文研ブログ

2019年5月17日

調査あれこれ 2019年05月17日 (金)

#186 東京五輪・パラまで1年余り。 人々の意識に変化は!?

世論調査部(視聴者調査) 斎藤孝信


2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、残すところ1年余り。観戦チケットの予約開始や、各種目の代表選考など、大会に関するニュースや話題を耳にする機会が多くなってきたように感じます。

文研では2016年から継続して、全国の20歳以上の男女3600人を対象に「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」をおこなっています。最新の第4回調査(18年10月実施)の結果は、「放送研究と調査」4月号で詳しく報告しているほか、文研のホームページでも全文をお読みいただけます。
このブログでは、その中から、今回の注目点を少しだけご紹介します!

<準備状況の評価が大幅に改善>
大会の準備状況についての評価は、調査開始からの2年間で大きく改善しました。
「とても順調だと思う」と「まあ順調だと思う」を合わせた『順調だ』は、第1回(16年10月)の18%から、第4回は52%になり、すべての調査を通じて初めて『順調ではない(あまり+まったく)』を上回りました。

第1回調査は、大会の総費用が3兆円を超える可能性が明らかになったり、新国立競技場の着工が遅れたりしていた時期でしたので、多くの人々が準備の進ちょくを危惧していたのでしょう。
それから2年が経ち、第4回調査の時点では、各競技施設の建設が着々と進み、競技日程も発表された(発表は18年7月)こともあり、『順調だ』と受け止める人が増えたのではないでしょうか。

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ちなみに(今回の報告内容からは、少し横道にそれますが)・・・。
前回の東京オリンピックの時はどうだったのでしょうか。

文研が東京都民を対象に、1964年6月に実施した世論調査(「オリンピックの準備は、あまり進んでいないようだ」という意見に対して、「賛成」か「反対」か「どちらともいえない」かの3択で回答してもらう方法)をひもといてみると・・・。

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このように、大会が4か月後に迫る中でも、半数以上の人が「準備はあまり進んでいない」と厳しい評価をしていました。当時は、交通インフラ整備や街の美化などが「五輪までに間に合うのか?」と問題になっていたようです。そうした不安と、国内初のオリンピックを成功させなければ!というプレッシャーが、この数字の裏側にはあったのかもしれません。

<「純粋なスポーツ」として捉える人が増えたパラリンピック>
第4回調査では、パラリンピックに対する人々の意識にも変化がみられました。たとえば、「パラリンピックは、どのように伝えるべきか(スポーツとして?福祉として?)」では、「オリンピックと同様に、純粋なスポーツとして扱うべき」が、第1回の37%から、43%に増加しました。

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全文掲載した報告の本編では、ここでご紹介した内容のほか、大会への関心の有無や、開催に伴う期待と不安、大会時のメディア利用の意向なども詳細に報告しています。ぜひご一読ください。