文研ブログ

2018年12月 7日

調査あれこれ 2018年12月07日 (金)

#157 ラプソディと「リアル」

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之


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いま話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」、ご覧になりましたか?

私は公開直後にドルビーアトモス版を鑑賞。ラスト20分あまりのライブシーンは圧巻でした。(余談ですが、懐かしさのあまりクイーンが過去に楽曲提供した「フラッシュ・ゴードン」(オープニング「だけ」は最高!)や「ハイランダー/悪魔の戦士」といった作品のBDを久しぶりに奥から引っ張り出しました。)

さて、場内が明るくなった後の客席の空気感から、私が思い出したのが「シン・ゴジラ」と「カメラを止めるな!」。いずれもSNSを通じての情報拡散が大ヒットにつながったとされる映画ですが、個人的には、上映後の観客たちの「一体感」、まさにこの日のこの上映回を共有したという実感があり、作品それ自体はもちろん、劇場での体験こみで楽しんだ作品でした。よくマーケティングでいわれる「リアル」イベントの価値とは、こういうことなのだろうな、と肌感覚で納得したものです。(それぞれの作品で「応援(発声)上映会」が話題になったのも偶然ではないと思います。)

この「リアル」という価値、私がこの1年あまり携わってきた研究で、大学生たちから何度も聞いたキーワードでした。

研究の一環で、10代後半から20代のみなさんに話を伺ったのですが、テレビとSNSの情報を比較したときに、「テレビで放送されている内容はどうせテレビ局に都合のいいように編集されていそうでリアルさを感じない」。一方、「SNSからの情報は当事者の生の声なのでリアルに感じる」「自分が知っている(逆に自分のことを知っている)人と共有した情報はリアル」といった声が共通して聞かれました。例えると、SNSからの情報は産地直送の生の食材で、調理をするのも自分自身なので「リアル」。テレビからの情報はどんな人が間に入って調理したか分からない加工品として届けられるから「非リアル」、といった“イメージ”があるようでした。そして自分にとって「リアル」な情報を共有できるSNSは「自分たちの側のメディア」で、テレビは「あちら側のメディア」である、と、テレビ局の人間としては耳の痛い発言をする若者もいました。こういったテレビに対する微妙な距離感は、利用時間の比較だけでは分からないものです。あらためて、いまの若年層のメディア利用行動と情報に対する意識の関係を世論調査で探りたいと思いました。

そんな「情報とメディア利用」世論調査の結果を、『放送研究と調査』12月号文研のホームページで報告しています。はたして若年層の情報観やニュースの入手先の特徴とは? ぜひ、ご一読ください!