文研ブログ

2020年11月 4日

放送博物館 2020年11月04日 (水)

#281 NHK放送博物館で「キトラ古墳壁画 国宝への道のり ~四神をとらえたカメラ~」の展示を開催中です

放送博物館 山本さぎり


 NHK放送博物館では、10月24日から企画展「キトラ古墳壁画 国宝への道のり ~四神をとらえたカメラ~」を開催しています。

 この企画展は、2019年に国宝指定されたキトラ古墳の壁画をはじめて映し出したのがNHKのカメラであること、2020年が文化財保護法制定70年にあたることから、キトラ古墳の壁画調査の内容を中心に、NHKがこれまで数多く文化財の調査・保護や活用に関わっていることを映像や資料をもとに紹介しています。ここでは展示のテーマと概要を紹介します。

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1. キトラ古墳の石室内に描かれた壁画とNHKのカメラ
 1983年、奈良県明日香村にあるキトラ古墳の本格的な調査がはじまりました。11月7日に行った第1次探査で、石室内に入ったのがNHKのファイバースコープカメラです。この時、北壁に四神の「玄武」が映し出されました。この映像はテレビを通じて世間の注目を大いに集めました。
 その後1998年3月5日と6日に第2次探査が行われました。この時はNHKが古墳探査用に開発したロボットカメラが使われ、四神の「白虎」と「青龍」、そして天井に天文図があることがわかりました。この<古墳探査用ロボットカメラ>は放送博物館が所蔵しています。
 展示では、入口で第1次・第2次探査でカメラが石室に入り壁画を見つける映像をご覧いただけます。会場に入ると、1/2サイズの古墳石室模型と古墳探査用ロボットカメラが並ぶとともに、実物のおよそ2倍の大きさで再現した石室内部の壁画の様子を体験できるコーナーもあります。

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企画展示室入口


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キトラ古墳石室模型(1/2サイズ)と1998年の探査で使用した古墳探査用ロボットカメラ

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石室内体験コーナー ※石室画像は、国(文部科学省所管)、奈良文化財研究所提供

2. NHKと文化財
 NHKはこれまで内外の貴重な文化財について、研究者とともに調査や追跡取材を重ね記録し、番組を制作・放送しています。それだけでなく、ドラマや教養番組での再現シーン、学校教育用としても多く活用しています。
 展示では、文化財の復元・再現の記録、歴史ドラマや教養番組での再現方法、そして8Kカメラで撮影した文化財の高精細画像の活用などを、番組と参考にした資料などから紹介します。
 また当館では、昭和天皇が戦争の終結を伝えた「終戦の詔」の玉音盤を保存しながら展示しています。この復元から展示への経緯を解説しています。
 玉音盤は当館3階「ヒストリーゾーン」で、8Kスーパーハイビジョンの番組は中2階「愛宕山8Kシアター」でぜひご覧ください。

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NHKと文化財コーナー展示風景

 紹介した内容は、NHKが文化財と関わった取り組みのごく一部にすぎませんが、ぜひお越しいただき展示を通じて番組を作る人々に思いをはせてみてください。


NHK放送博物館 企画展「キトラ古墳壁画 国宝への道のり ~四神をとらえたカメラ~」
会期  :2020年10月24日(土)~12月25日(金)
会場  :3階 企画展示室
休館日 :月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は火曜日休館)、年末年始
入場料 :無料
開館時間:午前10時~午後4時
所在地 :〒105-0002 東京都港区愛宕2-1-1
TEL  : 03-5400-6900