この記事は2021年に公開したものです。
今回は大地震について、福岡でのリスクを考えます。
最近、大きな地震が多いですよね。
10月に入って、東北や関東で震度5を超える揺れが相次ぎ、宮崎県沖の地震でも、緊急地震速報が出されました。大地震への備えについて、防災士の資格を持つ廣瀬アナウンサーとお伝えします。
福岡でも大きな地震への備え、決して怠ってはいけません。
地震が専門の九州大学清水洋特任教授に福岡で大地震が起きる可能性を聞きました。

「福岡県は警固断層帯という大きな断層が走っていて、その断層の、北西側の半分が2005年に動いていて大きな地震を起こしました。南東側半分がまだエネルギーをためこんだまま残っている状態でして、かなり日本の中でも、将来にわたって危険性が高い地域と考えていいと思う」

との事。決して、油断できませんね。
その大きな地震によるリスクの一つが、先週起きた首都圏での地震で表面化した「帰宅困難者」の問題です。

実はこれも、決して福岡と無縁ではないんです。
県の試算では45万人が、交通機関のマヒなどで家に帰れない、帰宅困難者になると試算されているんです。
帰宅困難者になった場合、どうしたらよいか、考えたことありますか?
…たとえ自宅と職場は近くとも、どこかに出かけている時や出張時に地震が起きるかも知れません!
特に「発災直後」に帰宅困難になった場合、大切なのは、「無理して帰らない」ことです。

どこか出かけているときに起こるかも知れませんし、ふだんであれば、わずかな道のりでもブロック塀が倒れているといった危険性があります。
また、徒歩帰宅者が道路にあふれれば、消防車や救急車が動けなくなり、けが人の搬送などに支障がでるおそれがあるんです。

帰れなくなったとき、まず助けになるのが、「一時滞在施設」です。
実は福岡市などが、都市部のビルや施設と協定を結んで、非常時に宿泊などを受け入れる態勢をとっているんです。実は福岡市では、博多、天神地区周辺のビルなど22か所と連携して、およそ2万5千人を受け入れる準備をしています。

博多駅から地下でつながるこちらのビルでは、複数の場所に、50人を受け入れる体制を整えています。

地下の倉庫には、毛布や食料、飲料水など3日分を備蓄しています。

非常時に充電ができる充電コネクターも準備されています。
安否確認という意味で、通信手段を確保してあげるのが重要と考えて備えているそう。
停電時には自家発電が作動し、電力を3日間維持できます。

一方、こちらのビルでは、40人を3日間受け入れることを想定しています。
こちらも非常用の自家発電設備で、避難スペースの電力を維持できます。

そして断水などの非常時は簡易トイレを使うのが一般的ですが、断水や停電がおきても使える水洗トイレを備えています。ビルの地下に、汚水を一時的にためられる設計になっているんです。
さらに、民間でも危機感が高まっています。
博多駅周辺の企業でつくる博多まちづくり推進協議会では、帰宅困難者受け入れの態勢の見直しを始めました。事務局長の郷原裕季さんに聞きました。

「どれくらい帰宅困難者の受け入れが出来るか 帰るところがない方の食料だとか、備蓄物すら在るのか無いのかも 把握していなかったので、現状把握をまず行うべき。いつ博多で地震が起こるか分からないので、 危機意識を持ってスピード感を持って対応していかないと」。
さらに、地震発生から時間が経って状況が落ち着き、徒歩で帰宅できるようになったあとに、助けになるものもあります。「徒歩帰宅者支援ステーション」です。

早良区にある車の販売店です。
店に貼られているのこちらのシール。
コンビニやファミレスなどで見たことありませんか?
災害時に歩いて帰宅する人を一時的にサポートする施設です。
こちらの販売店では、非常時に商談用のスペースを、休憩場所として開放し、飲料水などを提供します。

詳しい場所は県のホームページで検索できるんです。
たとえば、福岡市の中央区、黄色いマークが示しているのがステーションです。
県が、
- コンビニエンスストアや
- ガソリンスタンド、
- 飲食店など
と協定を結んでいて、昨年(令和2年)末の時点で、県内におよそ3300か所もあるんです。
情報が更新されていなくて、なくなっているお店もあるかも知れないとのことですが、県内の各市区町村について調べられるので、ご自身の通勤通学路、ぜひ確認してみて下さい。

そして、徒歩での帰宅に備えて普段からできることがあります。
まずは、「職場などに」備え。
革靴やハイヒールで長距離を歩くのは大変ですよね。
運動靴を、職場などにおいておきましょう。
また、「ふだんのカバンに」備えを。
携帯用トイレや、救急用品、ヘッドライトなどはホームセンターなどで小型のものが販売されているのでカバンに入れておけば安心です。
災害時に慌てないために、確認、備えをしておきましょう。