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AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

山国川(やまくにがわ)は、福岡県と大分県の県境を流れる一級河川。過去にも洪水が発生していて、平成24年には、住宅や田畑に甚大な被害が出ました。福岡県側の流域にある上毛町が作成したハザードマップをもとに、洪水時のリスクを取材しました。

この記事は2021年に公開したものです。

210604_11(註:マップの画像を一部加工してあります)

まず訪ねたのは5m以上の浸水が想定された地域。
上毛町のハザードマップでは、青や紫で色分けされています。
AR(拡張現実)の映像を重ねてみると…

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

1mで、建物の1階が床上浸水。
5mでは、消防団の倉庫が水没してしまう高さだと分かります。

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

さらに、ハザードマップを見ると、この地域にピンクの網掛けがされているのを発見。
これは「氾濫流」のリスクを示しています。
川の氾濫で、家屋の倒壊などのおそれがある地域だということです。
そうした事態に直面する前に、早めの避難が大切です。

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

町内を歩く中で、農業が盛んな地域ならではのリスクも見つけました。
道路わきにある農業用水路です。
ここから水があふれてきたり、冠水した際には道路との境目が分かりにくくなったりすることが考えられます。
冠水する前に安全な場所へ移動しておく、あるいは冠水した場所を通らないことが一番ですが、避難行動をとるうえでは要注意です。

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

また、災害時の「避難所」の建物が、浸水想定エリアの中に位置するケースもありました。
町に確認すると、“洪水時”には避難所としては使用しないことが決まっていました。
避難所は、災害の種類によって、開設されない場所もあります。
自分の近くの避難所がどのようになっているか、確認しておく必要がありますね。

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

さらに上毛町は、山国川以外のリスクにも注意を呼びかけています。
ハザードマップでは、町内を流れる二級河川「佐井川」の浸水想定や、町内200か所を超える「土砂災害特別警戒区域」「土砂災害警戒区域」も記されています。

そのうえで、「ハザードマップに書かれていないリスク」にも注意を呼びかけています。
実は、山国川の支流などの小さな河川については、浸水想定がハザードマップに反映されていないことが多いのです。

AR(拡張現実)で実感する山国川のリスク

上毛町総務課 秋𠮷伸吾さん山国川の支流である友枝川などは、浸水想定区域が設定されていません。
増水時には一気に水かさが増すので、情報や外の様子には気を付けていただきたい。

ハザードマップに書かれたリスクはもちろん、“まだ書かれていないリスクがあるかもしれない”という視点で、自分の地域をチェックしてみることが大切ですね。