「トンネル鏡」

2019年10月7日

作:荻原 浩

50代を目前にした主人公・一朗の故郷は、日本海に面した小さな町だ。
小さい頃に父親を事故で亡くし、女手ひとつで母親に育てられてきた。東京の大学に進み、東京の証券会社に就職し、結婚もする。
しかし、自分が思い描いたようにはいかない現実。母との同居、妻と母とのいさかい。さらに、離婚、故郷に帰った母の死。そして一朗は、仕事を自主退職する・・・
東京から故郷へ向かう新幹線。いくつものトンネルを通るたびに窓に映しだされる今の自分と過去の自分。一朗の胸に迫るものはいったい何なのか、そして再び向かう故郷で待っているものとは―――。

語り:河島康一

「どこから行っても遠い町」

2019年10月14日

作:川上弘美

主人公のおれ、羽生高之(はにゅう・たかゆき)には、妻・千秋と娘の千夏がいる。千夏の受験をめぐって千秋と意見が対立し、ふたりにすきま風が吹き始めたころ、おれは純子と出会い、不倫関係になる。純子と関係を続けていたある日、おれは、純子から「我慢できない」と迫られ、千秋からは、「そろそろマイホームを買おう」と 言われる。女は、なぜ事を決めたがるのか、いま決めなければならないことなのか。そう感じたおれは、決めることを避け続けて来た人生を振り返り始めるが…。

語り:原口雅臣

「日の出前」

2019年10月21日

作:太宰 治

画家の仙之助は妻と一男一女の4人家族。息子の勝治は親の希望する進路に進まず、好き勝手な生活をし、金の無心ばかりしていた。挙句、妹や女中からも金を取り上げ、父の絵も売り払ってしまう。
家族が困り果てていたある日、父と息子が“散歩”で井の頭公園へ。二人でボートに乗り込むが、帰ってきたのは仙之助だけ。翌朝、勝治は死体で発見される。

語り:吾妻 謙

「殿中にて」

2019年10月28日

作:村上元三

2017年7月8日(土)放送のアンコール

建部兵庫は一本気な性格の武士である。ある日、登城すると自分に向けられる周囲の眼がいつもと違うのに気づく。実はその前日、同役の伊丹左太夫の家で御政道について批判的な事を口走ってしまい、その事を左太夫が周囲にもらしていたのだ。勤めを終えた朝、兵庫が朝食を取ろうとしていると、そのやり方を批判した老中水野越前守の姿が見えた。すると突然、ただならぬ声が響いた。「殿中でございますぞ、お刀、お刀!」
そこで、兵庫がとった行動は…。

語り:石澤典夫