「あの橋の向こう」

2019年12月2日

作:藤野恵美

東京でデザイナーをしている主人公は38歳で独身。年に一度、大阪に帰省する。目的の一つは、妹に会うため。もう一つは、ある「プレゼント」を渡すため。
物心ついたころには、父から母への暴力を目の当たりにして育った姉妹。主人公である姉は、家庭を持つということを自分の人生の選択肢に入れることがなかった。しかし、妹は結婚し、3歳の子供を育てている。父親が母親をいじめ、母親が姉をいじめ、もし姉が自分をいじめてたら・・・「お姉ちゃんのおかげ」で今の自分があるという妹。淀川を舞台にした姉妹の物語。

語り:一柳亜矢子

「タマシイム・マシンの永遠」「冷たい光の通学路」

2019年12月9日

作:辻村深月

「タマシイム・マシンの永遠」
物語の軸は、ドラえもんのひみつ道具“タマシイム・マシン”。魂だけが抜け出して、昔の自分の身体にうつることができる、ひみつ道具。
息子と一緒に実家に帰省したお父さん。両親や祖母が息子に夢中になる様子を見て、かつて自分も祖父母にかわいがられていた頃を思い出す。

「冷たい光の通学路」から【ふたたび、彼女のその後】
小学生の紗奈は、同級生の鶴岡くんに告白の手紙を渡した。でも、返事はなかなかこない。どうして返事をくれないのか。他のクラスメイトに知られてしまったらどうしよう。小さな出来事に敏感に揺れ動く子どもの心を、冬のあたたかな日差しが包み込む。

語り:井上裕貴

「鳥を運ぶ」

2019年12月16日

作:角田光代

2017年9月9日放送のアンコール

主人公の「私」は、入院した母親にかわって、母が飼っていた鳥を預かることに。
面倒に思いながら久しぶりに訪ねた実家・・・6羽の鳥を運び出すことを手伝ってくれたのは1ヶ月前に離婚したばかりの健一。「私」は離婚したことを母に言えずにいた。
鳥が思い出させる、母の愛情。父を亡くし、一人で鳥をかわいがっていた母のさびしさ。母の命そのものであるかのような鳥を運びながら「私」の心に母への思いがこみ上げる

語り:高橋美鈴

「あったかくなんかない」

2019年12月23日

作:吉本ばなな

小説家の「私」には、明かりについての複雑な思い出がある。小さな本屋の娘だった私には、小さいとき、たった一人の友達がいた。老舗の和菓子屋の息子の、まことくん。とても心の優しかったまことくんは、他のきょうだいと母親が違うという事情はあったが、和菓子屋の家でとてもかわいがられていた。
まことくんとは、お互いの家に行って本を読んだり、散歩をしたりして遊んでいた。夜は、私の家の2階の窓から、まことくんの家の大邸宅の明かりが見えた。それを見てなんとなく安心していた。しかし、私の家に遊びに来ていたまことくんが自分の家に帰るのを嫌がったある日の夜。まことくんの家の明かりがついていたのに、私はいつものように安心しなかった…

語り:出田奈々

「花まんま」

2019年12月30日

作:朱川湊人

2018年12月3日放送のアンコール

舞台は昭和50年代の大阪。交通事故で父を亡くした小学生の俊樹は、母、妹(フミ子)とともに3人で細々と暮らしていた。 ある日、突然フミ子が不可解な“記憶”を語り始める。「私は殺された若い女性の生まれ変わりだ」。俊樹はその話が信じられなかったが、フミ子が前世暮らしていたという場所を尋ね、その真実を目の当たりにすることとなる。そこにいたのは、娘を失ったショックからやせ細った前世の父親。心配するフミ子は、前世で父親に作っていた花まんま(花で作ったままごと用のお弁当)を渡し、回復を願う。父親は涙を流して喜ぶが、大切に育ててくれた現世の父母を想う兄・俊樹の心中は複雑であった・・・。

語り:芳賀健太郎