この記事は2021年に公開したものです。
家族や知人に早めに避難してほしいとき、あなたはどんな言葉をかけますか?
災害を経験した人たちが語る“避難を呼びかける言葉”です。
朝倉高校3年の林紗季さんの避難の言葉は「“私は大丈夫”は危険だよ」です。
平成29年7月、朝倉市林田地区を豪雨が襲いました。
当時中学2年だった紗季さんはその時、一人で自宅にいました。
「そこまでひどくはならないだろう…。」
危機感はなく、窓の外の光景はテレビを見ているような感じだったと言います。

そんな紗季さんに避難を呼びかけたのは伯父でした。
「急いで家を出るぞ!」
避難直後、濁流にのみこまれる集落を見て恐怖を感じたと言います。
その後、集落には犠牲者が出ていたこともわかりました。

豪雨被害は紗季さんの人生を180度変えました。
防災の意識が芽生え、どう言えば住民が避難してくれるのか、考えるようになったのです。
“私は大丈夫、災害には遭わないだろう”と安易に考えていた当時の自分を振り返りました。

そして経験から得た避難の言葉が、「“私は大丈夫”は危険だよ」です。
自分は特別だ、と思い込むことが行動を鈍らせます。
災害は誰にでも起こるし、その時にどう行動すべきかを一度イメージしてほしいといいます。

紗季さんの夢は消防士になることです。
被災直後、自宅の片付けに全国各地の消防士がボランティアで駆けつけてくれたことがきっかけでした。
いざという時に避難を呼びかけ、そして困っている人たちに寄り添える、そんな消防士になりたい。
その思いは4年経った今も変わっていません。
豪雨での自らの経験を多くの人に伝えたいと考えています。