#108 長寿番組もいろいろありますが・・・
メディア研究部(メディア動向) 大野敏明
夜も8時を過ぎお腹が空きました。しかも外は凍える寒さです。「人間、空腹と寒さが重なるとろくなことは考えないものだ」と、高校時代に読んだ漫画『じゃりン子チエ』に書いてありました。確かにその通りだと今もこの時季になるとよく思い出します。
こんな冬の日の晩ごはんは、熱々のシチューかスープがいいですね。しかも簡単なものがいい。思い浮かんだのは買い置きのあさり水煮缶で作る、熱々の「簡単クラムチャウダー」。作り方は・・・
というような感じで、半年前までブログ的なものを毎週書いていました。去年の夏にここ「文研」に異動してくるまでは『きょうの料理』のプロデューサーをしていまして、おすすめの簡単レシピや “食リポ” などを『きょうの料理』公式LINEなどで配信していたのです。
LINEでは他にも番組で紹介する料理のレシピやショート動画の配信、司会の後藤繁榮アナウンサーによる「料理ダジャレ」の画像配信サービスなどもしています。Eテレの長寿番組が、新たなサービスの一環として始めた公式LINEは想像以上の反響で、登録者数は現在56万8000人。後藤アナのダジャレはほんのお遊びですが、こちらも結構人気なんです。
ということで、クラムチャウダーの作り方に行きたいところではありますが、ここからは「文研ブログ」らしく、まじめに参ります。
皆さん、NHKで最も長く続いている番組って、何かご存じですか?
『きょうの料理』・・・ではなく、正解は『NHKのど自慢』。テレビ放送が始まった1953(昭和28)年から続いているのだそうです。『きょうの料理』は何位かというと・・・
2位 『大相撲中継』
3位 『高校野球』
4位 『紅白歌合戦』
5位 『NHKニュース』
6位 『ゆく年くる年』
7位 『テレビ体操』
8位 『日曜討論』
そして・・・
9位 『きょうの料理』
あの『おかあさんといっしょ』(13位)、連続テレビ小説(14位)、大河ドラマ(17位)を抑えての堂々のベスト10入りです。
1963年5月13日放送「おべんとう」 講師:堀江泰子(右)
♪タンタカタカタカタンタンタン でおなじみのテーマ曲とともに、1957(昭和32)年の放送開始以来、今年度でちょうど60年。
かつて母親や祖母が教えた料理をテレビが教える時代になったと思ったら、今や毎日の献立はスマホで決めるご時勢に。高度成長、核家族化、飽食の時代、インターネットにSNSと目まぐるしく移り変わる時代の中で、『きょうの料理』はいかにして家庭の食卓のニーズに応えようとしてきたのか・・・。
『放送研究と調査』2018年1月号では、番組草創期の試行錯誤、料理離れに対する挑戦、さらには近年のLINEやTwitterなどのネット展開まで『きょうの料理』が行ってきた様々な取り組みを、それぞれの時代背景とともにひもときます。
さらに、今年度50周年を迎えた『きょうの健康』『趣味の園芸』の歴史や取り組みも合わせてプレイバック。ちなみに『きょうの健康』は長寿ランキング10位、『趣味の園芸』は11位と、こちらも大健闘です。
おかげさまで長く愛され続ける3つの番組。そこに共通する「制作者マインド」とは? …是非ご一読くださいませ。