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ゼロから見直す防災 どこに避難する?

2024年4月26日

新たな環境へと暮らしが変わる季節に見直したいのが防災対策です。もし災害が起きたらどこに避難する?1次避難、2次避難に、在宅避難など、詳しく紹介します。

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さまざまな避難方法

いざというときにどこに避難するか、どの場所で避難生活を送るかも重要です。

ニュースで避難生活が伝えられる際に、「1次避難」、「2次避難」、「在宅避難」という言葉が使われるようになりました。

1次避難、2次避難、在宅避難

1次避難」は、発災の直後、近くの避難所に身を寄せて生活すること。

2次避難」は、被災地から生活環境が整った旅館やホテルなどの宿泊施設に移って避難すること。

在宅避難」は、倒壊などの危険性がない場合、自宅で避難生活を送る方法です。

近年、国や自治体は避難所環境やプライバシーの問題などを含め、「在宅での避難」も選択肢として検討することを推奨しています。

しかし注意点もあります。

「避難所に行けば人数を把握されて、必要な物資なども手に入りやすくなりますが、在宅避難では、行政に避難者として認識されず、存在を確認することも難しい。必要な支援が受けられなかったり、遅れてしまったりするおそれがあります。また高齢者が、気づかれないところで体調を崩すこともあります」(危機管理教育研究所代表の国崎信江さん)

■「避難場所」と「避難所」の違い

ふだんよく目にする避難の案内図。「避難場所」と「避難所」の違いも知っておきましょう。

避難場所、避難所のピクトグラム

避難場所」は、一時的に命を守るために避難する場所。広い野球場や広場などが使われます。
避難所」は、災害で家を失うなどして他に生活する場所がない人たちの生活の場です。


支援が届きにくい在宅避難

在宅で避難生活をする人たちの把握は困難です。能登半島地震で、石川県は電話やLINEで居場所などを登録するよう呼びかけ、在宅避難者として登録された人はおよそ4900人。(3月末時点)
ただ、登録するのが困難な高齢者がいることが考えられるため、さらに多くの人が在宅避難を続けているとみています。

石川県 電話・LINEで居場所などの登録呼びかけ

在宅で避難する人には、避難所で生活する人より、支援が届きにくくなっています。

輪島市にあるこちらの市営住宅では、およそ20世帯が在宅避難を続けています。建物の被害は大きくありませんでしたが、断水が続いています。

輪島市にある市営住宅

棟の責任者の大塩政一(おおしお・まさかず)さんは、これまで近くの自主避難所に配給された支援物資を高齢の住民に届けてきました。

しかし、支援物資の配給先が集約される影響により、住民たちは買い出しに行く必要が出てきました。大塩さんは他の住民のことを心配しています。

「道路事情が悪い。おまけに買い物に行くにも遠い。私はまだ体が丈夫だし、水を運んだり、食料を運んだりできるが、みんなはどうでしょうね…」(大塩さん)

大塩政一さん

この団地で在宅避難している70代の母親と40代の娘は徒歩で買い出しに行っています。道路には砂利や亀裂が…。

「けっこうきつい。30分以上だし。精神的にきつい。余震で敏感になっているし」

徒歩で買い出しに行く母親と娘

市は無料の巡回バスの運行を始めましたが、本数が少ないため、徒歩で買い物に行かざるを得ないといいます。

無料巡回バスの時刻表
無料巡回バスの時刻表

在宅避難する人にどう支援を届けていけばいいのか。県はケアマネージャーを巡回させるなどして実態の把握を急いでいます。

この輪島市の市営住宅の断水と住民による物資の買い出しは、4月8日時点でも状況は変わっていないそうです。

「避難している場所によって支援にばらつきが起きることは、過去の被災地でも課題になりました。高齢者や福祉サービスの必要な人が多い地域では、ふだんからその生活実態を地域で把握して、災害時にどのようなことに困り、隣近所や地域がどう支援ができるのかを考えておくことが大事です」(国崎さん)


事前に避難先のことを考えておく

国崎さんは、あらかじめ被害状況を想定して、複数の避難先を考えておくことを勧めています。

「被災状況は起きてみなければわからない。家が無事だったとしても、暑い夏などに停電していたら、とても家にいられません。状況を見ながら、被災していないところに早めに避難することも検討すべきだと思います」(国崎さん)

Q.自分でホテルや旅館に避難した場合は、2次避難として認定される?

「まずは自分が困っている状況を自治体に伝え、居場所を考えてほしいと発信することが大事です。過去の事例では、多くの被災者が旅館に避難したことで、避難所として認められた例があります。みんなを誘って避難するというのも大事なことかと思います」(国崎さん)

Q.ペットとの避難はどうすればいい?

避難所などでペット避難の支援情報を確認できます。

「災害直後は自分の力でペットをケアしなくてはなりません。1週間もすると、一時預かりなどの支援の手が入ってきます。それまでの間どのようにするかを考えておくといいと思います」(国崎さん)

この記事は、明日をまもるナビ「新生活スタート ゼロから見直す防災」(2024年4月28日 NHK総合テレビ放送)の内容をもとに制作しています。

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