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教えて斉田さん! 2024年夏の天気はどうなる?

2024年6月14日

今年の夏は一体どうなる?2023年の夏は、平均気温が統計を取り始めてから125年間で最も高い猛暑となり、大雨による災害も起きました。気象予報士・斉田季実治さんが気象庁発表の3か月予報を元に、今年2024年夏の気象の傾向を解説します。

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この夏の天気はどうなる 「3か月予報」を読み解く

去年2023年の夏は記録的な猛暑でした。そして各地で大雨による大きな被害も出ました。毎年のように起こる記録破りの暑さや大雨の原因は何なのか。

NHK「ニュースウオッチ9」でおなじみの気象予報士の斉田季実治さんは、「そのベースには地球温暖化がある」と指摘します。

「地球温暖化に加えて数年周期の気温や降水量が多くなる現象が重なると、極端な記録的な現象が起きやすいのが今の現状なのです」

気象予報士の斉田季実治さん
気象予報士の斉田季実治さん

5月21日に気象庁が発表した、6月・7月・8月の平均気温と降水量を予測した「3か月予報」を元に、斉田さんがこの夏の気象について解説します。

平均気温と降水量の予想図(6月~8月)

斉田さん
まず、平均気温は全国的に平年よりも高いという予想になっています。
降水量は、北日本や東日本が平年並み、西日本と沖縄・奄美で平年並みか平年よりも多い予想ということで、大雨の可能性も出てきています。


■日本の夏 “ラニーニャ現象”の影響で暑くなる!?

斉田さん
今年は、すでに4月の平均気温は平年よりかなり高く、観測史上1位だった地域もありました。5月も北日本、東日本を中心に平年より高くなりました。

そして8月になると、「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高まっています。
ラニーニャ現象とは、南米ペルー沖の海面水温が低くなる現象です。その影響で、日本の南の海上で海水温が高くなると、日本の夏は暑くなる傾向にあり、去年よりも暑くなるおそれがあります。


■近年、豪雨災害が多いのはなぜ?

斉田さん
地球温暖化が関係しています。
気温が高くなると、それだけ空気中に含むことができる水蒸気の量が多くなる。そうなると、一度に降る雨の量も多くなりやすいです。


■この夏は猛暑&大雨のおそれ!?今年ならではの現象とは?

さらに、斉田さんは「今年ならではの気象の影響もある」と考えています。
それは「夏の太平洋高気圧の位置の違い」です。

斉田さん
このピンク色の表示が夏の太平洋高気圧の平年の位置。
高気圧は、上空から空気が地表付近に降りてきて、雲が発生しにくく、晴れます。そのため、この太平洋高気圧に覆われると、晴れやすい地域になります。

夏の太平洋高気圧の平年の位置

今年は、日本の南で高気圧が次々と張り出すことになりそうなのです。

張り出される高気圧

すると、この高気圧のへりを沿うようにして、インド洋周辺などの海面水温が高いところから、大雨の元になりやすい暖かく湿った空気が、沖縄や奄美や西日本に流れ込みやすい状況になりそうです。

暖かく湿った空気が流れ込む

さらに、ラニーニャ現象の影響で、この太平洋高気圧がさらに北へ広がりやすくなります。こうなると全国的に暑くなり、また、沖縄・奄美から西日本は大雨になりやすい状況です。

北にせり出した高気圧


気をつけたい “キロクアメ” 記録的短時間大雨情報とは?

今年の夏、気をつけたい2つのポイントが「キロクアメ」と「熱中症」です。

今年の夏、気をつけたい「キロクアメ」と「熱中症」

キロクアメ”とも呼ばれる「記録的短時間大雨情報」。
数年に1度しか降らないような危険な雨が降っていて災害の危険性が高まっていると、警戒を呼びかける情報です。

発表の基準となる雨量は県や地方などによって異なりますが、だいたい100ミリ前後の猛烈な雨です。

記録的短時間大雨情報(三重県)午後2時30分までの1時間 志摩市付近で約120ミリ

2017年に発生した九州北部豪雨では、1時間当たりの雨量は最大129.5ミリを記録。福岡県と大分県で土砂崩れや川の氾濫が相次ぎ、あわせて40人が死亡、2人が行方不明となりました。

時間雨量 最大129.5ミリ

そして昨年2023年も、“キロクアメ”は、日本各地で相次いで発表されました。
福井県では、9月に1時間あたり80ミリの猛烈な雨を記録。鳥取県でも1時間に90ミリ、福島県ではおよそ100ミリの猛烈な雨が降ったのです。

「キロクアメ」が発表されたときの天気図(2023年)

記録的な大雨はなぜ起きるのか。専門家の多くが指摘するのが日本周辺の海面水温の上昇です。

海面から大量の水蒸気が空気中に供給され続け、山などにぶつかり、積乱雲が次々と発生。それが線状に連なり、同じ場所に大量の雨を集中的に降らせるのです。

記録的大雨が起きるメカニズム

住民の安全を脅かす“キロクアメ”。記録的短時間大雨情報が出たときは、安全な場所で命を守ってください

ただし、すでに周辺の道路が冠水したり、土砂災害が起きたりしている場合には、外に出て行動するのは危険です。
自宅の2階以上で、崖や斜面から離れた部屋に移動するなど、少しでも助かる確率の高い場所で過ごしてください。

2階以上 崖や斜面から離れた部屋に

周囲の様子を見て、まだ動けそうな場合には、近所にある鉄筋コンクリートの建物に移動すると安全性を高められます

近所にある鉄筋コンクリートの建物へ

2013年以降の「記録的短時間大雨情報」の発表回数です。

記録的短時間大雨情報の発表回数

斉田さん
2021年以降は、減っているようにも見えますが、発表の基準が変わっています。
単純に雨の量が多いだけではなくて、それまでの雨で土砂災害や川の氾濫の危険性が高まっていて、さらに雨が強まったときに発表される情報に変わりました。より災害の危険性が高まったときに発表される情報になります。

解説する斉田さん

ただ、この「記録的短時間大雨情報」は、100ミリ前後の猛烈な雨がすでに降ったあとに発表される情報で、予報ではありません。発表された地域の周辺地域にもその後、同じような雨が降る可能性があると考えて、備えをしておくことが大事になってきます。


■「線状降水帯」の情報にも注意する

斉田さん
“キロクアメ”に備えるためには、大雨の原因となる「線状降水帯」の発生に注意する必要があります。
気象庁は2022年から線状降水帯の発生を予測して、半日前から情報を発信しています。
ニュースなどでこの線状降水帯の発生の予測が出たら、最悪のケースも想定して、いつでも避難できるようにしておきましょう。
川の増水や、土砂災害、低い土地の浸水は、ハザードマップを見るとどこで起こりやすいか確認ができます。事前に調べて知っておきましょう。




今年の夏、気をつけたいポイントもう一つは「熱中症」です。

斉田さんと片山アナ

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この記事は、明日をまもるナビ「教えて!斉田さん この夏の天気 どうなる?」(2024年6月16日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

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