文研ブログ

おススメの1本 2023年02月06日 (月)

#448 『おかあさんといっしょ』と外部クリエーターたち~テレビ放送開始70年特別番組に関連して~ 

メディア研究部(番組研究) 高橋浩一郎

今年、テレビが放送開始して70年になります。その中で『おかあさんといっしょ』をはじめとするNHK子ども向け番組の歴史に焦点を当てた特集番組『「おかあさんといっしょ」から見るこども番組』が2月11日(土)午後8時~Eテレで放送されます。2月19日(日)には再放送が予定されています。
「テレビ70年」キャンペーンのNHKホームページ

文研ではこれまで幼児向け番組の変遷や初期『おかあさんといっしょ』についての論考を発表し、文研ブログでもさまざまなテーマを扱ってきました。今回の特集番組もその成果を参考にして制作されています。
『おかあさんといっしょ』をはじめとする幼児向け番組は、多くの外部クリエーターが関わっています。彼らがどのようなことを考えて番組制作に関わり、また当時のプロデューサー、ディレクターが彼らを起用した背景にはどのようなねらいがあったのか、特集番組では普段の番組からはうかがうことができない作り手たちの思いが掘り下げられています。

trimtakahashi.png 飯沢匡さん

small.png    「ブーフーウー」などの台本

取材の過程で、番組初期の人気コーナー「ブーフーウー」(1960~1967)を生み出した作家・飯沢匡さんのご遺族に資料提供などでご協力いただくことができました。ご自宅には貴重な資料が保管されていました。「ブーフーウー」以外にも「ダットくん」(1967~1969)、「とんちんこぼうず」(1969~1971)、「とんでけブッチー」(1971~1974)、「うごけぼくのえ」(1974~1976)、「ペリカンおばさん(1976~1978)、「おもちゃおじさん」(1978~1979)、「ミューミューニャーニャー」(1979~1983)など、飯沢さんが23年間にわたって『おかあさんといっしょ』のために執筆した730冊の台本です。

番組では、飯沢さんとコンビを組んで「ブーフーウー」などのキャラクターデザインを手がけた画家の土方重巳さんの資料も紹介しています。(人形の製作をしたのはアニメーション作家で人形作家の川本喜八郎さんです。)土方さんはキャラクターデザインの先駆け的存在で、製薬会社のゾウのキャラクター・サトちゃんのデザインが広く知られ、その画業を振り返る展覧会が横須賀美術館で開催されるなど改めて注目を浴びています。NHKアーカイブスのHPでは、お二人が関わった「ブーフーウー」「ダットくん」「うごけぼくのえ」「ミューミューニャーニャー」の映像が一部公開されていますので是非ご覧ください。 
NHKアーカイブス ホームページはこちらから

飯沢さんや土方さんがどのような思いで『おかあさんといっしょ』の人形劇を生み出し、20年以上かかわり続けたのか、またそれは時代の変化とともにどのように変わったのか、残された資料をひも解くことで今後明らかにすることができるかもしれません。特集番組をご覧になって『おかあさんといっしょ』の歴史に関心を持たれましたら、以下のリンクをのぞいてみてください。

【文研ブログ】
『おかあさんといっしょ』の60年① ~"婦人課"の女性職員たち~ | NHK文研
『おかあさんといっしょ』の60年② ~日本の人形アニメーション夜明け前~ | NHK文研
『おかあさんといっしょ』の60年③ ~"子どもの歌"の"おかあさん" 作曲家・福田和禾子~ | NHK文研

 【論考】
「NHK幼児向けテレビ番組の変遷」
「初期『おかあさんといっしょ』失われた映像を探る』」