文研ブログ

メディアの動き 2023年09月16日 (土)

【メディアの動き】NHKのネット活用業務「必須業務化」へ,公共放送WG取りまとめ案まとまる

 8月31日,総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」で,「公共放送ワーキンググループ(WG)」の取りまとめ案が示された。案では,現在は任意業務として行っているNHKのネット活用業務を必須業務とすべきとの方向性が示された。

 また,ネットのみで同時・見逃し配信を視聴する人にも相応の負担を求めることが適当だとした。ただ,パソコンやスマートフォンを保持しただけで対象とするのではなく,ID取得等,視聴意思が明確な行為を前提としている。

 必須業務の範囲は「放送番組と同一のもの」を基本とし,放送番組以外については,1)災害情報等の国民の生命・安全に関わる情報,2)放送番組の密接関連情報・補完情報,に限定。提供の対象は費用負担者を前提としつつ,1)については例外的に非負担者への提供も必要な場合があることに配慮すべきとした。NHKがこれまで無償で提供してきた番組周知のための情報や取材を深掘りしたテキスト配信等の「理解増進情報」は廃止の方向性が示された。

 また,放送番組以外の具体的な範囲や提供条件については,NHKが原案を策定し,評価・検証を第三者機関が実施して,総務相がNHK予算に意見を付し,国会審議で判断されるとした。

 案では,日本のコンテンツ産業が海外事業者との競争に直面する中,NHKには放送全体のプラットフォームの役割が期待されているとしている。今後NHKはどのような姿で,個人の自律的な判断や民主主義社会の発展,日本のコンテンツ産業に貢献していくのか。改めてその役割が問い直されている。