文研ブログ

おススメの1本 2016年12月09日 (金)

#57 障害者スポーツを、共生社会の窓口のひとつに

メディア研究部(メディア動向) 山田 潔

今年9月、リオ五輪に続いて障害者スポーツの祭典、パラリンピックが開催されました。
中継やニュース等いろいろなメディアが取り上げたので、目にされた方も多いのではないでしょうか。

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障害者がスポーツに打ち込む姿を、どのように見て、どのようなことを感じられましたか?
「障害があっても頑張ってるね。私もがんばらなきゃ。」
「結構、スポーツじゃん!」
「日本がんばれ!」
「スポーツはオリンピックだけで十分。」 などなど

いろんな、見方、感じ方があると思います。

パラリンピックには、「パラスポーツを通じて、よりインクルーシブな社会(障害者も健常者も共に生きる社会)を創出する」という視点があります。スポーツを通して、共に生きるという理念を肌感覚にしていこうということです。こうしたムーブメントには、お茶の間に直接届く放送の役割が大きいのではないかと思います。
リオを終え、2020年に向けた取り組みが加速していくこの時点で、放送が「障害者」「障害者スポーツ」といったテーマとこれまでどう向き合ってきたのか、そして、その現在地がどこにあるのかを、今後に向けて俯瞰してみました。取りまとめた小論を「放送研究と調査」12月号に掲載しています。
取材で立ち寄った社会福祉法人「太陽の家」で、1964年の東京パラリンピックの牽引者であった中村裕博士が開発した「和室用車いす」と出会いました。畳が傷まないようにとタイヤを幅広にしたものです。障害のある相手を1人の生活者として見る視線こそ、共生社会への鍵のように感じています。

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2020年の東京大会に向けて、パラリンピアンや競技を取り上げた講演や放送、そして障害者スポーツの体験イベント等の取り組みが各地で行われます。NHKでも、オリンピックとともにパラリンピックについてもさまざまな取り組みを行っていきます。
どこかで見かけたら、参加してみませんか。障害者スポーツにちょっと触れてみて、放送も楽しんでみませんか。そして、12月号の「障害者スポーツと放送」も読んでいただけるとうれしいです。

実は、筆者自身、ポリオの後遺症で松葉づえを使う障害者です。これまでスポーツとは縁遠い生活でしたが、きつくなったズボンが、スポーツをやれと言っています。
パラリンピアンにはなれないとしても、スポーツセンターに行って見ようかな。
気持ちよく受け入れてもらえるといいな。
誰かとつながれるともっといいな。