傷んだ髪の成れの果て"空洞化"

2017年8月31日(木)BSプレミアム 午後9時00分~ 午後9時59分

秘策あり!美しき髪のヒミツ


<傷んだ髪の成れの果て”空洞化”>

誰もが憧れる美しい髪。手に入れたいですよね。
多くの人が「くせ毛」「うねり」「ダメージ」「細毛・薄毛」の悩みを持っているようです。
それは、日頃の間違った手入れが原因になっているかもしれません。

正しいシャンプーのやり方。そして、髪の乾かし方、ご存知ですか?
間違った手入れを続けてダメージを重ねてしまうと起きるのが、髪に白い線が入って見える、「空洞化」という現象です。
これを防がないといけません。

そこで、今回のテーマは、「秘策あり!美しき髪のヒミツ」
皆さんの髪の悩みを解決する新常識をご紹介しましょう!

まずは、髪の毛の中の様子を見ることができる機械でゲストの高橋真麻さんの髪をチェックしてもらいました。

髪の毛に、白い線が見えますね。
この白い線は、髪の毛の中に空洞があることを示しています。
空洞が増えることが髪の毛のダメージ、傷みを示しているのです。

 

空洞化はなぜ起きるのでしょうか。

髪の毛の構造を見てみると、3つの層に分かれています。
中心部は、髪の毛の芯に当たる「メデュラ」と呼ばれる組織。
それを守るように取り囲んでいるのが「コルテックス」という組織。
そして、一番外側が髪を守る要、「キューティクル」です。

 

このキューティクルは、健康な状態だと、うろこ状の細胞がぎっしりと敷き詰められています。
ところが、キューティクルがひどく傷つくと、ところどころ表面がめくれてしまったり、大きくはがれてしまいます。
この状態が空洞化を招くのです。

 

空洞化が進行していくのは、皮肉なことに髪をきれいにするはずの、洗髪のときです。

キューティクルがはがれた隙間から、髪の内部を構成する成分がどんどん流れ出てしまいます。
空洞化が進むと髪のハリやコシが失われ、切れ毛が増え、ツヤも失われていきます。

美しい髪になるために、よかれと思ってやっていることが、仇(あだ)となるのです。花王ヘアケア研究所の長瀬忍さんは次のように説明します。

「コルテックスの部分は、非常に丈夫な硬い組織ですが、メデュラの部分は、非常にやわらかい弱い組織ですので、コルテックスの部分が痩せてくると、それに伴って隙間があいていく。コルテックスの間にも、隙間に穴があいていくということが起きます。」(長瀬さん)

 

さらにやっかいなのは、空洞化は完全になおすことはできないということです。
そのことについて教えてくれるのは、順天堂大学先任准教授の植木理恵さんです。

「髪の毛自体は、ケラチンというたんぱく質の一種です。1回傷んでしまうと自分ではなおせない、生きていない組織なのです。これ以上傷めないようにするというのが大事です。(中略) 完全に戻ることはできないですね。ただ根元からきれいな髪を作れば、そこは全く空洞が起きていない髪ということになります。」(植木准教授)

新しく生まれてきた根元が、空洞化が進まずに伸びていくと、おのずと空洞化はなくなっていくということですね。


機械がなくても、空洞化が進んでいるかどうか、自分でわかるものなのでしょうか?

「それまであったハリコシがなくなってしまうとか、うねりがでやすくなるとか、スタイリングがしにくくなったり、いつも触ってる方は自分で自覚できると思います。」(植木准教授)

まずは自分の髪に空洞化が起きていないか、意識して触ってみるといいですね。



<シャンプーの秘けつは予洗い!>

6月中旬、日本武道館でヘアショーが行われました。全国から集まった美容師はおよそ1万人。
若手美容師の技量を競うコンテストがあったり、業界でもトップクラスのスタイリストたちが、その優れた技術を披露したりします。


美容師さんたちの楽屋を訪ねて、お客さんのケアで気になることがないか聞いてみました。
多かったのは髪の乾かし方。

「美容師の当たり前は根元をしっかり乾かすんですけど、お客さんは毛先を乾かしてしまうんです。」(桜井章生さん)

「濡れたまま寝るのが一番傷みがでます。例えば後頭部がすごい傷んでる方がいらして、多分見えてないところだからか、(自分では乾かしてるつもりでも)意外と乾かし漏れがあったりします。」(SAKURAさん)


そして、美容師さんたちが教えてくれた、髪を傷ませない洗い方の大切なポイントは、「予洗い」だといいます。
シャンプー剤をつける前にお湯で髪と地肌をまんべんなく濡らすことです。

予洗いが、なぜ髪を傷めない洗い方につながるのでしょうか。

答えてくれるのは花王ヘアケア研究所の後藤朱美さんです。



予洗いをすると、簡単にシャンプーが泡立ちます。
シャンプーの洗浄成分は、マイナスの電荷を持っていて、濡れた髪と地肌もマイナスの電荷を持っています。
両者がマイナスとマイナスで反発するため、予洗いをして、泡をしっかり立てれば、泡にくるまれた汚れや皮脂は強くこすらなくても、髪の毛からはがれやすくなるのです。

また、すすぎをよく行うというのも、大切なポイント。
実は現在流通しているシャンプーには、すすぎをよく行っても髪が傷まないように、洗浄成分だけでなく、コンディショニング成分も入っています。

コンディショニング成分は洗浄成分とは逆に、プラスの電荷を持っています。
このコンディショニング成分が働くのがすすぎのときです。
洗浄成分が洗い流されたとき、コンディショニング成分は髪全体を覆い、ダメージから守ってくれるというわけです。

たっぷり濡らして、たっぷりすすぐ。
髪を傷めないシャンプーの秘けつはお湯の使い方にあったのです。

百聞は一見にしかず。ということで、番組では、後藤さん自ら髪を洗いながら説明していただきました。具体的なやり方は「生活術」でご紹介します!

 

さらに、ここからは上級編です!
こちらは、モデルの宮本りえさん。

女性誌などで表紙を飾るなど、人気モデルの一人です。
実は、モデルさんは撮影やショーによって髪型をがらりと変えるため、髪にとっては過酷なお仕事なんだそう。
ところが、そんな宮本さんの髪をチェックしてみると、毛先の部分にも関わらず、白い線がほとんどありません。

 

どうしてこんなにきれいな髪を保てるのでしょうか。
そのヒミツは自宅でのケアにあるということで、特別にその様子を撮影してもらうことにしました!

 

自宅で、宮本さんが始めたのは、なんと入浴前のケア。
クッション性のあるブラシを取り出して、頭皮マッサージです。

「こちらまずペコペコやりまして髪の毛を少しずつ逆なでます。」(宮本さん)

頭皮マッサージで固まった頭皮を柔らかくし、血行をよくしたあとは、髪についたホコリや汚れを落としていきます。

髪に余分なものがなくなったところで、次に行ったのは髪の保湿。
宮本さんが使ったのは、アンズ油とレモン汁。自分で混ぜたものを頭皮と髪の毛全体に塗っていきます。

入浴前にこのような手当をすると、保湿力がかなり違うといいます。
1年ほど前からこの方法を続けているという宮本さん。
一度塗れば、3日ほど指通りがいい状態が続くそうです。

そして入浴後も丁寧なケアが続きます。
登場したのは、イノシシの毛で作られたブラシ。

これを使うと髪がサラサラになるという感触があるそうです。
さぁ皆さん、ご自分のケアと比べて、違いがあったはずですよね。

このケアについて、植木准教授にお聞きしました。

「すばらしいと思います。
すべてはマネできませんが、簡単に取り入れられるのは、シャンプーの前は髪の絡まりを取ること。(髪を洗う前に)ブラシをして、さらに頭皮を少しなでるようにブラシをして、汚れを浮かせたほうがいいです。
汚れはアブラにくっついて落ちますから、アブラをつけるというのは、より頭皮や髪の毛を傷めずに洗うことができます。ですから、荒れがちょっと気になるというというときにはなさるといい方法です。毎回でなくとも良いと思います。」(植木准教授)

スタジオでは、先生方にさらに美髪になるためのアレコレをたくさんお聞きしました。その内容は「生活術」でご紹介します!



<うねりを解決! カギを握るのは羊!?>

美容師さんには、髪の「うねり」のお悩みも多く寄せられるのだそうです。
多くの女性にとって、ヘアスタイルがまとまらないやっかいなしろものですが、「うねり」はどうして起こるのでしょうか。

 

世界で初めて解き明かしたのが、花王ヘアケア研究所の長瀬忍さんです。

長瀬さんは、うねった毛が増えていくと、スタイリングがまとまりにくくなるだけではなく、髪ツヤにも大きく影響するといいます。

「うねった毛が増えてくると、束が乱れるような形になってきます。束が乱れると1本1本(光の)反射の方向がバラバラになってきますので、その結果として束としてみたときにツヤが落ちているということがわかりました。」(長瀬さん)

ここで、長瀬さんが見せてくれたのは3つの毛束。
左から、うねりが0パーセント、5パーセント、10パーセント含まれるものを並べてみました。
右にいくほど、髪のツヤが失われていますよね。
わずかな差に思えますが、少しでもうねった毛があると、ツヤに影響がでてしまうのです。

 

このやっかいな「うねり」は、なぜ起きるのか。
大きなヒントとなったのが、なんと、「羊」です。

羊の毛は強く縮れていますよね。
この縮れは、毛の内部に存在している2つの細胞が関わっていることが知られていました。

下の画像は羊の毛の断面図です。
赤と緑で染色されたものは、毛を構成している2種類の細胞です。
2種類の細胞の分布は大きく偏っているのがわかります。

 

長瀬さんたちは、この2種類の細胞が、羊と同様に人にも存在するということを突き止めました。
人間の細胞を同じように染め分けたのが、下の画像です。


くせ毛の人は羊と同じように分布が偏っており、直毛の人は、左右対称のきれいな分布をしていました。

 

なぜ分布の偏りが毛を曲げることにつながるのでしょうか。
それは2種類の細胞で伸び方が違うからだといいます。

赤い細胞は縦に伸びやすく、緑の細胞は伸びにくい性質があります。
1本の毛の中で、伸びやすい赤い細胞が片側に偏っていると、毛の内部で長さに差が生まれ、結果曲がっていくということになります。

髪のクセの強さというのは、基本的にはこの2つの細胞がどのくらい偏っているかによって決まると考えていいようです。

やっかいなことは、こうした2種類の細胞の偏りが、年齢と共に増えていく人が多いということです。
長瀬さんは、10歳から70歳までの女性230人を調査し、年齢が高いほど、うねった毛が増えていくということを突き止めました。

さらに、うねりは髪の形にも影響されるといいます。
直毛の人の髪は真円に近い丸で、うねりのあるほうはだ円形に近い形。
この形の違いも、クセの出方に大きく影響すると、松崎教授はいいます。

なぜ、年齢と共に、細胞分布が偏り、うねった毛が増えていくのか。
その原因はまだわかっていません。

しかし、うねりは日常のケアで緩和できるというのです。その方法とは……!?

「今現在、日常のケアの中でできることといいますのは、髪の毛の乾かし方でうねりを目立ちにくくすることができます。」(長瀬さん)

具体的なやり方は「生活術」でご紹介します!

NHKオンデマンド

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