美肌ホルモンは下半身の筋肉から!
美肌ホルモンは下半身の筋肉から!
横浜にある化粧品メーカーの研究所。研究員の錦織秀さんです。
2018年、化粧品研究者のオリンピックともいわれる世界大会である注目の研究結果を発表しました。
40代から50代の女性100人を調べた結果、 筋肉量と美肌に密接な関係があることを突き止めたのです。
「体重あたりの体幹及び下半身の筋肉量が多い人ほど、顔のシミが少ないという結果が得られました。」(錦織さん)
これは、頬の肌を撮ったその一例。
左の人は、下半身の筋肉量が多い人。右は、筋肉量の少ない人。
筋肉の多い人のほうがシミが目立ちません。
なぜ下半身の筋肉が多いと顔の肌がきれいになるのか。
錦織さんたちは原因を探りました。
そのなかで浮かび上がってきたのが、マイオネクチンと呼ばれるホルモンです。
マイオネクチンは、筋肉で作られます。
その主な場所は下半身。
実は、全身の筋肉の7割が下半身にあるためです。
このマイオネクチンがないと、シミの原因となるメラニン色素が多く発生します。
その状態を100とすると、このようにマイオネクチンの濃度が高くなるにつれ、メラニン色素の発生が抑えられたのです。
でも、下半身で多く作られているはずのマイオネクチンが、なぜ顔の肌をきれいにするのか。
錦織さんたちは、マイオネクチンがいったん血管に取り込まれ、血流に乗って顔まで運ばれるのではないかと考えました。
そこで顔の肌組織の顕微鏡写真を撮りました。
左側は、マイオネクチンを赤く染め出した画像、 右側は、血管を緑色で染色したものです。
この2枚を重ね合わせてみると色のついた部分が多く重なりました。
つまり、顔の血管の中にたくさんのマイオネクチンが存在していると考えられるのです。
「マイオネクチンという物質が筋肉から分泌され、それが血液によって顔の皮膚まで運ばれ、そこの皮膚でメラニンの生成を抑えることでシミを抑制しているということが明らかになりました。下半身の筋肉を使っている方は、筋肉から分泌されるホルモンの量も多く、それによって美しい肌が保たれているということが考えられます。」(錦織さん)
「実はマイオネクチン、別の研究班ではコラーゲンの産生を高めたり、肌の弾力を維持したり、肌のシワとかハリを予防するという、美肌効果がまだまだたくさんあるのではないかという研究が進んでいます。それから筋肉からは30種類以上の他のいいホルモンが出ていて、それらの中にはたとえば血糖値を安定させたり、脂肪細胞を早く燃焼したりという効果もあるのではないかと言われています。筋肉から出るホルモンによって美肌効果も上がるし、若返り効果も得られるだろうというのが今のトレンドです。」(宇山さん)