新たな環境へと暮らしが変わる季節。見直したいのが防災対策です。発災後、自宅などで避難生活を過ごすために、どんな備えが必要なのか。「ローリングストック」に、水・食料以外に準備したい備蓄品など、災害時の備蓄のアイデアをまとめました。
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備蓄のアイデア「ローリングストック」
これは3人家族が必要とする水や食料の備蓄です。「こんなにいるの?」と思われるかもしれません。
しかし、例えば熊本地震では復旧までに、電気5日、水道7日、ガス15日ほどの時間がかかりました。
大規模な災害に備え、国は1週間分の備蓄を推奨しています。
とはいえ、こんなにそろえておくのは簡単ではありません。「気づいたら期限が切れていた」なんてことも…。
そこでおすすめするのが「ローリングストック」です。
買い物の際に、自分や家族がよく食べるものを多めに買っておきます。そして期限が早いものから食べ、食べた分はすぐに買い足します。
「買い足し、災害用として余裕をもって蓄え、食べる」を繰り返す、ローリングストック。
備蓄品をふだんづかいに取り入れることで、無理をせずに必要な在庫を保つことができます。
このローリングストックに、水や主食に加えて必ず入れておきたいのが、野菜やフルーツを使った食べものです。
災害時の食事はビタミン、ミネラル、食物繊維が取りにくくなります。不足すると健康を損なうおそれがあるので、意識して取り入れましょう。
■災害時、まずは冷蔵庫の食材から食べる
災害時、「まず何を食べるか」を考えておくことも大切です。
災害が起きると、長時間にわたる停電や断水が考えられます。そうなった場合、ローリングストックの備蓄品を食べる前に、冷蔵庫の中の生鮮食料品から消費しましょう。
家庭の防災に詳しい危機管理教育研究所代表の国崎信江さんがおすすめするのは「鍋」です。
「災害時には、物を腐らす前に“鍋”と思っていただければ」(国崎さん)
調理の際、断水しているときは、手を洗わなくてもいいようにポリ手袋を着用。
豆乳や液体タイプの鍋の素があると水の節約になります。
具材は薄く切ったり細かくちぎったりして使うと、火の通りがよくなり、ガスなどの燃料を節約できます。
冷蔵庫の食材を無駄にしないよう、腐りやすいものを先に食べ、その後にローリングストックの備蓄品の出番です。ぜひ、覚えておきましょう。
備えておきたい備蓄品・防災グッズ
こちらは首都直下地震でのインフラの被害と復旧の目安をまとめたものです。
「発災から3日間はインフラの被害が大きいので、ここを意識した備えが大事です。3日後から1週間までは、2次避難するにも交通状況で難しいことがわかります」(国崎さん)
食料・飲料水以外の備蓄品もどうするのか、考えましょう。
ポータブル電源 など
備蓄品で一番大切なのは、電気に関するものです。
「小型のポータブル発電機は、価格は4万円台からあります。照明も内蔵していて重宝します。またソーラーパネルも一緒に用意をしておくと、充電しながら使えます。
こういったものは、ふだんから使ってみて、慣れておくことが大事です。いざというときに取扱説明書を見る時間がありません」(国崎さん)
ウォータータンク
コンパクトに折りたためるタイプを用意しておくと便利です。
「能登半島でも断水で多くの方が苦労しています。水を受けるものがなくて、給水車が来ても困る方が多かった。ぜひ用意していただきたい」(国崎さん)
キャリー(折りたたみ型)
避難生活では、水を運ぶために給水場と何度も往復しなければなりません。
「砂利道や階段を運ぶことも考えたキャリーを一緒に用意しておくと役に立ちます。こちらはタイヤの形状が特殊で、段差も楽々乗り越えることができるキャリーです」(国崎さん)
災害用携帯トイレ
「断水だけではなく、下水の損壊で水が流せないこともあります。便座に便袋をかけるタイプの災害用トイレを用意しておきましょう。
備える場合は、量が大事です。1日の排泄の平均回数は7、8回。その回数で家族の人数分を1週間分、用意しましょう。十分なトイレットペーパーとともに、必要量をしっかりそろえておきましょう」(国崎さん)
この記事は、明日をまもるナビ「新生活スタート ゼロから見直す防災」(2024年4月28日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。
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