことができれば、より被災者に役立つ情報が届けられる可能性があると感じました。

<図3>240624_graph3_suzushi.jpgFacebookグループ(公開)「珠洲市の災害情報共有」


*調査結果② 入手ルート

Q.どのサービスで情報を入手したか?

 次に、情報の入手ルートについて見ていきます。被災した人たちは、どのサービスから、さまざまな生活関連情報を入手していたのでしょうか。30項目の中から複数を選択してもらった結果、上位15位までの回答を示したのが図4です。1位が「NHKテレビ(総合)」、2位が「民放テレビ」、そして3位が「家族や友人、近所の人等から聞いた」、4位が「市町村のホームページ」、5位が「新聞」という順位になっています。

<図4>240624_graph4.jpg

 上位15位の全体を見てみると、③を除く入手ルートは、マスメディア、自治体発信、SNS・アプリの3つに分類できることがわかります。また、年層別に回答を分析してみましたが、NHK、民放と新聞は60歳以上の割合が高く、SNSは39歳以下の割合が高いという、日頃のメディア利用と同じ傾向が見られました(図5)。なお、39歳以下については、民放のL字放送を入手ルートとしてあげた人が多かったです。

<図5>240624_graph5.jpg

Q.どの機器で情報を入手したか?
 調査では、どんな機器で情報を入手したのかについても聞きました。こちらも複数の項目を選択してもらったのですが、群を抜いていたのが1位の「スマートフォン」と2位の「テレビ」でした(図6)。前項目で、どのサービスで情報を入手したかという設問の1位と2位がいずれもテレビだったため、なぜテレビではなくスマートフォンが1位なのか、違和感を覚えた方もいると思います。しかし、スマートフォンはメディアや自治体からの情報の入手だけでなく、メッセージやメールなどのやりとり、SNSや検索サイトの活用など、多様な用途に活用されることから、放送局の番組から情報を入手する機器であるテレビを抜いて1位になったということだと思います。

<図6>240624_graph6.jpg

 ただ、この設問は、被災者が置かれていた状況によって回答が大きく異なっていました。能登半島地震では、道路の亀裂や液状化で自宅や集落から動くことができず、孤立状態に陥った人たちも少なくありませんでしたⅶ)。本調査でも、対象者200人の4分の1にあたる50人は、発災から3日以上、物資や情報が届かない状態に置かれていました。
 調査では、この50人を「孤立者」と定義して、分析を進めました。図7は、情報を入手した機器についての回答を、全体と比較したものです。「孤立者」は全体と比べて、ラジオを利用して情報を入手したという割合が高かったことがわかりました。

<図7>240624_graph7.jpg

 災害時におけるラジオの有用性は、これまでの災害でも繰り返し指摘されてきました。今回の能登半島地震でも、スマートフォンがなくてはならない存在となる一方で、孤立状態におかれ、テレビが視聴できる環境になかったり、停電でスマートフォンの充電ができなかったりする中で、持ち運びしやすく、電池で動くラジオはやはり頼りにされていたのです。この回答結果を見て、ラジオ事業者は、孤立状態にある被災者の存在を、より意識して放送を出していく必要があると感じました。

Q.インターネットは利用できたか?
 スマートフォンの利用と密接に関わるのが、インターネットが利用できる状態だったかどうかです。能登半島地震の被災地ではどうだったのでしょうか。インターネットがどのくらい不通だったか、図7と同様、全体と「孤立者」の回答を併記したのが図8です。
 まず全体の回答からみていきます。3日以上ネットが不通だったと回答したのは22%でした。この結果を見て最初に私が感じたのは、被災地では想像していたよりインターネットが利用できる状態にあった、もしくは早期に回復していた、ということでした。
 調査後、特に被害が甚大だった珠洲市と輪島市に話を聞いてみましたが、両市役所がある地域周辺では、被災後も継続してインターネットが利用できる状態にあったということです。ただし、輪島市については、インターネットは利用できたものの、市による被災者への情報発信が遅れました。これは、地方公共団体専用の情報ネットワーク「LGWANⅷ)」の市庁舎内の設備が損傷したことが原因でしたⅸ)
 先に紹介したFacebook上の「珠洲市の災害情報共有」グループにも話を聞いてみました。発起人で珠洲市民の坂井理笑さんは、避難所からインターネットを利用して情報を発信したり要望を伝えたりして、それを被災地の外にいる人たちがサポートしながら、グループ運営が行われていったとのことでしたⅹ)

<図8>240624_graph8.jpg

 調査結果に戻ります。3日以上孤立状態にあった人たちのインターネット環境はどうだったのでしょうか。利用できない状態が3日以上だったと回答したのは40%、3週間以上使えない状態が続いたと回答したのが14%となっていました。


*調査結果③ インターネット経由のコンテンツ接触

Q.インターネットで接したコンテンツは?

 前項目でも触れたとおり、被災地では、孤立状態の地域を中心に、ブロードバンドインフラの復旧工事が大幅に遅れました。ただ、市街地などでは比較的早くからインターネット経由で情報を入手できる状況にあったようです。また、通信事業者から各自治体に対しては、人工衛星を通じてブロードバンド接続ができるインターネットサービスxi)の機器が無償提供され、避難所などで活用されました。
 では、被災した人たちはインターネット経由でどのようなコンテンツに接していたのでしょうか。図9がその回答結果です(複数選択)。1位が「メッセンジャーやメールでの家族・知人とのやりとり」、2位が「市町村など行政が発信する情報」、以下、「SNSの情報」「検索プラットフォームでの検索」となりました。一方、マスメディアが発信する記事や情報、放送局による同時・見逃し配信に接したと回答した人は15%程度でした。
 ②の入手ルートでも触れたように、インターネット経由で提供される情報の多くはスマートフォンで視聴されています。ちなみに、東日本大震災が起きた2011年にはスマートフォンの普及率はわずか10%程度でしたが、2023年には90%以上xii)の人たちが所持する状況となっています。こうした中、マスメディアは災害時に役割を果たし続けていくためにも、放送や新聞といった既存サービスの場にとどまらず、日頃からスマートフォンを通じて最適な情報を届ける体制をいかに整えていくかが重要だということを、この調査結果から改めて感じさせられました。 

<図9>240624_graph9.jpg


*調査結果④ 情報入手とメディアへの評価

Q.情報は十分入手できたか?

 最後に、総括的な設問の回答結果を2つご紹介します。
 まず、被災した人たちはどの程度、情報を入手できたと感じていたのでしょうか(図10)。全体では、「十分情報を手に入れる事ができた」「大体の知りたい情報は手に入れる事ができた」が合わせて半数を超えていました。一方で、「孤立者」については、「少し手に入れられない情報があった」「知りたい情報がほとんど/まったく手に入らなかった」が合わせて34%でした。

<図10>240624_graph10.jpg

Q.メディアの情報は役に立ったか?
 被災した人たちにとって、メディアの情報がどの程度、役に立ったのかについても聞きました(図11)。全体では、「十分に役に立った」「まあまあ役に立った」が合わせて65%で、ある程度、役割を果たせたと評価できるのではないかと思います。ただ、「孤立者」については、「あまり役に立たなかった」「ほとんど/まったく役に立たなかった」が合わせて20%でした。

<図11>240624_graph11.jpg


*おわりに
 今回のインターネット調査は、調査会社のウェブモニターを対象としたため人数が限られたこと、また、能登半島の自治体はいずれも高齢化率が高く、インターネットサービスを十分に活用できない人も少なくないことから、本調査だけで被災地の情報伝達の実態を十分に把握することには限界がありました。今後、今回の調査では十分に把握できなかった高齢の被災者たちの実態についても、調査や取材で明らかにしていきたいと思います。
 また、今回の調査では「孤立者」についての分析を試みました。首都直下地震や南海トラフ地震が発生した場合、孤立した状態に置かれる人たちは、今回の能登半島地震の時よりもはるかに多いと思われます。今回の調査で得られた知見を生かしながら、自治体やメディアはどのような準備と心構えが必要なのか、引き続き考えていきたいと思います。


ⅰ) 実施時期 2024年5月2日~7日
実施対象 調査会社に登録しているウェブモニターから募集

ⅱ) https://www.nhk.or.jp/bunken/forum/2024/program.html#programB

ⅲ) 仮設住宅を建設している7市町を選択

ⅳ) 石川県輪島市のウェブサイトでは、6月14日現在の「市内店舗等の営業状況」が掲載されている https://www.city.wajima.ishikawa.jp/article/2024021700020/

ⅴ) こうした新たな動きを報じたものとして・・・
朝日新聞デジタル「LINEのオープンチャット、新しい情報インフラに 能登半島地震で」(2024年2月26日)
https://www.asahi.com/articles/ASS2S4GK5S2SUTIL00C.html

ⅵ) https://www.facebook.com/groups/1534685393298269/?hoisted_section_header_type=recently_seen&multi_permalinks=6860074430759312

ⅶ) 石川県によれば、最大24の地区で3345人が孤立状態に陥っていた

ⅷ) https://www.j-lis.go.jp/lgwan/about/cms_15039.html

ⅸ) 今回の能登半島地震では、輪島市の他、穴水町でもLGWANの設備が損傷した

ⅹ) 坂井さんの他、被災地外でグループの運営に携わった三塚新司さん、才賀美奈さんにヒアリングした

xi) SpaceX社が開発した「スターリンク」

xii) 総務省「令和5年通信利用動向調査」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000169.html

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村上圭子
報道局、ラジオセンターを経て2010年から現職。放送政策やネット時代の放送のあり方、地域メディアの今後について調査研究を進めている。阪神淡路大震災以降、災害情報伝達について取材を行い、東日本大震災では臨時災害放送局の全局訪問調査を実施した。

調査あれこれ 2024年06月11日 (火)

「日本人の意識」調査 "誰もがデータを利用できる"ページを目指して #544

世論調査部 (社会調査) 中山準之助

日本人の意識 1973−2018

「日本人の意識」調査のデータを紹介するページ、もう、ご覧いただけましたでしょうか?
変わった意識・変わらない意識」の特集ほかに、データのダウンロードなど、ぜひ活用していただきたい仕組みも作っています。
今回のページ、誰もがはっきり、わかりやすく結果を読み取れるように。
工夫して作成しました。

まず、工夫の1つは、
①グラフの色使いです。
色覚障害のある方にとって、グラフの色使いによっては、回答の違いを識別しにくい場合があります。
例えば、

fig1-2018seikatsu-2406.png

上のグラフは、赤と緑を見分けにくいという方には下のように見えるといわれています。

fig2-2018seikatsu-2406.png (検証時にシミュレーターで再現・色の見え方には個人差があるのであくまでも一例)

これでは、グラフの回答項目が同じに見えてしまい、識別しにくいと思います。

そこで、「日本人の意識」調査のページでは、このようなグラフにしました。

fig3-q26-2406.png[第26問 理想の人間像]より

濃くて暗い色とうすくて明るい色を交互に並べて、色の境界をわかりやすくしています。

次の工夫は、
②グラフの模様です
色の違いだけでなく、模様をつけて、項目の境もハッキリさせるようにしました。

赤と緑が見分けにくいという方には、下のように見える想定です。

fig4-kodomo-2406.jpg (検証時にシミュレーターで再現・色の見え方には個人差があるのであくまでも一例)


全51問、ぜひ見比べてみてください!→例[第7問 生活充実手段(豊かな趣味)]

日本眼科医会によると、例えば、「赤と緑」「だいだいと黄緑」「茶と緑」など、「先天色覚異常」とされる人は、全国でおよそ300万人。割合にすると、男性の20人に1人、女性では500人に1人といわれます。
少しでも見やすくなっていれば幸いです。

「日本人の意識」調査のページのグラフ、
もう1つ工夫したのが、
③グラフの読み上げ機能です。
目が見えない、見えにくい方の場合、文字を読み上げるソフトウエアでページ内容を確認することがありますが、
多くのソフトで、原則、画面の左上から横方向に順番に読み上げていくようです。

先ほどのグラフで言うと、
「2018」「26%」「16%」「19%」・・・となりますが、これでは、何の項目が、何%なのか理解できません。

そこで、ソフトがグラフを読み上げる際、
項目と数字を一緒に読み上げるよう、画面では見えないところに、読み上げ専用の文字を用意しています。
下の吹き出しのような感じです。

fig5-kodomo-2406.jpg

この仕組みによって、「規律型26%」「権利型16%」「実用型19%」・・・と、項目と数字をセットで読み上げます。
これで、耳で聞いたときにグラフの内容を把握しやすくなります。

今回は、グラフのデザインと、読み上げ機能についてご紹介しましたが、
ほかにも、マウス操作が難しい場合は、キーボードで操作できるようにするなど
"誰もが利用しやすい"ページを目指しています。

こうした、誰もが利用しやすい、"ウェブアクセシビリティー"に配慮したホームページがいま増えてきています。

文研ブログ「#243 放送のアクセシビリティー高めるには 方法を探る」などでも取り上げていますが、ウェブアクセシビリティーについて、総務省のガイドラインにはこう書かれています。
「高齢者や障害者を含め、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることを意味します。」
 (総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」より)

日本人の意識」調査のページも、これまでご紹介したようなウェブアクセシビリティーを高める取り組みを行っていますが、とはいえ、このページには膨大なデータが掲載されており、すべてを読み上げソフトで聞くのは大変かもしれません。
今後の課題といえます。
よりよいページ作りをしていけるよう、引き続き考えていきます。

nakayama.jpg

【中山準之助】
2018年からNHK放送文化研究所で、視聴者調査や社会調査の企画や分析に従事。 これまで「視聴率調査」「接触動向調査」、「東京五輪・パラ調査」「復帰50年沖縄調査」「中高生調査」などを担当。
アナウンサーとして盛岡局で勤務していたとき、東日本大震災が発生し、被災各地の取材を重ねた経験から災害・防災に関する調査を実施し、ライフワークとして研究中。

執筆した記事
文研ブログ
中高生の悩みの相談相手は... ~第6回「中学生・高校生の生活と意識調査」から~【研究員の視点】#487
#422 いまの沖縄の人たちの思いとは? ~「復帰50年の沖縄に関する意識調査」結果から~
#341 被災地の人々が求めている復興とは? ~「東日本大震災から10年 復興に関する意識調査」結果から~
#250 何が避難行動を後押しするのか!? ~「災害に関する意識調査」結果から~
など

調査あれこれ 2024年05月30日 (木)

若年層のSNS利用② Twitter派?Instagram派?【研究員の視点】#542

世論調査部 (視聴者調査)芳賀紫苑

前回のブログでは若年層に注⽬して、SNS利⽤状況の特徴を分析し、主要SNSの多くはLINEを除くと、16~29歳の若年層が利用の中心層であることをお伝えしました。今回は、同じ調査(WEBモニターアンケート*)の結果をもとに、若年層が特徴的に利用している、Twitter(調査当時︓現X)とInstagramに注目して、SNSの利用と意識との関係についてみていきます。LINEを除いて、SNSをひとつ以上利⽤している⼈に「最もよく利⽤するSNS」は何かをたずねました(図1)。Twitterを最もよく利⽤すると回答した人は579⼈、Instagramを最もよく利⽤すると回答した⼈は422人で、男性ではTwitterの利用がInstagramの2倍程度になっているのに対し、⼥性ではInstagramとTwitterがほぼ拮抗(きっこう)していることがわかります。
*調査概要 2023年2⽉実施・全国16〜29歳男⼥(WEBモニターアンケート)1,280⼈

0517young_sns_graf1

Twitter派は「趣味」、Instagram派は「流⾏」「グルメ・レジャー」
 Twitterを最もよく利⽤すると回答した⼈、Instagramを最もよく利⽤すると回答した⼈、それぞれをTwitter派、Instagram派と分けて、分析してみます。

 図2は、どのような情報に関⼼を持っているのか複数回答でたずねた結果です。

0517young_sns_graf2

両者で10ポイント以上差があった項目です。Twitter派が上回ったのは「個⼈的な趣味に関する情報」で、 Instagram派が上回ったのは「⾳楽・芸能などのエンタメ情報」「最近の流⾏・はやりもの」「グルメや旅⾏・レジャー情報」の3つの項⽬です。
 Twitterは多くの⼈が関心をもって見ている分野だけではなく、⾒る⼈が少ない、いわゆるニッチな分野まで、さまざまな話題がつぶやかれています。利⽤者は⾃分の興味に合った話題や、⾃分と同じような関⼼を持っている⼈たちを⾒つけやすく、"個⼈的な趣味"を楽しむサービスとして利⽤され、⼀⽅、写真や動画が中⼼となるInstagramはビジュアルが重要になる流⾏やグルメや旅⾏、レジャー情報といった情報と相性が良いサービスだと⾔われることがあります。

 同じアンケートの中の、⾃⾝の⾏動についてたずねた設問で、「新しいものやサービスはすぐ試してみるほうだ」「家にいるよりも外に出かけるほうが好きだ」という選択肢に「あてはまる」「まああてはまる」と回答した⼈の割合は、Instagram派の方がTwitter派よりも高い傾向にあります(図3)。こうしたことも、関⼼を持っている情報の違いに関連しているのかもしれません。

0517young_sns_graf3

「ニュース(政治・経済・社会の動き)」や「⽣活に関わる実⽤的な情報」「近所や地元に関する⾝近な情報」については、Twitter 派とInstagram派で違いはみられませんでした。

 今回ご紹介した結果の多くは、WEBモニターアンケートであり、統計的に国⺠全体を表すデータではありませんが、多くの⼈が利⽤するSNSで、かつその利⽤が活発な若年層で、その利⽤の状況や特徴を知る上で、ひとつの参考になるのではないかと思います。
 今⽉5月23日、24日開催した⽂研フォーラムのミニコーナーでも、本ブログ(若年層のSNS利用①、②)で取り上げた内容のエッセンスをご紹介しました。フォーラムのすべての内容は、文研HPで見逃し動画を配信中です、ぜひご覧ください。


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【芳賀 紫苑】
2010年入局。山形放送局・制作局でディレクターとして番組制作を担当。2021年より放送文化研究所で視聴者調査の企画・分析に従事。

調査あれこれ 2024年05月16日 (木)

若年層のSNS利用① 使っているサービスは ?【研究員の視点】#541

世論調査部 (視聴者調査)芳賀紫苑

あ~、やっと寝てくれた!
4歳・1歳の子育て中の筆者にとって、寝かしつけを終えたあと、布団の上で一息つく時間は、貴重な"自分の時間"である。
やり残した家事が頭をかすめつつ、もぞもぞとスマホに手を伸ばし、まずはXを開く。トレンド欄にて世間で盛り上がっているハッシュタグを一通りチェックしたら、お次はInstagram。おしゃれなレシピ動画や華やかなファッション投稿をスクロールして現実逃避しているうちに、あっという間に30分近くたってしまった。結局、起き上がる気力はわかず、そのまま、スマホとともに眠りにつく―。

30代半ばの筆者がSNSを使う際の典型的なシーンです。主にメッセージのやりとりのために利用しているLINEを除くと、使っているSNSはX・Instagramの2つです。20代の頃によく見ていたFacebookも、はやっていると聞いてインストールしたTikTokも今ではほとんど使わなくなってしまいました。

世の中の人たちは、どのSNSを利用しているのでしょうか。文研が2022年に行った世論調査の結果で確認してみましょう。図1は主要SNSの利用率を年層別で示したものです。Twitter(調査当時:現X)とInstagramは、16~29歳でともに66%と半数を大きく超え、他の年代よりも利用率が高くなっています。TikTokも同様に16~29歳での利用率が他の年層よりも高く、約3割となっています。ちなみにLINEは、16~29歳で90%、60代でも58%と、どの年代でも他のサービスよりずばぬけて高く幅広い年代で利用されています。LINEを除くと、主要SNSの多くは若年層によく使われているサービスだということがわかります。また、サンプル数が少ないため参考値となりますが、16~29歳をさらに男女別で分析すると、InstagramとTikTokは男性よりも女性、Facebookは女性よりも男性で利用率が高い結果となりました(図2)。

hagasan_graph1.png

hagasan_graph2.png

若年層のSNS利用 その特徴は?
ここからは、16~29歳に対象を絞って実施した別の調査(WEBモニターアンケート*)の結果から、若年層のSNS利用にどのような特徴があるのかを詳しくみていきます。16~29歳の若年層は、どのような組み合わせでSNSを利用しているのでしょうか。
*調査概要 2023年2月実施・全国16~29歳男女(調査会社のインターネットモニター)1,280人

図3はLINEを除いたSNSの利用の組み合わせを示しています。注目してほしいのはTwitter、Instagram、TikTok、Facebookのいずれか1つだけを利用している人の割合です。16~19歳では男性41%、女性24%、20~29歳では男性42%、女性27%と、どちらの年層も男女で10ポイント以上、離れています。男性でも複数のSNSを利用する人は多いですが、ひとつのSNSだけを利用する人は女性よりも男性のほうが多い傾向にあるようです。

hagasan_graph3.png

SNSの長時間利用 その背景は?
では、利用する時間は年齢や性別によって違いはあるのでしょうか?休日を除くふだんの日(平日)にどのくらいの時間、SNSを利用するかたずねました(図4)。「3時間くらい」よりも長い時間利用していると回答した人の割合をみていきます。まず16~19歳では、男性は27%、女性は41%と14ポイント上回っています。20代では、16~19歳に比べ男女ともに長時間利用の割合は下がっていますが、女性のほうが男性よりも、長時間利用している人の割合が高い傾向は変わりません。

hagasan_graph4.PNG

では、SNSが「3時間くらい」以上と回答した人たち(以下、"3時間くらい以上")と、「3時間くらい」未満と回答した人たち(以下、"3時間くらい未満")ではどういった違いがあるのでしょうか。参考までに、SNSに対する意識をご紹介します。(図5)。

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「SNSの内容を話題にすることが多い」「SNSで話題になっていることは知っておきたい」という項目に「あてはまる・まああてはまる」と回答した人は、"3時間くらい未満"でも約6割と多数派ですが、"3時間くらい以上"では約8割にのぼります。SNSが、友人などまわりの人との話題のきっかけになっていることを示すもので、SNSを実生活のコミュニケーションツールとして使っている人が多い傾向にあることがうかがえます。同時に「SNSをチェックしないと不安だ」という項目に回答した人も"3時間くらい以上"では約7割と、"3時間くらい未満"の5割を上回っています。「SNSをチェックしないと不安だ」という気持ちから長時間利用につながっているのではないかということも推測されます。

今回のブログでは、若年層に注目して、SNSの組み合わせや利用時間をご紹介しました。さて、冒頭に記したように30代半ばの筆者は後半で紹介したWEBモニターアンケートの対象年齢にはあてはまりませんが、SNSで話題になっていることは知っておきたいと思いますし、SNSの内容を家族や友人と話題にすることも多くあります。夜な夜なスマホでSNSを見てしまうのは、チェックしないと不安だという思いが少なからずあるからです。複数のSNSを利用し、その楽しさにハマっていくほどに、抜け出せなくなる傾向は、若年層に限らないのかもしれません。次回のブログでは、最もよく利用するSNSに注目して、若年層の特徴を分析してみます。

『放送研究と調査』では、人々のメディア利用について、さまざまな調査結果を報告しています。 また、今月開催する文研フォーラムでも、24日(金)プログラムCの後のミニコーナーにてこの内容のエッセンスをご紹介しますので、ぜひご覧ください。

文研フォーラムの視聴申し込みは5月17日(金)までとなっています。こちらのページからお申し込みください。
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【芳賀 紫苑】
2010年入局。山形放送局・制作局でディレクターとして番組制作を担当。2021年より放送文化研究所で視聴者調査の企画・分析に従事。

調査あれこれ 2024年05月08日 (水)

中高生の"イライラ"や"不安"、背景にあるものは?【研究員の視点】#539

世論調査部(社会調査村田ひろ子

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 5月になると、大型連休明けの「五月病」が心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。とりわけ多感な時期の子どもたちは、新学期初めの緊張感が少しほぐれつつも、「なんとなく不安」「学校に行くのが嫌だな」と感じることもあるかもしれません。
 子どもたちは、日ごろ、どんな心理状態にあるのでしょうか?昔と最近の子どもでは、違いがあるのでしょうか?NHK放送文化研究所が、中高生の年代を対象に1982年から定期的に実施してきた「中学生・高校生の生活と意識調査」の結果からみていきましょう。
 調査では、中高生の心理的な状態を探るために、「思い切り暴れ回りたい」「何でもないのにイライラする」「すぐ不安になる」といったことについて、どの程度感じるかを聞いています。このうち、「思い切り暴れ回りたい」と感じることが『ある(よく+ときどき+たまに)』中高生は、1982年の調査では約8割に達していました。校内暴力や子どもの家庭内暴力が社会問題となっていた時代で、多くの中高生が「暴れ回りたい」と感じていたようです。この回答は、その後減少傾向をたどり、2012年には約3割にとどまっています。ただ、直近の2022年調査では再び増加し※1、半数近くにまでなっています。

 

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そのほかにも、「何でもないのにイライラする」や「すぐ不安になる」という中高生も、2022年調査では増加傾向がみられました。イライラ、不安を抱えながら過ごしている中高生が、増加に転じているようです。
 背景の一つとして考えられるのは、スマホ利用の浸透です。いまや多くの中高生がスマホを使ってSNSを駆使していますが、スマホに没頭しすぎて、片時もスマホを手放せなくなる「スマホ依存症」も社会問題となっています。2022年調査で「スマートフォンが手元にないと、不安になる」と回答したのは、中学生が24%、高校生が43%でした。スマホがないと不安になることが、スマホ依存に直結するわけではありませんが、データを詳しくみると、子どもたちの心の状態と何らかの関係がある可能性がうかがえます。「スマホが手元にないと、不安になる」と答えた人は、「不安にはならない」と答えた人に比べて、「思い切り暴れ回りたい」「何でもないのにイライラする」「すぐ不安になる」割合がいずれも高くなっています。

 

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 また、2020年以降のコロナ禍の影響も考えられます。新型コロナウイルスの感染拡大によるストレスの程度別※2にみると、コロナによるストレスが多い中高生のほうが、「思い切り暴れ回りたい」「何でもないのにイライラする」「すぐ不安になる」と答えた人の割合が高くなっています。

 

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 調査が実施された時期は、2年余り続いたコロナウイルス感染症によるさまざまな制限が大幅に緩和されたものの、まだ残っていた時期でした。
 直近の2022年調査はそれまでとは調査方法が異なるため、その違いによる影響の可能性も排除できませんが、スマホ利用やコロナによるストレスが、子どもたちの不安定な心理に何らかの影響を及ぼしているのかもしれません。

 中高生の生活や意識がこの40年間でどのように変わったのか、あるいは変わらなかったのか? 多岐にわたる質問領域から、40年分の中高生のホンネが見える中高生調査のデータサイトはこちらから!

「中学生・高校生の生活と意識調査」
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/


※1直近の2022年調査は、それまでとは調査方法が異なるため、過去の結果と単純に比較することはできず、意味合いについては質問ごとに慎重に検討する必要があります(2012年までは個人面接法、2022年は郵送法で実施)。
※2新型コロナウイルスの感染拡大によるさまざまなストレスについて複数回答で聞いた結果、選んだ項目数が4 個以上の人を「コロナによるストレス多」、1個以下の人を「ストレス少」と定義して、不安定な心理を尋ねる質問とのクロス集計を行いました。

 

調査あれこれ 2024年04月30日 (火)

テレビはジャニー喜多川氏の死をどのように伝えたか② ―死去翌日、夜のニュース番組の分析から―【研究員の視点】#538

メディア研究部 東山浩太/宮下牧恵

【連載のこれまで】
 このブログ連載は、テレビ報道が生前のジャニー喜多川氏(以下、ジャニー氏)をどのように表象してきたかを分析・検討するもので、今回はその2回目にあたる。

 前回確認したことをおおまかに示す(詳しくは連載第1回を参照のこと)。
 旧ジャニーズ事務所(以下、ジャニーズ事務所)の創業者、ジャニー氏は2019年7月9日に死去した。死去した時点で、彼が同事務所に所属していた少年たちに性加害を行っていた事実は司法で認定されていた(2004年2月の最高裁)。ただ、彼が大多数の少年たちに対し、長年にわたって性加害を繰り返していたことが広く社会に認知されるようになったのは2023年からだったと言える。
 連載では、ジャニー氏の生前のふるまいを、テレビ報道がどのように伝えたかをみていく。その作業を通じて、ニュースには、ジャニー氏が持つ権力性や彼が培った芸能文化などに対する、送り手のどのような意識が反映されていたのか。その可能性を示すことが目的である。
 分析・検討の対象はジャニー氏が死去した翌日の2019年7月10日、夜21時以降の「キャスターニュース」時間帯の各局のニュース番組に絞った。その中の追悼にあたる特集を取り上げることとした。

 今回は、同日夜の各局のニュース番組におけるジャニー氏を追悼した特集の概要を示す。以下の一覧表を参照されたい。
 これは、コーダー(分析者)が実際に番組の録画を視聴したうえで、どのような属性の人物が・何人・どのような内容を語ったかなど、カテゴリーごとにコーディングし(分類し)、記述したものだ。NHK放送文化研究所の東山浩太と宮下牧恵の2人がコーディングし、誤差がないよう検討を繰り返した。
 なお連載の1回目と同様に、テレビ局と番組名は一部略称としている。

◎ジャニー氏追悼をめぐる特集内容の概要~一覧表

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 番組名は、上からチャンネル順に記載した。各番組の放送時間や、キャスター、またタレントの所属グループ名は全て2019年7月10日時のものである。テレ東のWBSはこの日、ジャニー氏関連のニュースを放送しなかった。
 この表について、筆者たちがなぜこうしたカテゴリーを設けたのか、これによって何がわかると考えたのかなどを補足する。

①キャスター
 キャスターについては、ジャニー氏死去に関するニュースの原稿を読み上げたり、そのニュースについて発言したりした者の名前のみを記載した(コメンテーターは除外)。この表をみると、テレビ局に所属、あるいは所属していないアナウンサーと報道記者出身者が起用されている。
 キャスターとは、ニュース番組の「顔」であり、そのコメントは、番組を代表してそのニュースに示される価値観や評価として視聴者に受けとめられがちである。その一方で、キャスターコメントは、番組の編集責任者と協議して練り上げられていたり、スタッフによって書かれていたりするケースもあるため、その発言に伴う責任は複合的に判断されるはずのものである。
 しかしながら、やはりジャニー氏の生前のふるまいについて、番組の抱く価値観や評価がわかりやすく表明されているポイントの一つではあると思われる。そこで次回以降、番組ごとにキャスターのコメントの意味するところを詳しく、分析・検討する。

②放送の順番
 ニュース項目の放送の順番については、その日のニュース番組の中で、ニュースバリューが大きいと判断されたものが優先される傾向にある。あくまで、判断基準は相対的なものであり、事件や事故、災害などのブレイキングニュース(速報)が優先されるケースもある。
 いずれにせよ放送の順番は、各番組でジャニー氏の死去のニュースバリューがどれほどのものと判断されたのかを測る目安である。送り手の明確な意思を読みとることができる。 
 以下の表では、テレ東を除いて分析対象とする5局・5番組のニュース項目の放送順を示した。
(ニュース項目のタイトルは、番組がテロップ(文字情報)で提示したままのものもあるが、わかりにくい場合は、筆者たちが内容から判断したタイトルを記述しているものもある)

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 民放では時間尺が1分にも満たない、いわゆるフラッシュニュースを集めたコーナーを設けているが、そうしたニュースも1項目として数えた。また、和歌山市で警察官に職務質問をされていた男が車で逃走、警察官がけがをしたというニュースは、番組終了の22時近くになってNHKが放送したブレイキングニュースである。
 それらを踏まえたうえで、放送順の表をみると、全ての番組で上位3位以内にジャニー氏死去のニュースが入っていた。この日の夜のニュース番組ではそのバリューは大きいと判断されたと言えるだろう。
 唯一、テレ朝の報ステがジャニー氏のニュースをトップ項目に据えた。判断の詳しいポイントはわからないが、大勢の視聴者に関わりのあるという意味で、公共性のある文化的なニュースだと送り手が判断したことは間違いなさそうだ。

③特集時間占拠率
 特集時間の占拠率とは、「番組全体の放送時間尺に占める、ジャニー氏を追悼した特集の放送時間尺の割合」のことである。放送順のみならず、放送の量の観点からニュースバリューを測る目安であり、ここからも送り手の明確な意思を読みとれる。
 一覧表で全番組を比較すると、日テレのnews zeroの割合が突出して大きいことがわかる。全体の30%あまり、時間にして18分あまりである。NHK・NW9とテレ朝・報ステ、TBS・news23は10%台であるが、フジ・ニュースαは6%と最も割合が小さい。
 前回述べたが、この前日、死去当日のジャニー氏の訃報は、23時30分にブレイキングニュースとして入ってきた。ちょうど放送時間の最中だったnews zeroは、23時30分以降、気象情報を除いてジャニー氏に関してのみ伝え続けた。時間尺は26分あまりだった。死去当日と翌日をあわせると45分あまり。死去当日と翌日、夜のニュース番組で、最も多くの時間をジャニー氏に割いたのは同番組だったことになる。

④言及内容
 言及内容とは、「特集の中で、ナレーションのほか、キャスターやタレントなど出演者の発話を通じて語られたことの内容」である。
 前提として一覧表にも記したが、▼1999年から2000年にかけて、週刊文春がジャニー氏による少年たちへの性加害疑惑を告発する報道を展開したこと、▼そして、ジャニー氏側と雑誌の発行元である文藝春秋との間で争われた民事裁判において、2004年2月、最高裁で東京高裁の判決が確定し、ジャニー氏による性加害の事実が司法で認定されたことについて言及した番組は全くなかった。
 2019年7月のジャニー氏の追悼に際して、この点が一切触れられていなかったことは、報道の規範からすると不作為だったとみなされるであろう。
 それを踏まえたうえで、特集の中で語られたことについては、(1)追悼、(2)功績評価、(3)エンタメ(エンターテインメント)への思い、(4)本人(ジャニー氏)の素顔、の4つのサブカテゴリーに大別できると筆者たちは判断した。
 それぞれ、構成する要素を具体的に説明していく。

(1) 【追悼】:このカテゴリーを構成する要素は、ジャニー氏の死去に対して、「感謝の念、または、悲しみや惜しむ気持ちの表明など」とした。
 【追悼】は、全番組が扱った。ジャニーズ事務所の大勢の所属タレントたちが寄せた言葉こそ、まさに追悼にほかならない。しかし、それらからは悲しいといった後ろ向きのニュアンスは抑制されていた。
 例えば、NW9で、近藤真彦氏が寄せた言葉はこのように引用された。
(タレントたちのコメントの表記に関しては、番組でテロップ表示されている場合はそれに従った)

"あのころ13歳のあんな僕に声をかけてくれてありがとうございました" " 今の僕があるのはジャニーさんのおかげです"

また、news zeroで、嵐の松本潤氏が寄せた言葉はこのように引用された。

23年前一本の電話で僕の人生を変えたのはジャニーさんです それから数々の夢を見せてもらいました もっとジャニーさんの作るショーが観たかった もっと話がしたかったです
ジャニーさん ぼくをエンターテインメントの世界へ導いてくれてありがとう そして嵐を作ってくれてありがとう


 事務所所属のタレントのコメントとして引用されるものに頻出するのは、「ありがとう」「感謝」という言葉である。それは、例示したように、何者でもなかったはずの自分という存在を見いだしてくれたことにささげられるパターンが多い(松本氏のコメントには死を惜しむニュアンスも感じられる)。
 ニュースαで、Kinki Kidsの堂本光一氏のコメントはこのように引用された。

ジャニーさんが注いできた舞台への愛情 そして僕自身にくださった愛情は計り知れないほど大きく ずっと大事にぼくの中で生き続けます Show must go on この言葉を胸にこれからも

 これは、ジャニー氏から受け取ったショーにかける精神を大切にしてこれからも頑張る、という将来に向けての言葉だ。
 「ありがとう」と「これから」。所属タレントの寄せた言葉は、主に前向きなイメージを喚起させるものが紹介されていた。
 
 では、悲しみの声はどうか。タレントではなく、街頭で収録された一般の人のインタビューから聞くことができた。news23から引用すると、「すごく心配はしてましたけれども、けさのニュースで一報を聞いたときにはものすごくショックでした」との声が取り上げられている。
 【追悼】カテゴリーは、以上のような要素から構成されていると判断した。

(2)【功績評価】:このカテゴリーを構成する要素は、「ジャニー氏の日本の芸能界での存在感、大衆芸能史で果たした役割や、優れた人材発掘・育成への称賛など」とした。
 まず、【功績評価】は一覧表のごとく、全番組で取り上げられていた。ジャニー氏をSMAPや嵐など、大人気アイドルグループを生んだ存在として語っていた。
 そして、報ステとnews23は、ジャニー氏が日本の大衆芸能史で果たした役割の一つに言及していた。1960年代には一般的でなかった「歌って踊る男性アイドル」というジャンルを創り出した点である。
 さらに、NW9、報ステ、news23は、日本の芸能界の大きな存在であるジャニー氏が、海外でも認められる偉業を成し遂げたことを伝えた。2011年から翌年にかけて、「最も多くのナンバー1シングル」をプロデュースした人物などとしてギネス世界記録に認定されたことである。ちなみに前日の死去当日(7月9日)の夜のニュース番組では、news zeroとニュースαともにギネス世界記録に触れていた。2日連続でみれば全番組が触れているということだ。
 続いて、「優れた人材発掘・育成」という要素だが、これについては筆者たちが確認したところ、言及したのはNW9とnews zeroの2番組で、ほかの番組は言及していないという判断で一致した。
 優れた人材というのはこの場合、人気を博して活躍するタレントを指す。2番組でジャニー氏の人材発掘に関する語りはおおよそ共通していた。それは、ジャニー氏はオーディションに臨む少年たちをあまり観察していないようにみえて、実はしっかり観察しており、最終的には「本能」「インスピレーション」で合否を決めるというものである。2番組ともジャニー氏を長く取材しているという外部のジャーナリストに語らせていた。詳しい分析は次回以降に譲る。

(3)【エンタメへの思い】:このカテゴリーを構成する要素は、「ジャニー氏のエンターテインメントにかける情熱や、その背景に対する言及など」とした。これは、ニュースαを除いて4番組が取り上げていた。
 各番組とも、ジャニー氏のエンタメにかける情熱が最も注がれたのは、自ら構成演出した舞台でのショーだ、という描き方で一致していた。
 例えばnews zeroは、舞台上でプロジェクションマッピングとワイヤーアクションを融合し、高層ビルを飛び回っているかのように見える演出を行っていたことを紹介した。ジャニー氏が、ショーの質を高めるために最新技術まで気を配っていたという点を伝えていた。
 また、【エンタメへの思い】という要素の中で、彼がエンタメを何のために創っていたかという背景について、そこまで触れているところとそうでないところがあった。前者はnews zero、報ステ、news23の3番組で、いずれも「自らの戦争体験をもとにした平和への思いを主に舞台で表現した」というストーリーを採用していた。
 ジャニー氏は第2次世界大戦中、和歌山に疎開し、そこで大空襲に遭っている。3番組は、戦争の悲惨さを投影して制作されたショーを資料映像で見せながら、彼の平和を希求する思いを紹介していた。
 news23は、かつて朝日新聞に掲載されたジャニー氏のインタビュー1)からこのような言葉を引用していた。

説教がましくは言いたくない。ショーで日本にもかつて戦争があったことを知ってもらえれば。昔を生きているからこそ、平和の尊さが分かっている。

 ただ、この「自らの戦争体験をもとにした平和への思いを主に舞台で表現した」というジャニー氏に関する語りは、死去以前から主に新聞や雑誌媒体でみられていたものである2)。新しい切り口ではない。

(4)【本人の素顔】:このカテゴリーを構成する要素は、「生前、なかなか知られなかったジャニー氏の意外な側面など」とした。
 これはNW9、news zero、news23で確認できた。死去した著名人の意外な素顔を伝え、身近な存在として感じてもらうという手法は、追悼報道ではよくみられる。
 NW9では、ジャニー氏が他者を呼びかける際にいつも口にするとされていた、「YOU(ユー)」という言葉について触れている。生前、NHKのラジオ番組に出演した際3)、彼自ら「YOUと呼ぶ理由」について説明しているくだりを引用していた。

アメリカではみなYOUっていうのは主語になって言うからYOUって言っちゃうんですよ。ついね。例えば「痛い」って言いますよね。いまだにこの年になっても「アウチ」ですよね。そうなっちゃうんですよ。

 ジャニー氏は青年時代まで、アメリカで過ごすことが多かった。その名残で、(よわい)を重ねても、自然と他者にYOUと呼びかけてしまったり、日本語では「痛い」と言うところを思わず「アウチ」と言ってしまったりする‥‥‥そのような自分語りだった。

 ほかの番組でも、このようなジャニー氏にまつわる、いわば「本人は面白さを狙っていないのに受け取る側は面白い」というべきエピソードを、タレントたちに語らせるなどの形で紹介していた。

⑤追悼したタレント
 追悼したタレントとは、「ジャニー氏の死去について追悼コメントを寄せたタレントのうち、番組で紹介された者の名前」を指す。コメントはメディア一般に向けたものがほとんどだが、木村拓哉氏や山下智久氏のものはSNSで公開された。
 コメントのうち「音声あり」(青字で記載)は、タレント本人の音声をそのまま生かして放送されたものである。それ以外は本人の音声はないが、本人の映像や静止画を、テロップで表示したコメントとあわせて提示し、ナレーターがそれを読み上げる形で放送された。
 一覧表を見てわかるように追悼コメントは、音声がないものがほとんどだった。
 一方で、音声があるもののうち、報ステとnews23は、自局であるテレ朝とTBSの朝のニュース・情報番組に出演した際のタレントの映像と声を使用していた。前者は少年隊の東山紀之氏、後者はTOKIOの国分太一氏だ。
 タレントの追悼の言葉を次々と紹介することで、送り手は何を意図したのだろうか。筆者たちは、「最愛の子ども」などと称される事務所所属の人気タレントたちの追悼を大量に放送することで、「育ての親」としてのジャニー氏の偉大さを際立たせる狙いがひとつにはあったとみている。誰がどのような内容をどのように語ったのかは、今後詳しくみていく。

⑥街頭取材
 街頭取材とは、「街頭でインタビューを収録した人の数とその属性」を指す。
 性別の分類は、あくまでその人が外見でどう見えるかによってのみ判断した。news zero、報ステ、news23が街頭で取材を行っており、対象は女性ばかりだった。
 街頭インタは、特定の社会的出来事について、市井の人々の声を聞くという、報道では往年の手法である。ただ、そこに統計学的な代表性があるわけではなく、声の使われ方の恣意(しい)性はかねて指摘されるとおりである。
 筆者たちも、そうした送り手の恣意が入り込む余地に注目して「街頭取材」というカテゴリーを設けた。送り手は、主要な取材で得られた情報をさらに強調したり、あるいは欠けている部分を補足したりしてくれる街頭インタを選択して使う傾向がある(もちろん、意外な考え方を見つけだすという役割もある)。
 つまり、送り手の狙いを分析するうえで、街頭インタは有力な手がかりになってくれると言える。

 今回は、ジャニー氏が死去した翌日、各局、夜のニュース番組におけるジャニー氏を追悼した特集の概要をまとめた一覧表を示し、補足説明を加えた。今後、番組ごとに、一覧表におけるカテゴリーがどのように構成され、送り手の意識を反映している可能性があるのか、ひとつひとつの分析・検討に入っていく。


<注釈・引用資料>

1) 朝日新聞2017年1月23日夕刊「ショーに託す、平和の願い ジャニーズ事務所・ジャニー喜多川社長に聞く」

2) 上記の記事のほか
朝日新聞2015年1月21日朝刊「『フィーリングで感じて』 ジャニー喜多川さんインタビュー」
太田省一「ジャニーズの正体」(双葉社、2016年)p50~p51 など

3) NHKラジオ第一「蜷川幸雄のクロスオーバートーク」2015年1月1日放送

 

メディア研究部 東山浩太
2003年、記者として入局。2017年から文研に在籍  


メディア研究部 宮下牧恵
1999年ディレクターとして入局。2008年より文研に在籍

調査あれこれ 2024年04月26日 (金)

テレビはジャニー喜多川氏の死をどのように伝えたか① ―死去翌日、夜のニュース番組の分析から―【研究員の視点】#537

メディア研究部 東山浩太/宮下牧恵

◎はじめに~連載の目的
 大勢の人気男性アイドルを輩出してきた旧ジャニーズ事務所(以下、ジャニーズ事務所)創業者のジャニー喜多川氏(以下、ジャニー氏)は、2019年7月に87歳で死去した。4年後の2023年、報道や、同事務所が設けた外部有識者たちのチームによる調査などで、生前、彼が多数の少年たちに性加害を繰り返していたことが広く社会に知られることとなった。
 このブログ連載では、ジャニー氏が死去した時期に焦点を絞り、当時のテレビニュースの録画を確認したうえで、報道番組と言われるテレビ番組がどのように彼を追悼したのか、分析・検討する。
 死去した時点で、彼の性加害は事実であると司法では既に認定されていた(後述)。そうした人物の生前のふるまいをどのように報じたかをみることで、当時のニュースには、ジャニー氏が持つ権力性や彼が培った芸能文化などに対する、送り手のどのような意識が反映されていたのか、その可能性を示すことが目的である。
 言い換えると、送り手側がジャニー氏関連のニュースを取材・制作するときに現れる(くせ)のようなものを可視化することを目指す。そのことは、批判が寄せられるマスメディアのジャニーズ関連報道の実情を解き明かす一助になるのではないか。
 ブログの執筆はメディア研究部の東山浩太と宮下牧恵が担当する。
 ジャニー氏の性加害が司法に認められた2004年2月当時、東山は報道、宮下は制作の、それぞれ地方の現場の末席にいた。ジャニー氏の問題を担当する立場ではなかったが、関心を示さなかったことはマスメディアの一員として恥ずべきことだと認識している。
 この調査研究はそうした者たちの後知恵によるものだという批判は甘んじて受けたい。

 連載の1回目である今回は、まず、ジャニー氏の経歴を紹介するとともに、番組を分析・検討するにあたって筆者たちの問題意識について述べる。

◎ジャニー氏とは~(1)ジャニー氏の経歴
 はじめに、本連載で取り上げるジャニー氏とはどのような人物なのか、簡潔に紹介する。
 ジャニー氏は1931年、アメリカのロサンゼルスで生まれ、1933年に日本に帰国した。戦時中は、和歌山に疎開し、戦後の1947年、姉のメリー喜多川氏(ジャニー氏死去後のジャニーズ事務所の会長、のちに名誉会長)とともに渡米。滞在中、アメリカを訪れた美空ひばりの通訳を手伝うなどしてショービジネスの世界に親しんだ。1952年に再び帰国し、アメリカ大使館に関係する仕事などに就いていた。
 1962年、ジャニー氏はジャニーズ事務所を創業し、2年後には初めて手がけた男性アイドルグループ「ジャニーズ」をレコードデビューさせた。1960年代後半から70年代にかけて「フォーリーブス」や郷ひろみをデビューさせ、彼らは一世を風靡(ふうび)した。
 1975年、ジャニー氏は同事務所を株式会社として法人化した。
 80年代に入ると「たのきんトリオ」「シブがき隊」「少年隊」、後半には「光GENJI」をデビューさせ、彼らも大人気を博した。所属タレントのテレビの歌番組などへの出演が増加するに伴い、ジャニーズ事務所は有力な芸能プロダクションとして、メディアの世界での影響力を増していった。
 90年代以降、ジャニー氏は国民的アイドルとも称される「SMAP」をはじめ、「TOKIO」「Kinki Kids」「V6」「嵐」などをデビューさせ、彼らはドラマやバラエティー、報道、スポーツ、それにコマーシャルといったテレビのさまざまな分野に進出し、絶大な人気を獲得した。さらに2000年代~2010年代に至っても「NEWS」「A.B.C-Z」「King&Prince」といったグループのプロデュースを手がけた。
 加えてジャニー氏は、2011年から2012年にかけて、「最も多くのナンバー1シングル」をプロデュースした人物などとしてギネス世界記録にも認定され、海外にも功績が知られた。
 彼は「ジャニーズJr.(ジュニア)」というタレントの育成システムを採用した。ジャニーズ事務所特有の育成システムとして指摘する識者もいる1)。少年たちをタレントとしてまだ成熟しているとはいえない段階から、先輩タレントのバックダンサーとして舞台に立たせるなどして育成し、人気のある者はテレビ番組に出演させた。Jr.の選考や育成の方針はジャニー氏の判断によっていた。

(2)ジャニー氏の性加害問題とは
 次に、ジャニー氏をめぐる重大な出来事として、彼による性加害の問題について簡潔に説明する。
 彼の性加害の疑惑については1960年代から問題視され、週刊誌で報道されていた。また、1988年には元フォーリーブスのメンバーによるジャニー氏の性加害を実名で告発した書籍が出版され、以降、ジャニーズ事務所の内情に関する暴露本がたびたび出版されてきた。
 1999年10月からは、「週刊文春」が14週連続でジャニーズ事務所に関する特集を掲載。同誌はジャニー氏の少年に対する性加害を証言する関係者などに取材し、記事化していった。
 こうしたキャンペーン報道を受けてジャニー氏と同事務所は、雑誌の発行元である文藝春秋に対して、名誉棄損であるとして損害賠償を求める裁判を起こす。一審を経て二審の東京高等裁判所は2003年7月、ジャニー氏による「セクハラ行為」の真実性を認定する判決を下した。2004年2月には最高裁判所がジャニー氏側の上告を棄却したことで、性加害の事実が司法で認められた。これ以降も、ジャニーズ事務所は具体的な再発防止策を取ることはなかった。
 それから19年後の2023年3月、イギリスの公共放送BBCがジャニーズ事務所在籍時にジャニー氏から性被害を受けたという男性の証言などを改めて報道した。同年4月には、元ジャニーズJr.であるカウアン・オカモト氏が記者会見を行い、在籍中に複数回性被害を受けたことを訴えた。これをきっかけに日本のマスメディア(新聞・テレビ)が徐々にジャニー氏の性加害を報じる流れができていった。
 こうした状況を受け、ジャニーズ事務所は5月に弁護士や精神科医などで構成する「外部専門家による再発防止特別チーム」を設けた。同チームは関係者へのヒアリングなどを行い、その結果を「調査報告書」に取りまとめ、8月に公表した。調査報告書では2)、ジャニー氏は「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、(中略)性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」とした3)

◎問題意識~(1)連載の問題意識
 本ブログでは、広くいえば、日本の芸能史で大きな存在感を発揮するとともに、一連の性加害の実行者であったジャニー氏をテレビ報道がどのように表象してきたのか、というテーマを扱う(表象とはここでは「直観的に思い浮かぶイメージ」のこと)。筆者たちがそのテーマになぜ注目するのかの動機、つまり問題意識を示したい。
 これまでみてきたように、ジャニー氏の性加害の事実が広く社会に認知されたのは、2023年になってからだったと言える。 
 2003年の東京高裁判決を経て、2004年の最高裁で高裁判決が確定し、性加害の事実は司法の認めるところとなった。
 しかし、日本のマスメディアはそれを積極的に報じたとは言い難く、テレビ局で報じたところはなかった。前掲の調査報告書では「マスメディアの沈黙」という項を設け、「テレビ局をはじめとするマスメディア側としても、ジャニーズ事務所が日本でトップのエンターテインメント企業であり、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道すると、ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組等に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるのではないかといった危惧から、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えていた状況があったのではないか」と指摘している4)
 こうした社会的な批判の高まりを受け、NHKと東京の民放キー局5局は自らの不作為をめぐり、ジャニー氏の性加害やジャニーズ事務所の存在をどのように認識してきたか、検証を始める。2023年9月から11月にかけ、形態や時間尺もさまざまだが、各局とも職員・社員やOBらからのヒアリングを中心とした検証結果を放送した。
 おしなべて、「芸能ゴシップ」の類いとしてジャニー氏の性加害の取材に積極的でなかったこと、性被害、特に男性が被害に遭うことへの意識の低さがあったことなどを認めるとともに、絶大な影響力のあるジャニーズ事務所への配慮の有無を検証していた。所属タレントによる事件を報じる際に、報道幹部が必要以上に慎重になるなど「忖度(そんたく)」があったと認める局があった一方、同事務所からの圧力や同事務所への忖度が自社の報道をゆがめ、手加減につながったというような事例は1件も確認できなかったとする局もあった。

 筆者たちが違和感を覚えたのは、各局の検証報道を視聴した際であった。過去、ジャニー氏やジャニーズ事務所についてどのように報道してきたか、具体的なニュースの映像を使って説明した局がほぼなかったという点についてである。スタジオでアナウンサーがヒアリングの結果を説明するのみで、VTRが放送されないという形式の番組もあった。
 視聴者にとって、出来事がテレビ局によってどのように伝えられたかを知るためには、アーカイブ映像の提示が最も有効であると筆者たちは考える。過去の映像を具体的に示さなければ、送り手側としても、自らの報道にどのような判断や意思が反映されていたのか、視聴者に詳しく、わかりやすく説明することは難しいのではないか。特に、本件のように送り手の説明責任が求められている問題においては、具体性は必要だろう。
 そこで、今回、過去のニュース映像を視聴することで、各局が報道を通じてジャニー氏とジャニーズ事務所についてどのような点を特徴的に描いてきたかを分析・検討することとした次第である。
 また、この連載はテキストではあるが、当時のおおまかな放送内容を記録するという意味もあると考えている。

(2)分析対象番組の選定について
 ジャニー氏やジャニーズ事務所が、テレビでどのように伝えられてきたか。全体像をつかむには、膨大な映像資料を分析・検討する時間と作業が必要となる。
 今回は、物理的制約があるため、そうした調査研究には取り組まない。筆者たちは可能な範囲内で目的を果たすために、すなわちテレビ報道に反映された、送り手のジャニー氏や同事務所に対する意識の一端を明らかにするために、ふさわしい分析の時期や対象を検討した。結果、2019年7月、ジャニー氏が死去した直後、追悼が集中して行われた時期のニュース番組が妥当であると思い至った。
 理由としては著名人の追悼にあたるニュースの放送は、通常、生前のその人の仕事や人となりについて、テレビ局が価値観(評価)を示し、視聴者と共有する機会であるからだ。ニュースの内容から、各局のその時点のジャニー氏に対する意識を端的に察することができる可能性(見込み)が高いと判断した。
 具体的な分析対象とするニュース番組は、平日に毎日放送されるものとし、かつ放送時間帯としては夜21時以降の「キャスターニュース番組」の時間帯に限定した。ニュースは朝から夕方にかけてのニュース・情報番組の中でも放送される。にもかかわらず、絞り込んだ理由として2つを挙げる。

①夜のキャスターニュース番組は、1日の集大成という意味で、局を代表するニュース番組と受け止められるため。
②夜のキャスターニュース番組について、各局は報道番組と位置づけているとみられるため。つまり、「取り上げる対象について、公平性を担保しつつ健全に批判する」という意味でのジャーナリズムを、できるだけ忠実に具現化する性質を持つものと考えられるため。

 夜のキャスターニュース番組を列記すると、NHK「ニュースウオッチ9」(以下、NHK/NW9)、日本テレビ「news zero」、(以下、日テレ/news zero)、テレビ朝日「報道ステーション」(以下、テレ朝/報ステ)、TBS「news23」、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(以下、テレ東/WBS)、フジテレビ「FNN Live News α」(以下、フジ/ニュースα)の6つとなる。

 さらに分析対象としては、できるだけ多くの番組が・ある程度の時間尺を使って・ジャニー氏死去を扱った、という条件を備えた日が望ましい。内容の比較を行い、番組ごとの描き方の違いをつかむことに適しているからだ。
 ジャニー氏が死去した2019年7月9日は火曜日だった。火曜日から12日の金曜日にかけてその条件に最も適したのはいつか。死去翌日の10日(の夜のニュース番組)だった。6番組中、NW9、news zero、報ステ、news23、ニュースαの5番組がジャニー氏の死去を2分30秒以上の特集として取り上げていた。
 死去当日の9日はどうだったのか。取り上げていたのは、news zero、news23、WBS、ニュースα、の4番組にとどまった。理由として考えられるのは、訃報がブレイキングニュース(速報)とされたからだろう。
 2019年7月1日、ジャニーズ事務所はジャニー氏がくも膜下出血で入院していると発表した。同年6月18日に救急搬送され、所属タレントが次々と彼の入院先に見舞いに訪れているとした。嵐のメンバーがそろい、ジャニー氏への励ましを報道陣へ語った。そののちの7月9日、ジャニー氏は午後4時47分に死去した。
 筆者たちが録画を確認したところ、9日の夜は、ほぼ23時30分に全局がジャニー氏の死去を速報するスーパーを流した。当時を知る報道関係者によると、同事務所と各局との間で、23時30分まで情報を解禁しないという決まりになっていたということである。そのため、放送を終えていたNW9と報ステは番組内で訃報を取り上げることができなかった。
 また、12日にはジャニー氏の家族葬が執り行われたが、取り上げたのは4番組だった。
 このようにより多くの番組の比較を可能にするため、死去翌日の10日の放送分を対象として選んだ。ただし、分析の中心はあくまで10日とするが、特に死去当日の9日との放送内容の関連は重要になるので、後に述べる。
 連載では、テレビ報道がジャニー氏の死去を取り上げた長時間のごく一部しか取り上げられない。つまり断面の一つでしかなく、限界はここにある。したがってこの調査研究は、一つの断面から、このようなことが言える可能性があるという仮説を探索するタイプのものとなる。

 連載の次回では、各局、7月10日夜のニュース番組において、ジャニー氏を追悼した特集の概要を一覧できる表を示す。

(続く)


<注釈・引用資料>

1) 朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR9Z4J31R9VUCVL04J.html
「家族であり自分自身でもあるジャニーズ 今ファンにできることは」(2023年9月30日)
同記事の日本大学国際関係学部、陳怡禎のインタビューより

2) 外部専門家による再発防止特別チームによる調査報告書(公表版)
https://saihatsuboushi.com/調査報告書(公表版).pdf

3) 2)のp21~

4) 同上p53~

以上、2024年4月1日確認

<参考資料>

太田省一「ジャニーズの正体」(双葉社、2016年)

矢野利裕「ジャニーズと日本」(講談社、2016年)

※ジャニー氏の経歴については「調査報告書」を基礎資料とした

 

メディア研究部 東山浩太
2003年、記者として入局。2017年から文研に在籍  


メディア研究部 宮下牧恵
1999年ディレクターとして入局。2008年より文研に在籍

調査あれこれ 2024年04月08日 (月)

中高生の40年分のホンネがつまった「中高生調査データ」のページ、オープン!#531

世論調査部(社会調査)村田ひろ子・中山準之助

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 NHK放送文化研究所が、1982年から定期的に実施してきた「中学生・高校生の生活と意識調査」の調査結果をまとめたページが新たにできました!
 この調査は、学校生活や友人・親子関係、テレビやネット利用、将来展望などの幅広い質問領域から、中高生と保護者の意識を読み取ることができる世論調査です。
 このページでは、中高生と保護者それぞれを対象にした調査あわせて全150項目以上の時系列データから好きなものを選んでグラフや表で見られます(上の画像からアクセス可能)。学年ごと、親子間など、さまざまな角度から比較できるほか、集計結果もダウンロードできます。中高生を対象にした調査では、中学高校別のほか、性別や学年、男女中高別の結果なども選べます。
 調査自体は幅広い分野にわたりますが、ここでは、「心理状態」カテゴリから、「不安な気持ちになる?」を選び、さらに「悩みごとの相談相手」について、中学生・高校生別の結果を紹介します。

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 悩みごとの相談相手として、黄色の「友だち」を選んだのは、どの時代の調査でも高校生が中学生より多くなっています。時代の変化に注目すると、「友だち」を選んだ人は、1982年に6~7割を占めていましたが、最新の2022年調査では約4割と減少傾向が見られます※。その一方で、ピンク色の「母親」を選んだ人は、1982年の1~2割から2022年の3割と増加傾向です。

 グラフデータのほか、研究員の視点からデータを読み解いたコラムも掲載。調査結果をさまざまな角度から分析しています。

 

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 中高生の生活や意識がこの40年間でどのように変わったのか、あるいは変わらなかったのか? 多岐にわたる質問領域から、40年分の中高生のホンネが透けて見えるかもしれません。一度のぞいたら、何度もアクセスしてみたくなるコンテンツが盛りだくさんです!

「中学生・高校生の生活と意識調査」

※直近の2022年調査は、それまでとは調査方法が異なるため、過去の結果と単純に比較することはできず、意味合いについては質問ごとに慎重に検討する必要があります。

調査あれこれ 2024年03月12日 (火)

パーティー券裏金問題 進まぬ真相究明 ~無力感漂う岸田自民党~【研究員の視点】#530

NHK放送文化研究所 研究主幹 島田敏男

 2月29日と3月1日の両日、衆議院の政治倫理審査会が何とか開催にこぎつけました。しかし説明に立った岸田総理大臣と安倍派・二階派の事務総長経験者5人からは核心に迫る発言はありませんでした。

 そもそも5人は政治倫理審査会の開催や公開にも及び腰で、新年度予算案の衆議院通過を急ぐ岸田総理が、野党側に追い立てられて自らオープンの場で説明に立つと表明して引っ張り出したようなものでした。形だけという批判が出たのも当然です。

 政治とカネの問題での進展がないまま、新年度予算案の審議が参議院で続く3月8日(金)から10日(日)にかけてNHKの月例電話世論調査が行われました。

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☆衆議院の政治倫理審査会で、安倍派・二階派の事務総長だった5人が説明を行いました。あなたは説明責任が果たされたと思いますか。果たされていないと思いますか。

 果たされた 7%
 果たされていない 83%

これを詳しく見ると、果たされていないは与党支持者で8割、野党支持者で9割強、無党派で9割弱に上っています。真相究明に向けて自民党執行部が積極的に動いていない点、そして党内からも自浄努力を求める活発な動きが出ていない点に国民が強く憤っているように感じます。

 無力感漂う自民党へのまなざしの厳しさは、政党支持率の低下に端的に表れています。

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☆最近の政党支持率(%)

  11月   12月   1月   2月   3月
 自民党 37.7
29.5
30.9 30.5
28.6
 無党派(支持なし) 38.5 43.3 45.0 44.0 42.4


自民党の政党支持率が20%台に落ち込んだのは、2012年の政権復帰後、岸田内閣の最近の2回だけです。自民党が減った分が野党に回ったかというとそれはわずかで、全体に占める無党派の割合が増えて4か月連続で40%台 を占めています。自民党支持者の中から無党派に流出する、いわゆる様子見の人たちが少なくないことをうかがわせます。

 無力感漂う自民党が問題克服に一気に乗り出せない状況は、岸田内閣の支持率低迷にもつながっています。

☆あなたは岸田内閣を支持しますか。それとも支持しませんか。

 支持する 25%(対前月±0ポイント)
 支持しない 57%(対前月-1ポイント)

東京地検特捜部が捜査に着手した去年の11月以降、岸田内閣の支持率は20%台に下落し、低い水準での横ばいが続いたままです。逆に不支持率は岸田内閣発足後、最も高い水準のままです。

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 岸田総理は一連の事態打開のために2枚のカードを切りました。1枚は岸田派の解散宣言。これがきっかけになって麻生派、茂木派以外の各派閥は解散へと向かいました。自民党所属国会議員370人余りのうち、70%以上が「無派閥」を名乗るという状況になっています。

 もう1枚のカードが、先の衆議院の政治倫理審査会に自ら出席し、テレビ中継も行われた公開での説明に臨んだことです。本人とすれば指導力を発揮したという自負があるのでしょうが、国民の受け止めはそれほど甘くありませんでした。

☆岸田総理は現職の総理大臣として初めて衆議院の政治倫理審査会に出席しました。この対応を評価しますか。評価しませんか。

 評価する 45%
 評価しない 47%

政権維持のために決意表明を連発したものの、発言の内容は真相究明には全く不十分で、問題に関係した議員の処分についても具体的な内容には触れなかったため評価は分かれました。

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 派閥の政治資金集めのために所属議員がパーティー券を売りさばき、ノルマを超えた分は議員の政治団体の収入になるというこの問題。政治資金規正法のルールを無視し報告書に記載しなかったことで、外から見えない裏金となり国民の怒りを買ったのは当然です。

 折しも2月16日には確定申告が始まっていて、一般の納税者は収入を自己申告して所得税を払い、漏れがあれば追徴金を払うことになります。「政治活動に使う資金は課税されない」という法律の仕組みも含めて疑問を抱く納税者が出るのも無理はありません。

 そういう中で政権の継続をあきらめず、新年度予算の年度内成立に執念を燃やす岸田総理には、どういう希望的な観測があるのでしょう。総理周辺によると念頭にあるのは「デフレ脱却宣言への道筋」だと言います。先の日経平均株価の34年ぶりの最高値更新などを足掛かりに、春闘での大幅賃上げを実現して国民にアピールするという楽観的な展望のようです。ただ、国民は景気回復のリアリティーを感じていません。

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☆日経平均株価はバブル期の1989年12月につけた史上最高値を更新しました。あなたは景気がよくなっている実感がありますか。ありませんか。

 ある  10%
 ない  83%

与党支持者、野党支持者、無党派の別にかかわらず、8割から9割が「実感がない」と答えています。株価の高騰は大口投資家のもうけになるだけ。賃上げがあっても物価の上昇で消えてしまう。これが庶民の実感です。

 今の通常国会の会期末は6月23日です。その前の4月28日には衆議院の3つの小選挙区で補欠選挙が行われます。その後の衆議院の解散・総選挙の可能性を占う上でも大きな意味を持ちます。

 そして岸田総理の自民党総裁としての3年間の任期は今年9月まで。岸田氏は続投を目指そうとするでしょうが、それに対して自民党の内外からどういう動きが出てくるのかは不透明です。

 いずれにしても政治とカネの問題を乗り越えなければ岸田自民党に対する国民の信頼は回復しません。「信無くば立たず」=民衆の信頼が無ければ政治はなりたたないという古くからの言葉は、まさに今の日本の状況に当てはまりそうです。

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島田敏男
1981年NHKに入局。政治部記者として中曽根総理番を手始めに政治取材に入り、法務省、外務省、防衛省、与野党などを担当する。
小渕内閣当時に首相官邸キャップを務め、政治部デスクを経て解説委員。
2006年より12年間にわたって「日曜討論」キャスターを担当。
2020年7月から放送文化研究所・研究主幹に。長年の政治取材をベースにした記事を執筆。

調査あれこれ 2024年02月02日 (金)

「日本人の意識」調査 データサイトへようこそ!#525

世論調査部(社会調査)原美和子/中山準之助

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 文研の代表的な世論調査、「日本人の意識」調査の、約半世紀にわたる調査結果をまとめたデータサイトが完成しました。

 この調査は1973年(昭和48年)に始まり、その後2018年(平成30年)まで、5年ごとに全部で10回の調査がおこなわれました。
 日本人の基本的なものの見方や考え方を長期的に追跡するため、調査方法や、質問・選択肢はほとんど変えていません。同じ条件で調査することで、結果を比較することが可能になっています。

 データサイトでは、全51問の時系列データを選んでご覧いただけます(上記のバナーからアクセスできます)。また結果はダウンロードできます。

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 調査内容は多岐にわたりますが、ここでは、「仕事と余暇のありかた」(調査での質問名は「仕事と余暇」)を選んでみます。

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 全体結果です。一番下のグラフが1973年の結果です。左から3番目 の選択肢「仕事にも余暇にも、同じくらい力を入れる」という人が、この45年間に21%から38%に増えました。一方、1973年には最も多かった「余暇も時には楽しむが、仕事のほうに力を注ぐ」人は36%から19%に減りました。

性別や年齢、都市規模、学歴別の結果も選べます。
こちらは男性と女性の結果です。

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 意識の変遷でたどる45年間の軌跡。みなさんそれぞれの「なるほど!」「びっくり!」、そしてもしかしたら「どうして?」を楽しみながらご利用いただければと思います。

 最後になりますが、この調査には合わせて30,000人以上の方(36,079人)にご協力いただきました。改めて御礼を申し上げます。

 「日本人の意識 1973‐2018」
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/nihonzin/