BS放送

5月25日(土)午後9時00分~午後11時00分

「アルゴ 4K版」

アカデミー作品賞など3部門を受賞。1979年、テヘランでの米国大使館占拠事件と、その裏で敢行された緊迫の救出劇を描くベン・アフレック監督・主演の社会派ドラマ。

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今回ご紹介するのは、実話をもとにベン・アフレックが監督・主演を務め、アカデミー作品賞・脚色賞・編集賞を受賞した社会派ドラマの名作「アルゴ」(2012)です。

1979年、イラン革命の激化によってテヘランのアメリカ大使館が占拠され、6人の大使館職員が脱出、カナダ大使の家にかくまわれます。6人の存在が発覚すれば公開処刑も免れない絶望的な状況のなか、CIA職員で人質奪還の専門家、トニー・メンデスが作戦を立案します。それはSF映画の製作をでっちあげ、6人を脱出させるという奇想天外な計画でした。かくして架空の映画「アルゴ」の製作がスタート、ポスターを作り、製作発表が行われ、イランでロケハン、6人をスタッフに偽装させ、出国しようとしますが…。

主人公トニー・メンデスを演じたのは、監督も務めたベン・アフレック。テヘランに潜入し、職員たちを救出しようとするCIA職員を演じ切っています。
幼いころから映画やドラマに出演していたアフレックが、一躍注目されたのは少年時代からの友人、マット・デイモンとともに出演した青春映画の名作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1997)。デイモン演じる主人公ウィルの友人を演じ、デイモンと共同でオリジナル脚本を執筆し、アカデミー脚本賞を受賞しました。
その後は「アルマゲドン」(1998)などのエンターテインメント大作からアカデミー作品賞受賞の「恋におちたシェイクスピア」(1998)、鬼才デビッド・フィンチャー監督の「ゴーン・ガール」(2014)など幅広いジャンルの作品に出演し、アメリカ映画を代表するスターとして活躍。さらに2007年「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で脚本と初監督を務め、ミステリーとヒューマンドラマをあわせた骨太の作品に仕上げると、監督第2作の犯罪ドラマ「ザ・タウン」(2010)では脚本・監督・主演を務め、高く評価されました。そして製作・監督・主演を務めた監督第3作の本作では、緊迫感あふれる演出でアカデミー作品賞に輝きました。

本作の大きな見どころは、名優たちの演技。映画プロデューサーのレスターを演じるアラン・アーキンは、オーバーアクションのようでいて、キャラクターの個性を最大限表現する演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞にノミネートされました。トニーの作戦に協力する特殊メーキャップアーティスト、ジョン・チェンバースを演じるのはジョン・グッドマン。チェンバースは「猿の惑星」(1968)で、サルたちの特殊メークでアカデミー賞を受賞した実在の人物です。大柄なグッドマンはたっぷりとした体格のチェンバースに外見を寄せながらも、“演じる”ことに徹した存在感のある演技をみせています。アフレック演じるメンデスの上司・オドネルは、ブライアン・クランストン。実在の脚本家ダルトン・トランボを演じた「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」(2015)で、アカデミー主演男優賞にノミネートされました。本作でも説得力ある抜群の演技をみせています。
主役のアフレックとの掛け合い、セリフの応酬など、共演者たちがそれぞれの個性を発揮する“アンサンブル演技”が、監督も務めたアフレックの演出によってすばらしい効果をあげ、緊張感をもりあげています。

爆発やカーアクションといった派手な場面はなく、会議や打ち合わせ、電話など、会話が中心となる本作。しかしイランとアメリカ、2つの物語が進行し、やがて一つになっていく展開は、最初から最後まで緊迫感が持続し2時間が短く感じられるほどです。
ぜひ、4Kでご覧ください!