文研ブログ

2023年7月13日

メディアの動き 2023年07月13日 (木)

【メディアの動き】カナダ,プラットフォーム事業利益の報道機関への分配を義務づける

 カナダ議会は6月22日,Google(Alphabet)やMetaなど検索エンジンやソーシャルメディアのプラットフォーム事業者に,ニュース記事の掲載で直接・間接的に得るデジタル広告収入などの利益の一部を報道機関に分配することを事実上,義務づける「オンラインニュース法(OnlineNewsAct)」を可決・成立させた。

 同法は事業者に報道機関との交渉を義務づけ,一定期間内に合意が得られない場合は,監督機関(CRTC)のもとで調停者の判断により決着させられる。

 オーストラリアが2021年に導入した制度を参考にした。

 企業との間の力関係の不均衡に配慮してメディアのグループによる交渉を認め,一定の透明性を持たせるため毎年,独立監査も実施する。

 対象となるメディアやIT企業の認定基準,CRTCによる監督や調停の方法など,具体的な施行規則は官報で発表し,広く意見を募ったうえで確定させる。

 カナダ政府は,同法の施行は民主主義に不可欠なニュースメディアの存続のために必要で公正な措置だとしている。

 一方,同法に反対してきたMetaはカナダでは自社プラットフォーム上でニュースを閲覧させないようにすると発表。

 Googleも検索結果にカナダのニュース記事リンクを掲載しないなどの対応をとると表明した。

 新法はカナダ政府によるニュースメディア支援策の一環で,カナダではこのほか,報道に携わる労働者の雇用費の25%分の税控除や,オンラインニュース購読費の15%分の税控除,地方のニュースの空白地帯などで公的機関や公的課題を取材するジャーナリストの雇用費補助などが実施されている。

メディアの動き 2023年07月13日 (木)

【メディアの動き】仏議会下院文化・教育委員会,公共放送改革に関する調査報告書公表

 フランス議会下院の文化・教育委員会は6月7日,議員調査団がまとめた,今後の公共放送のあり方に関する,提言を含む報告書を承認し,公表した。

 2022年8月に受信料にあたる公共放送負担税が廃止されたが,提言をふまえ,財源に関しては,改革に必要な法案も議会に提出されている。

 今回の調査報告書は,公共放送トップやメディア関係者など200人以上にヒアリングを行い作成された。

 公共放送の財源については,2024年末までの暫定措置として行われているTVA(付加価値税)の税収からの拠出を,2025年以降も継続するために必要な法改正を行うことを提言としてあげている。

 また,公共放送としての特性を改めて重視するため,公共テレビFranceTélévisionsの広告は,夜8時から翌朝6時の番組について,これまで規制の対象外だったスポンサーシップやデジタルサイトの広告を含めて一切廃止することもあげた。

 報告書によると,FranceTélévisionsの広告収入は,2022年度,全体で約4億ユーロ(約600億円)で,広告廃止による減収については,MetaやGoogleなどデジタルサービス事業者への課税による税収で補?すべきだとしている。

 さらにデジタル時代において,公共放送各局の連携を迅速に強化するため,公共テレビ,公共ラジオ,国際放送,INA(国立視聴覚研究所)を1つの持ち株会社のもとで統括することなどが盛り込まれた。

 持ち株会社設立については,上院の議員が作成した公共放送改革法案の中でも柱の1つにされ,6月12日に上院で採択されている。

メディアの動き 2023年07月13日 (木)

【メディアの動き】韓国KBS,受信料の分離徴収の動きが加速,財政基盤が脅かされる事態に

 韓国の規制監督機関である韓国放送通信委員会(KCC)は6月16日,公共放送KBS の受信料と電気料金の分離徴収を目的とする放送法施行令の改正案を公表し,国民から意見を募集した。

 韓国では,受信料は電気料金とともに徴収されているが,放送を見ていなくても支払う仕組みとなっていることから反発が強く,韓国政府は制度の見直しを行っていた。

 改正案の公表に対してKBSは,分離徴収が実施されれば受信料の大幅な減収が予想されるため,激しく反発した。

 キム・ウィチョル社長は19日,職員に対し「KBSの独立性を維持するための最後の砦となる」と述べたうえで,21日には施行令改正手続きの差し止めを求めて憲法裁判所に仮処分を申し立てた。

 また,BBCなど世界の公共放送8局の会長が組織するグローバル・タスクフォース(GTF)は22日,このままではKBSは存続の危機に直面し,使命を果たせなくなるとの声明を出した。

 GTFは,偽情報があふれ社会が二極化する中,信頼できる情報源である公共メディアを弱体化させるべきときではないとも警告した。

 意見募集は26日まで行われ,寄せられた約4,700 件のうち89.2%が分離徴収への反対意見だった。

 ただ,7月上旬に予定されているKCCの議決では改正案が可決される可能性が高い。

 差し止め訴訟の判断にもよるが,早ければ7月中にも改正施行令が公布され,分離徴収が確定する。

 公共メディアの必要性や役割について議論が深まる前に手続きが加速しており,KBSは受信料収入という財政基盤が脅かされる事態となっている。