文研ブログ

調査あれこれ 2022年06月22日 (水)

#399 「あなたの印象に残った五輪競技は何ですか?」② ~「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」~

世論調査部 (視聴者調査) 斉藤孝信

 前回のブログから、文研が2016年から7回にわたって実施した「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」の結果をもとに、東京オリンピック(以下、五輪)で、どのような競技や式典が人々の印象に残ったのかをご紹介しています。
 まずはおさらいとして、大会前の第2回から第6回で尋ねた「見たい競技・式典」と、大会後の第7回で尋ねた「印象に残った競技・式典」を改めてご覧いただきます。
saitou2-1.png <前回ブログのポイント>
 ①大会前は「体操競技」「陸上競技」「開会式」「競泳」が「見たい競技・式典」のトップ4を占め続けていた。
 ②大会後の「印象に残った競技」では、トップは「卓球」、2位「柔道」、3位「ソフトボール」となり、さらに、第6回まではトップ10に入らなかった「スケートボード」が8位、「バスケットボール」も10位と、日本勢のメダル獲得競技が多くの人の印象に残った。
 ③大会前にあまり注目されていなかった競技が、日本勢の活躍によって一躍注目を浴びたのは、2018年ピョンチャン冬季五輪の「カーリング」によく似ている。

 今回は、「印象に残った競技・式典」の順位が、実は、性別や年代によって入れ替わるというお話をします。男女年層別のトップ5一覧表を作りましたので、皆さま、ぜひご自身の印象と見比べてみてください。

 saitou2-2.png 「卓球」はすべての年代でトップですが、ご注目いただきたいのは「スケートボード」と「バスケットボール」です。前提として、この2競技は、どの年代でも3割前後から4割ほどの人が「印象に残った」と答えているわけですが、それを承知のうえで、今回はあえて、性別・年代別の順位で語ります。
 全体では「印象に残った競技・式典」のトップ5に入らなかった「スケートボード」と「バスケットボール」。ところが、男性の40代以下と女性の50代以下ではトップ5に入ります。特に女性の30代では「スケートボード」が、「卓球」に次ぐ2位。女性の40代では「スケートボート」が3位、「バスケットボール」が4位です。
 大会を通して最も印象に残ったシーンや出来事についての自由回答でも、特に20代から40代の人を中心に、
 「スケートボードで13歳の女の子が金メダルを獲得した。嬉しかった!」(女性30代)
 「女子バスケットボールの準々決勝。残り時間わずかの時に3ポイントシュートを決めて、逆転。銀メダル、すごい」(女性40代)
 …といった回答が大変多くありました。

 また、「スケートボード」については、 
 「スケートボードの決勝で、優勝候補の選手が最後までチャレンジし続けた勇気。
結果的に表彰台を逃したものの、そのチャレンジを選手同士がたたえ合う姿を見て、
メダルを勝ち取るのとは異なる、スポーツの新しい価値感や可能性を感じた」(男性40代)
 「負けても人を思う気持ち。勝つだけではない。若い人のこれからの生き方が楽しみだ」(女性20代)
 …というように、勝ち負けやメダルだけではなく、これまで知らなかった“競技文化”に触れ、感銘を受けた人が多くいらっしゃいました。

 次回のブログでは、性別や年代以外の切り口で、「印象に残った競技・式典」の分析を掘り下げます!

 『放送研究と調査』6月号では、7回にわたる世論調査の結果をもとに、“人々にとって、東京五輪・パラとは何だったのか”を考えます。人々はコロナ禍での開催をどのように感じていたのか。そうした状況で大会をどのように楽しんだのか。今大会は人々にとってどのような意義を持ち、東日本大震災からの“復興五輪”たりえたのか。そして、日本にどんなレガシーを遺したのかなど、さまざまな視点で考察します。どうぞご一読ください!