文研ブログ

2022年7月29日

調査あれこれ 2022年07月29日 (金)

#407 女性20代・30代は東京五輪・パラをどう楽しんだのか?② ~「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」~

世論調査部 (視聴者調査) 斉藤孝信

 前回に続いて、文研が2016年から実施した「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」の結果をもとに、女性の20代と30代が東京オリンピック・パラリンピック(以下、五輪・パラ)をどのように楽しんだのかご紹介します。

 <前回ブログのポイント>
 ①五輪・パラを『楽しめた』人は、どの性別・年代でも、7割前後から8割程度と多数を占めた。
 ②女性20代・30代は、ふだんスポーツを視聴する人は4割ほどしかいないのに、五輪・パラを楽しめた人は7割もいる。ふだんスポーツを視聴しない女性20代・30代でも、6割以上が五輪・パラは楽しめた。
 ③『五輪に関心があった』人の割合は、女性20代は52%と全体よりも少なく、女性30代も59%と6割に達していない。

 浮かび上がった謎は・・・
 女性20代・30代は、ふだんスポーツを視聴する人も、五輪に関心があった人も全体より少ないのに、なぜか、五輪・パラを『楽しめた』人は他の年代と同じぐらいに多かった。

 今回は、この謎を明らかにします!
 20代や30代の女性は、大会をいったいどのように楽しんだのでしょうか。
 大会後の第7回調査で、東京五輪でどのようなことを楽しんだのか、複数回答で尋ねた結果を、全体と女性20代・30代で比べてみます。

2-5-1.png 全体でも、女性20代・30代でも、トップは「テレビやインターネットなどで競技や式典を見ること」でした。
 2番目も同じで「家族や友人などと話題にすること」です。ただ、回答の割合をみると、全体が29%なのに対して、女性20代・30代は36%で、全体を上回っています。どうやら、20代や30代の女性は、“大会をきっかけにした周囲とのコミュニケーション”も楽しんだ人が多かったようです。
 さらに、ふだんスポーツを視聴しない人に絞って、女性20代・30代の楽しみ方のランキングをみてみます。
 2-5-2.png ふだんスポーツを視聴しない女性20・30代では、「テレビやインターネットなどで競技や式典を見ること」と「テレビやインターネットで聖火リレーを見ること」、つまり、大会そのものに関する楽しみ方では、楽しめた人の割合が全体を下回りました。
 その一方で、「家族や友人などと話題にすること」や「選手や著名人が発信した大会関連のSNSを見ること」、「お祭り気分を味わうこと」など、“大会をきっかけにした周囲とのコミュニケーション”や“お祭り気分”に関する楽しみ方では、全体と同程度の人が、楽しめたと答えています。
 ふだんスポーツを視聴する人が少ない女性の20代・30代が、どうして五輪・パラは楽しめたのか?という疑問へのひとつの答えとして、この年代の女性たちが、大会をきっかけにしたコミュニケーションやお祭りムードなどを通じて大会を楽しんでいたことが、調査結果からみえてきました。

 次回のブログでは、そもそも五輪のどんな点に関心を持っていたのかという点でも、女性20・30代ならではの特徴が浮かび上がってくるというお話をしようと思います。

 『放送研究と調査』6月号では、“人々にとって、東京五輪・パラとは何だったのか”と題して、人々はコロナ禍での開催をどのように感じていたのか。そうした状況で大会をどのように楽しんだのか。今大会は人々にとってどのような意義を持ち、日本にどんなレガシーを遺したのかなど、さまざまな視点で考察しています。どうぞご一読ください!