「紅梅振袖」

2020年1月6日

作:川口松太郎

2019年1月7日放送のアンコール

「紅梅振袖」は、川口松太郎の知り合い、縫箔屋(ぬいはくや)職人友次郎の江戸人情物語。
川口松太郎は二十一、二歳のころ、恩人で講談師の悟道軒円玉の家に住んでいた。そこで開かれる骨董品売立会にやってくる者の中に、腕のいい縫箔屋職人(振袖を仕立て刺繍をする職人)の友次郎(ともじろう)がいた。その友次郎が思いを寄せていたのが、地主で大家の娘の君子。実は君子がお嫁に行くためにと紅梅模様の振袖を作りながらそれを君子に見せに行って会えるのがこの上ない幸せだった。しかし君子は自家の窮地を救うため侯爵家に引き取られるという悲運の道へ。ならぬ恋に身を焦がしていたある日、君子と友次郎の予期せぬ再会が訪れる。君子の友次郎への秘めた思い、友次郎の熱い気持ちが静かにも激しく交じり合う。
果たして,君子と友次郎の行方は・・・・。

語り:山本哲也

「一冊の本」

2020年1月13日

作:大島真寿美

半世紀以上にわたり私設図書館の館長を務めた父が亡くなった。一人娘の洋子は喪主として立派な挨拶をするが、実はその挨拶は生前父が書き置いたものであり、しかもその内容は大嘘だった・・・。
父の「置き土産」に翻弄されながら、やがてその目的に気づいた洋子は、「『父』という分厚い本を、ほとんど読まないままに返却したこと」に思い至る。 本を愛する人の共感を呼ぶ短編。

語り:山田敦子

「赤帯の話」

2020年1月20日

作:梅崎春生

2019年1月14日放送のアンコール

ソ連軍の捕虜になった主人公の“私”は、真冬のアムール川流域の収容所で、仲間とともに凍結した河の清掃作業に従事する。食料が乏しいため、“私たち”はいつも腹をすかせていた。シベリアの流刑囚だったという噂のある監督兵のイワノフ=“赤帯” (腹の上に赤い帯を巻いていたので付けたあだ名)は、寡黙で寂し気な雰囲気を漂わせながら、「がまんしてやってくれ」と、そんな私たちにやさしく接してくれた。ある日、赤帯は自分の荷物の中からたくさんの鮭や黒パンを出して、私たちに振舞ってくれた。翌日、赤帯は他の収容所に移った。あれは、私たちへの別れの贈り物だったのだ・・・。その年の夏、私は赤帯と再会する。お互いに懐かしみながら・・・・。

語り:松井治伸

「祈り」

2020年1月27日

作:高橋三千綱

24歳のプロゴルファー、夏木清治は、プロとして試合に出るようになったばかり。その清治が、アジアサーキットの最終戦を兼ねた大きな大会で、3日目を終えてトップに立っていた。最終日を前に感じる、大きなプレッシャー。一方、清治の兄、祐一郎もプロゴルファー。一年目から輝かしい成績を収め、いまでは国内第一人者となっていた。兄弟でありながら、母親の違う清治に対し、つきはなした態度をとってきた祐一郎。その二人が、同じ大会で優勝を争うことに。そして、迎えた最終ホール。二人の思いは…

語り:後藤理