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2017年10月24日

「秘境中国 謎の民 天頂に生きる ~長江文明を築いた悲劇の民族~」by謝

中国西南部標高3,000メートル級の山々が連なる大涼山山脈秘境中の秘境です。取材前、山脈を見上げながら、まず私が頭を抱えたのは、どうやって取材対象者を探すかということでした。会いたいのは、大涼山の山頂に暮らす山岳民族イ族です。
イ族とは、中国の少数民族の一つで、四川省や雲南省などの山岳地帯に住み、人口はおよそ800万人。先祖はチベット高原の遊牧民といわれています。ピモという司祭が先導し火を信仰するなど、今も伝統が色濃く残される民族です。

1024-gisiki.jpg今回の取材で、いくつもの村を訪れましたが、既に都市の文化が浸透し、イ族の言葉すら知らない人ばかり。聞き込みを続け、教えてもらったのが、大涼山の最奥地にある四季吉村」でした。私たちは道なき道を行き、崖を登り、一路、村を目指しました。苦労してようやくたどりつきますが、さらなる壁にぶち当たりました。
会う人会う人、誰も口をきいてくれず目も合わせようとしません。村にはほとんど外から人がやって来ないので、警戒されてしまったのです。私たちは、無視されてもにこやかに話しかけ、共に食事をし、酒を酌み交わし、一週間かけてようやく心を開いてもらいました1024pimo.jpgついに撮影を開始しましたが、野山を自在に駆け回って、農業や放牧をしている彼らに追いつくのは、生半可なことではありませんでした。山には車を走らせる道路はありません。高原のど真ん中で取り残されることもしばしば。ようやく追いついたときには日は暮れています。夜、宿泊先に帰ると足の裏には無数の水ぶくれが・・・

慣れるまでは大変なことばかりでしたが、次第に私たちは、この大涼山のダイナミックな風景に心を奪われていきます。山の表情は刻々と色鮮やかに変わります。朝は壮大な雲海が山々を包み込み、山の斜面は一面のソバ畑小川のそばでは野花が風にそよぎ、高原では羊やヤクの群れが戯れます。村人たちとも一層親交を深めていきました。1024-mountain.jpg撮影が終わりに近づいたとき、子供から老人まで、みんなが集まって、歓迎と感謝の気持ちを伝える歌を即興で歌ってくれたときは、思わず熱いものがこみ上げてきました。厳しい環境で生きるからこそ育まれた心の豊かさ族の人たちから感じた一番の魅力です1024-2woman.jpg

★放送予定→番組情報はこちら
【BSP】10月28日(午後9:00~10:29
スーパープレミアム「秘境中国  謎の民   天頂に生きる ~長江文明を築いた悲劇の民族~」 

謝 甌海 (シャ オウハイ)

【コラム執筆者】
謝 甌海 (シャ オウハイ)

テムジン所属のディレクター。2005年より中国全土を周り、パンダやキンシコウなど絶滅に瀕する動物の撮影をはじめ、少数民族の伝統紹介や、中国の歴史や社会問題など、中国題材の番組をこれまで100本以上手がける。代表作品『項羽と劉邦・王者の条件』(NHK)『留守児童の夏を追え』(NHK)『中国神秘紀行シリーズ』(テレビ東京)など。