文研ブログ

2023年10月16日

メディアの動き 2023年10月16日 (月)

【メディアの動き】関東大震災100年,各メディアが特集「災害教訓の誤った語り継ぎ」の事例も

 9月1日で,1923(大正12)年の関東大震災の発生から100年になった。各メディアは1日の前後に特集番組や特集記事を相次いで放送・掲載。関東大震災の被害を振り返り,今後の大地震への備えなどを訴えた。

 このうち4日にNHK総合で放送された『映像の世紀バタフライエフェクト』は,関東大震災で奇跡的に焼け残った東京の神田佐久間町・和泉町を取り上げた。周辺がことごとく焼失する中,この地区の住民はバケツリレーなどで消火にあたり延焼を食い止めた。この2つの地区が焼失を免れたのは,すぐそばに神田川が流れていたことや,火が迫ったタイミングが,はじめは地区の南側,次に西側,東側,最後に北側と時間差があり,消火活動を1方向に集中できたことなどが大きな要因だった。しかし,「住民の団結によるバケツリレー」ばかりが強調され,美談として語り継がれた。番組では,このエピソードが戦争遂行のために次第に都合よくすり替えられ,「住民は空襲から逃げず立ち向かう」「焼夷弾が落ちたら1秒でも早く駆けつけ消火にあたる」などの無謀かつ危険な行動の手本として利用されたことを紹介。そして1945(昭和20)年3月10日の東京大空襲では,神田佐久間町・和泉町も焼け野原となり多くの人が逃げ遅れて亡くなったことを伝えた。

 災害時の教訓は,ときに一部だけが強調されて美談となり,誤った内容で語り継がれる危険性があることを,この事例は示している。情報の途絶によって拡散し,朝鮮人の虐殺などを引き起こした「流言飛語」とともに,100年前の震災が今に伝える教訓である。

メディアの動き 2023年10月16日 (月)

【メディアの動き】ニュージーランド,TVNZが広告収入減で事業の大幅な見直しを迫られる

 ニュージーランド最大の放送局TVNZが,広告収入の大幅減に直面し,大規模なコスト削減を迫られている。9月18日に経営側からスタッフに送られた文書で明らかになった。

 文書で経営側は,「現在,テレビ広告市場は厳しい状況にあり,最大のプレーヤーとして影響を受けている」と危機感を訴えた。幹部らは,「すべての可能なコスト削減の機会」を特定したとして,あらゆるプロジェクトの見直し,幹部や高収入スタッフの昇給の停止,出張回数の大幅減,マーケティング調査やインフラ整備の大規模な縮小など,多方面にわたるコスト削減の具体策を示した。

 TVNZは,これまでたびたび運営形態を変えてきた。1943年に設立された国営放送局が前身で,長年にわたり受信料と広告収入に支えられていたが,2000年に受信料制度が廃止された。2003年には政府全額出資の株式会社になり,広告収入や商業収入を財源としている。

 株式会社になってからも,他局があまり取り上げないテーマや少数派の意見に配慮した番組を放送することなどを使命とする「TVNZ憲章」を掲げていたが,2011年に廃止された。憲章が柔軟な企業活動を妨げるなどとして議会が廃止を決めたが,公共放送サービスの存在意義を軽んじるものだとの批判もあった。

 広告・商業収入のみで運営してきたTVNZは,2020年以降,新型コロナウイルスの影響による景況の悪化などから広告収入を大幅に減らしており,2023?24年の会計年度には1,560万ニュージーランドドル(約14億円)の赤字が見込まれている。

メディアの動き 2023年10月16日 (月)

【メディアの動き】韓国KBS 理事会,社長を解任し後継選びを開始

 韓国の公共放送KBSは9月12日午前,臨時の理事会を開き,キム・ウィチョル(金儀喆)社長の解任案について審議し,理事11人のうち与党系の理事6人が賛成して可決した。ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が同日午後にこれを承認し,キム氏は社長職を解任された。

 キム前社長はムン・ジェイン(文在寅)政権時代に任命された。解任案は8月末の定例理事会で与党系の理事によって提出され,経営の悪化や偏向報道などが解任理由に挙げられた。今回の臨時理事会では,キム前社長に弁明の機会を与え,解任案の決議を行う予定だったが出席せず,書面で意見を提出していた。野党系の理事5人は「解任は不当だ」として採決前に退席する中で可決された。

 キム前社長は「解任されるほど大きな過ちを犯したとは思わない」として,9月13日に解任取り消しを求め提訴した。KBSの社長をめぐっては,ムン・ジェイン政権下の2018年にコ・デヨン(高大栄)社長が解任されたほか,イ・ミョンバク(李明博)政権下の2008年にもチョン・ヨンジュ(鄭淵珠)社長が,政権交代後に任期途中で解任されている。解任された2人は行政訴訟を起こし,その後,勝訴している。

 KBSの理事会は後任の社長選びを開始し,9月25日に募集を締め切った。12人が応募し,同月27日の書類選考の結果,ユン大統領と親交のある夕刊紙,文化日報の論説委員を務めていたパク・ミン氏を含む3人に絞られた。10月に理事会が面接を行って最終候補者を決める予定で,国会での聴聞会を経て,大統領が新社長を任命する。