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調査あれこれ 2019年04月12日 (金)

#180 都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは~

メディア研究部(メディア動向) 入江さやか
編成局 編成センター      西 久美子


■大都市・大阪を襲った「直下型地震」

2018年6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生。
大阪市北区、大阪府高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱の強い揺れを観測しました(以下、大阪北部地震と表記)。この地震で、関西地方の多くの鉄道が当日の夕方にかけて運転を見合わせたため、いわゆる「帰宅困難者」が多数発生しました。NHK編成局編成センターとNHK大阪放送局では地震発生当日のメディア利用動向を早期に把握するため、大阪府在住の16~79歳の男女・2,051人を対象にインターネットによる調査を行いました。さらにこの調査結果を揺れの大きかった大阪府北部とそれ以外の地域に分けて分析しました。

大阪北部在住の回答者の4分の1が「帰宅困難者」に

調査結果をみますと、大阪北部に在住する回答者(1,014人)のうち、25%の人が「歩いて帰宅した」「自宅に帰らず外出先などに泊まった」「普段と違う交通機関を使って帰宅した」などと回答し、いわゆる「帰宅困難者」になっていたことがわかりました。

これらの「帰宅困難者」が、帰宅の可否を判断するのに利用したメディアについては、「インターネットのポータルサイト(Yahoo!・Google等)」が27%で最も多く、次いで「NHKテレビ」(23%)「交通機関のサイト・乗り換え案内アプリ」(17%)「民放テレビ」(16%)などとなっていました。自分の行動や対応を決めるための情報を、主にテレビやネットから得ようとしていたことがわかりました。

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図1 大阪府北部在住の「帰宅困難者」が帰宅の可否の判断に利用したメディア
(複数回答・上位5位まで)
 
 

■もしもテレビやスマホが使えなくなったら?

今回の大阪北部地震では、交通・通信・ライフラインなど大都市を支える機能が一時的に停止・低下しましたが、テレビ・スマートフォンなどの情報機器はほぼ使用できる状況でした。一方、この地震から2か月半後の「北海道胆振東部地震」では、北海道のほぼ全域が停電(ブラックアウト)し、テレビやスマートフォンやパソコンが利用しにくい状況になり、ラジオが主な情報源になりました。

都市直下型の大地震の際に正確な情報が得られないと、帰宅できないばかりか、大きな混乱につながるおそれもあります。今回の地震を受けて大阪府では、災害時の一斉帰宅の抑制とともに、「安否確認・情報収集手段の確保」も呼びかけています。テレビやネットが使えなくなった場合に備えて、電池で使える「ラジオ」もぜひ1台備えておきたいものです。

190412blog3.jpgのサムネイル画像

図2 大阪府が作成したチラシ「STOP!一斉帰宅」から
(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23998/00000000/chirashi.pdf)

今回の調査結果の詳細は、NHK放送文化研究所のウェブサイトでご覧いただけます。
「放送研究と調査」2019年3月号 
都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは?~

あわせて、「北海道胆振東部地震」の調査報告もぜひお読みください。
「放送研究と調査」2019年2月号 
北海道ブラックアウト どのメディアが機能したのか 
~「北海道胆振東部地震」メディア利用動向インターネット調査から~