メインコンテンツへ移動

かわ知り「遠賀川」~3つの水害リスクに迫る

この記事は2021年に公開したものです。

遠賀川は、福岡県の筑豊地方から遠賀郡に流れる一級河川です。
22の市町村にまたがる多くの支流を持ちます。
その流域に潜む3つの水害リスクを廣瀬雄大アナウンサーが取材しました。

水害リスク① 堤防の決壊

遠賀川は、昭和28年には9か所の堤防が決壊し、住宅およそ4万戸が浸水する大水害が起きました。
国土交通省 遠賀川河川事務所の井上幸治 技術副所長によると、雨量や水位の監視を強化するなど対策をとっているものの、近年の異常気象の中では堤防決壊のリスクがぬぐい切れないということです。

210629_01

実は、3年前の西日本豪雨では、遠賀川の複数の堤防で決壊寸前の水位が観測されました。
堤防決壊の対策工事が急務となっています。

遠賀川河川事務所 井上幸治技術副所長平成30年の西日本豪雨に対応する工事をいま進めているところですが、単年度でできるようなものではないので、一生懸命進めています。

水害リスク② 支流河川の氾濫

遠賀川に流れ込む支流は70以上。小さな水路まで含めるとその数は膨大です。
飯塚市は平成15年、支流があふれたことで大規模な浸水が発生しました。

210629_02

飯塚市役所の吉田英紀さんに、当時、あふれた支流のひとつを案内してもらいました

210629_03

飯塚市 吉田英紀 防災危機管理監平成15年も遠賀川自体は氾濫していません。
しかし支流河川から水があふれ、低いところに水が集まり、浸水状態が発生しました。

210629_04平成15年の水害時にあふれた支流のひとつ

吉田さんが重視する避難のポイントは、「どのように移動するか」です。

  • 遠回りをしてでも水辺を避けて移動すること。

市街地の支流河川があふれることを想定すると、避難ルートの中に川辺が含まれていると危険が伴うからです。

飯塚市 吉田英紀 防災危機管理監過去の災害でも橋を渡っている途中で被災して命を失った方がいます。
やはり、橋を渡る、水辺に近づく、河川敷の道路を通るといった移動は避けるべきです。

水害リスク③ 海水の逆流

川幅が広い河口部では、満潮時、海水が川に流れ込むおそれがあります。
取材したのは、河口部に近い遠賀町。

210629_05

遠賀町役場の古野剛理さんも、「町の防災にとって海の影響は多大だ」と話していました。
とくに、大雨と満潮が重なった場合が最も危険だということです。
町内は田んぼが多く、土地が低いため、浸水が広がりやすい条件がそろっているのです。

210629_06

古野さんが重視する避難のポイントは、「いつ避難を始めるか」です。

  • 満潮が来る前に避難すること。
  • 身近な水路の水位が上がる前に避難を始めること。

水路の水位が上がると同時に、低い土地では浸水が始まるおそれがあります。
その前に逃げることが大切です。

遠賀町 古野剛理 防災安全係長潮の満ち干も勘案しながら町として避難するかどうか判断しています。
いつ自分が避難を開始するかというめどを常日頃から検討していただきたいです。