メディアの動き
2023年09月16日 (土)
【メディアの動き】調査報道大賞で『週刊文春』のジャニーズ報道などが大賞に
8月9日,優れた調査報道を顕彰する「調査報道大賞」が決定した。90の応募作から2つの大賞を含む7つの作品が選ばれた。
大賞の1つは『週刊文春』の「ジャニーズ事務所・ジャニー喜多川 少年たちへの性加害の一連の報道」だった。この報道は1999年の初報から24年を経ている。調査報道大賞の特徴は,時間がかかっても成果が顕著になった報道を対象としていることで,その典型だといえる。
授賞理由には「他メディアの沈黙も映し出すこととなり,ジャーナリズムの在り方を考えることにもなった」との記述もあり,大手メディアがこの問題について,最近まで触れてこなかったことに疑問を投じた形となった。
もう1つの大賞は神戸新聞の「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」だった。「遺族との関係を長く結んでいた地方メディアならではの役割を示していることにも注目したい」と評価された。
映像部門ではNHKの『ETV特集』「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」が優秀賞を受けた。精神科病院で患者が不当な扱いをされている実情を描いたもので,映像や音声という内部状況を直接示すものが報道されたことが「格段の意義がある」と評価された。
また,「データジャーナリズム賞」に,朝日新聞の「みえない交差点」が選ばれた。警察が公開している60万件余りの人身事故に関するデータを分析した結果,「警察も把握していなかった事故多発交差点」を全国各地で発見し,改善へつなげたことが評価された。