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なかやまきんに君の動画で、伝えたかったこと あなたの声には水害から命を守るパワーがある

2022年5月20日

本格的な雨のシーズンが迫り、水害への備えが必要な時期になっています。NHKでは「みんなで助かるために」をテーマに、なかやまきんに君出演の動画を2本作りました。いずれも東京で働くなかやまきんに君が、地元・福岡で大雨のおそれがあることを知り、家族や友人を想って電話をかける…という内容です。この動画で伝えたかったのは「あなたの声で助かる命がある」ということです。

・大好きなおばあちゃんへ(祖母編)

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なかやまきんに君のスマホに地元で「高齢者等避難」の情報が発表されたと、通知が届くところから始まります。 

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「高齢者等避難」は、高齢者や障害者、小さな子どものいる家庭など、移動に時間がかかる人に対して避難を始めるよう促す情報で、自治体が発表します。

きんに君は通知を確認すると、すぐに地元に住む祖母に電話します。

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「雨大丈夫?」すると、祖母は「たいしたことないよ」とあまり危機感が無い様子。きんに君は「避難の情報が出ているよ」と状況を伝えて避難を促します。

「高齢者等避難」の情報が出た時には、まだそれほど雨は降っておらず、中には「え?もう避難するの?」と思う人もいると思います。

ただ、時間が経過すると雨が強まって、避難が間に合わなくなることもあります。ですから、きんに君が「今のうちに避難してね」と声をかけているのはとても大事です。

情報が出た時は「早めに」ではなく、「今のうちに」と呼びかけてください。

・大切なともだちへ(友人編)

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友人編では地元のきんにく仲間とのグループチャットで雨が降っていることが話題になっています。

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そこへ地元で「避難指示」が発表されたとスマホに通知が届きます。

「避難指示」は、危険な場所にいる人は全員速やかに避難が必要だという情報です。

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心配になったきんにくんは、きんにく仲間に友人に電話をかけ、「久しぶり、雨大丈夫?」「外の道路は、どうなっている?」と聞きます。

この質問、実はとても大事です。

避難指示は自治体が発表しますが、過去の災害時には、自治体の発表が遅れたり、すでに状況が悪化してから発表されたりするケースもありました。家の周りが冠水しているような場合には、外に出て避難することがかえって危険なこともあります。

ですから「外の道路はどうなっている?」と周辺の状況を確認するよう促すことは、とても大事です。

過去の災害では避難中に犠牲になる人が相次いでいるので、もし「すでに冠水している」「道路が見えない」といった答えが返ってきた時には「逃げろ!」と言うのではなく、自宅の2階以上など少しでも安全な場所へ移動するよう促してください。

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幸い、きんに君の友人はそのような状況ではなかったので、「今、避難できるなら逃げろ」「浸かってからじゃ遅いぞ」と行動を促しました。

現場にいる人は「まだまだ大丈夫。浸水したら逃げるよ」と思っているかもしれませんが、周辺の状況が悪化したと気づいた時には既に手遅れで、逃げられなくなることもあります。

夜になってしまうと周囲の様子はわからずより危険になります。

「避難指示が出た時が逃げるタイミングだ」と伝えてあげてください。

今は、SNSでメッセージをやりとりすることが多いですが、あえて電話をすることで切迫感を伝えることができます。 

・あなたの声が命を救う

なかやまきんに君が電話で避難を呼びかける。

この動画を作ったのは「あなたの声が大切な人の命を救う」と伝えたかったからです。

4年前の7月に起きた西日本豪雨。災害関連死を含め、広島県、岡山県、山口県、愛媛県であわせて281人が犠牲になりました。

私は、大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町で取材をしている時に、全員が助かった地区に出会いました。この地区では、ある男性が近所に声をかけて回り、全員が避難して無事でした。声をかけて回った男性に「何と声をかけたら避難してくれたんですか?」と質問したところ、男性は「何と言って避難を呼びかけたかも大事だけど、誰が言うかももっと大事なんです」と教えてくれました。ふだんからの人間関係がある中での呼びかけだったからこそ、響いたのかもしれません。

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声かけが命を救うことにつながることを示すデータもあります。

NHKは西日本豪雨の発生直後に、被災した310人にアンケ―トをして「最初に避難するきっかけになったのは何か」を聞いています。

最も多かったのは
▽「周辺の環境悪化」が33.5%で最も多く
次いで
▽人からの声かけ(31.8%)
▽防災無線(7.4%)
▽テレビ・ラジオ(4.5%)でした。

つまり、3割の人は誰かに声をかけられて行動を始めたということになります。

あなたの声には大切な人を救う力があります。

・みんなで連絡して被害を最小限に

今回出演して頂いたなかやまきんに君。福岡出身で、もともと大雨の時には実家に電話をかけていたそうです。 

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「地元が福岡で小さい時から台風や大雨を経験しました。大阪や東京に出てからも大雨の時には『大丈夫?』と実家に電話していました。素晴らしい取り組みだと思ったので、僕をきっかけに知ってもらって多くの人に伝わったら良いなと思います」

実際に動画を撮影する中で、改めて電話することの大切さを感じたと教えてくれました。

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「TVで災害に関するテロップが出ても、「自分は大丈夫だろう」と思ってしまいがちだと思うんです。それよりも身近な人が本気で「大丈夫?」と言えば、大丈夫だと思っている人も「ここまで言ってくれるのだから準備しないといけないな」と思って準備するのではないかと思います。スマホに通知が来たらとりあえず情報交換するために電話することが大事だと思いました。みんなで連絡することで被害を最小限に食い止めることができるのではないかと思います」

NHKのニュース・防災アプリでは、3か所まで地域を登録できます。登録すると避難情報が出た時にプッシュで通知を受けることができます。下記を参考に登録をしてみてください。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/suigai/articles/6336/

・地域放送局版はこちら

(ネットワーク報道部 藤島新也)

 

 

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