便秘解消の救世主!新・糖質"レジスタントスターチ"

2018年8月28日(火)BSプレミアム 午後10時00分~ 午後10時59分

サヨナラ便秘!新・糖質で腸美人


便秘解消の救世主!新・糖質"レジスタントスターチ"


皆さんが意識しているという食物繊維。
しかし、十分食物繊維をとっていると思っても、そこに落とし穴があるんです。


食物繊維が豊富なイメージの野菜は、実はほとんどが水分。
食物繊維の量は、意外に少ないんです。

きゅうり1本、100グラム中の食物繊維の量は、そのわずか1%、
1.1グラムです。

こちら、玉ねぎのおよそ半分100グラム中には1.6グラム。

そしてトマト100グラムの中には、1グラムです。

食物繊維が多そうなキャベツも100グラム中に1.8グラムしかありません。

ちなみに、成人女性が1日に必要な食物繊維は、18グラムです。


よくランチについてくる一人前のサラダと比べてみましょう。

もしこの18gの食物繊維をこれらの野菜ですべてとるとすると、
なんと、こんな巨大なサラダになってしまうんです。
総量1300グラム。

こんなにたくさん、食べきれないですよね。


そこで強い味方になってくれるのが、
糖質制限ダイエットで嫌われている炭水化物というわけなんです。

これらの食材の中にも、食物繊維がしっかり含まれています。

それだけではありません。
実は、この緑色の部分、ダイエットで憎まれている糖質の中に食物繊維と同じ働きをするすごい成分が含まれているのです。

それこそが、レジスタントスターチなのです。

その驚きのパワーをご覧に入れましょう。
岐阜大学教授 早川享志さんが実験で見せてくれました。

ネズミを3つのグループに分けます。
1つ目は食物繊維なしのエサを与えます。
2つ目には食物繊維ありのエサを与えます。
どちらにもレジスタントスターチは入っていません。

そして3つ目のグループには、食物繊維を与えず、同じ量のレジスタントスターチを与えました。

それ以外は、同じ栄養を与え、同じように過ごさせます。
そして3週間後、それぞれのフンの量を比べたのです。
その結果をご覧に入れましょう。


1日に出たフンを瓶に集めたところ、これだけの差になりました。

なんとこのボリューム。
レジスタントスターチでは、すごい量の便になったのです!

このレジスタントスターチの正体とは何か?
スターチは「でんぷん」。レジスタントは「難消化」。

つまり、でんぷんなのに消化されず、食物繊維と同じ働きをする糖質のことなのです。

例えば、100グラムの蒸したさつまいもの場合に含まれる糖質は30グラム、食物繊維は3.8グラムです。

この糖質のおよそ10%がレジスタントスターチです。

さつまいもを食べると、胃を通って小腸へ送られます。
ここで糖質やその他の栄養分は吸収されます。

消化されずに残ったレジスタントスターチと食物繊維は、大腸に送られ、
少しずつ食べかすなどを巻き込んで便になっていきます。

そして、カラダの外に放出されます。

「あまり気づいていないのですけれども、非常に有効な食物繊維素材としてこれから一般の皆さんにも普及していくことを、私は願っています。」(早川教授)

消化されず、お通じをよくしてくれるというレジスタントスターチ。
今、便秘の救世主として、大きな注目を集めているのです。

「先ほどのネズミの実験の写真の一番左、食物繊維をとってないネズミのフンは、黒っぽいですよね。あれは、黒いだけではなくて、かちかちなのです。真ん中の写真のフンは白っぽくて、しっかりしたうんちです。右側のフンは大きかったですよね。水分を多く含んでるので、実はやわらかくなっています。その分だけ排便をしやすくなっていて、お通じに優しいということです。それ以外にも、消化吸収を緩やかにするので、血糖の上昇を緩やかにし、それに伴ってインスリンの出方も緩やかになります。確かに糖質なので、食べれば血糖は上がります。しかしほかのものに比べて緩やかになるため、血糖の上昇は抑えられ、インスリンの出方も緩やかになりますから、脂肪がつきにくくもなります。」(早川教授)

レジスタントスターチは、ごはんや食パン、トウモロコシ、パスタ、イモ類などに含まれています。

スタジオで紹介した食品100グラムあたりのレジスタントスターチの量は、このとおり!

  • 白米(調理済)……0.1グラム
  • 食パン……1.2グラム
  • ライ麦パン……3.2グラム
  • パスタ(調理済)……1.1グラム
  • コーンフレーク……3.2グラム
  • とうもろこし(調理済)……0.3グラム
  • さつまいも(調理済)……2.1グラム
  • じゃがいも(調理済)……1.3グラム
  • ポテトサラダ……1.0グラム
  • いんげん豆(調理済)……2.2グラム

レジスタントスターチは、食物繊維と同じ働きをするということですが…

食物繊維には、水溶性不溶性の2種類があります。
食材によっても、水溶性が多い食材や、不溶性が多いものがあります。

「不溶性の食物繊維は、便の量自体を増やしますから、排便を促進しますね。ある程度のうんちの量ができないと、排便ができませんので、うんちの量を増やすのに役立っています。
水溶性食物繊維は、腸のぜん動運動を促進したり、うんちをやわらかくすることで、排便を促進する効果があります。実はレジスタントスターチの場合には、この水溶性と不溶性の両方の特徴を持っているというのが、非常にありがたいところです。」(早川教授)

レジスタントスターチの持つ水溶性食物繊維のパワーとは、何でしょうか?


そのメカニズムの解明に取り組んでいるのは、
理化学研究所 特別招聘研究員 辨野義己さん。

辨野さんが、これまで2万5000人の便を調べて追求しているのが腸内細菌の働きです。

「水溶性食物繊維というのは、まさに腸内細菌が喜んで食べ、発酵に持っていく1つの大事な手段だと思います。」(辨野さん)

腸内細菌が喜んで食べ、発酵に持っていくとは、いったい何のこと?

では、その様子をご覧に入れましょう。
これは腸の中を映像化した、コンピューターグラフィックです。

漂っている白いものは、レジスタントスターチや水溶性食物繊維。
それに取りついているのが、腸内細菌です。

その中でも今回注目すべき腸内細菌が、ビフィズス菌や酪酸産生菌という腸内細菌。
彼らは、便秘を防ぐ重要な物質を作り出してくれます。


レジスタントスターチに取りついた細菌は、盛んに白い粉のようなものを分泌しています。
それが便秘を防いでくれる短鎖脂肪酸です。


この短鎖脂肪酸の働きを実験で確かめたのは、立命館大学教授 桑原厚和さん。

桑原さんの行った実験は、ちょっと変わったものです。
ネズミにあらかじめ消化できない人工物を与えておきます。
この人工物、大腸の動きが活発になれば、フンとして押し出されます。

短鎖脂肪酸を与えなかったネズミは、1日の間に1個押し出したのに対して、
短鎖脂肪酸を与えたネズミは1日3個出しました。


「短鎖脂肪酸を多く作るような食物繊維を食べさせると、消化管の特に大腸での、健康を維持するために非常に重要だと私たちは考えています。」(桑原教授)

なぜ大腸が元気になるのか?

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は、大腸の筋肉を刺激することがわかってきたのです。


その結果、ぜん動運動が活発になるため、便秘解消の大きな力として期待されるのです。


さらにレジスタントスターチのおかげで腸内細菌が出す短鎖脂肪酸には、驚きの効果がありました。
訪ねたのは、東京農工大学 特任准教授 木村郁夫さんです。

木村さんが準備したのは、体重23グラムのネズミ2匹。

それぞれに、太って当然の脂肪たっぷりのエサを食べさせます。
ただし片方には、先ほどの短鎖脂肪酸を加えます。

2週間にわたって、2匹の体重の変化を調べると、このとおり!
短鎖脂肪酸を加えたほうだけが、同じエサを食べたのに、体重増加を防ぐことができたのです。

「短鎖脂肪酸は言いかえると、天然の腸内細菌が作る肥満を防ぐ天然の薬です。」(木村准教授)

そもそも肥満はどう起こるのか。

血液中を流れてきた黄色い粒が脂肪です。

この脂肪を細胞が取り込み、どんどん巨大化すること。それが肥満です。

ところが、血液中に短鎖脂肪酸があると、この脂肪の取り込みをブロックします!
このおかげで、脂肪細胞は巨大化せず、肥満を防いでくれる、というわけです。

こうしたありがたい短鎖脂肪酸をだす菌を育ててくれる重要なエサが、レジスタントスターチなのです。

NHKオンデマンド

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