睡眠は最強のアンチエイジング

2017年7月13日(木)BSプレミアム 午後9時00分~ 午後9時59分

夏も快眠!眠りは美のメンテナンス


<睡眠は最強のアンチエイジング>

皆さんの若さを守ってくれる強力な物質がいま大きな注目を集めています。

その名は、「メラトニン」です。

主に脳から全身に分泌され、カラダをリラックスさせる効果があります。
分泌が多いほど、よく眠れることで知られていました。

その分泌量の変化をグラフにすると、日が暮れて暗くなると、さかんに分泌されていることがわかります。そのため「ダークホルモン」とも呼ばれてきました。

ところが、最新研究から、メラトニンのまったく違った役割が見えてきたのです。

 

用意したのは2つの植物の芽。水には、大量の活性酸素を溶かし込んでいます。活性酸素は細胞を攻撃し、老化を促進する悪者です。

 

その片方にだけメラトニンを入れて様子をみます。

すると、5時間ほど経つと、メラトニンを入れてない方の頭が垂れ下がってきました。活性酸素の攻撃で、細胞が老化し、全体がしおれてきたのです。

一方、7時間ほど経ってもメラトニンを入れた方は倒れませんでした。

つまり、メラトニンは有害な活性酸素を無毒化するアンチエイジングホルモンとして期待されているのです。

 

そのメラトニンの研究で世界をリードしているのが東京医科歯科大学教授の服部淳彦さんです。

服部教授によると、マウスやラットの飲み水にメラトニンを入れておくと、なんと寿命が1.2倍伸びたとか。しかも、同じ月齢のマウスに比べて毛並みがつやつやしていて免疫機能が高かったということが報告され、メラトニンがアンチエイジングホルモンとして注目されるようになったそうです。

では、睡眠不足でメラトニンが不足しがちな私たちも、アンチエイジング効果のあるメラトニンの量をもっと手軽に増やせないのでしょうか。そのカギは、服部教授の研究を見ているとわかります。

服部教授たちは、金魚のメラトニンを採取する作業中、照明を赤くしていました。
またあるときには、通常の蛍光灯、つまり、青い光(ブルーライト)にしていました。なぜわざわざ光を切り替えているのでしょうか。

「メラトニンは基本的には、青い光があたると下がってしまいます。むしろ赤い光はほとんど下がらないので、夜間は、ブルーライトがあたらないように赤色光を使っています。」(服部教授)

光の色で分泌量が変わるというこの性質を利用すれば、メラトニンの量を増やすことができます。
では、どちらの色の光をどう使うのでしょうか。

答えは意外なことに、青い光(ブルーライト)」です。

1日のうち、分泌の多い夜に青い光を当てると、メラトニンは減ってしまいます。しかし、はるか前の日中の間にきちっと浴びると、その効果は逆転、増えるというのです。

朝、午前中に日の光を浴びる、外に出るのが一番
すると午前中のメラトニンが抑えられることへのリバウンドのように、夜メラトニンがあがってくる。
例えば、会社へ行くときもできたら近くの駅から乗るのではなくて、1駅歩いて、日の光を浴びて、次の駅から会社へ行くのも効果的でしょう。」(服部教授)

メラトニンが出ている夜に、青い光を当てるのはよくありません。
ブルーライトは不眠の原因の1つ。メラトニンも出づらくなります。
浴びるなら眠る10時間以上前
若さを保つ睡眠は24時間サイクルの中の仕組みをうまく利用するのが極意なのです。

 

でも、外にいると紫外線で日に焼けるのが気になる……という女性も多いですよね。日当たりのよい室内にいるのではダメなのでしょうか……。

「基本的に外に出ないと、高い照度の光を浴びることはできません。
曇りでも外に出たほうが、日のあたる窓際よりずっと照度は高いのです。」(水野さん)

やはり少しでも外にいる方が効果的ということですね!

また、身近なところでブルーライトを出す機器の代表といえば、パソコンや携帯電話、そしてテレビも。寝る間際まで携帯電話をいじっているのは、やはりNGだそう。

 

古賀教授の実験では、携帯電話を、寝る1時間前まで見ることを4日間続けると、途中で目が覚めやすくなり、明らかに睡眠時間が短くなったそうです。最低寝る1時間前には携帯を見るのをやめるのがオススメだそうです。

 



<意外なところにメラトニン>

どんな動物でも眠ります。
ライオン、キリン、わかりづらいですが魚も……。
こうした眠る生き物のカラダの中で働いているのがあのメラトニンです。

 

それでは、この地球上で、最初にメラトニンを作った生き物はなんでしょうか?
実は、その有力な候補が今の地球にも生きていると言います。

浅瀬に住む細菌の一種、「シアノバクテリア」
地球史上、初めて光合成を行って酸素を作り出した生物と考えられています。

 

シアノバクテリアの作る酸素の一部が、活性酸素となり、ダメージを受けるようになりました。そこでメラトニンを作り出し、そのダメージを防いだのではないかと生物学者の服部教授は考えています。

「フリーラジカルや活性酸素は、様々な病気の原因や、悪化の要因になります。もしそれを防いでくれれば病気の予防や、あるいは進行がある程度止められるのではないかということです。
それをずっと太古から今まで多くの生物はそれをその効果を享受してきたと考えられます。」(服部教授)

いま、そうしたメラトニンのパワーを、新たに利用しようという研究が始まっています。

山口大学の准教授で不妊治療のスペシャリスト、田村博史さんです。

田村准教授が注目しているのは、卵巣のメラトニンです。
卵子の周りの白い部分には卵胞液が詰まっています。
ここに、メラトニンが高濃度に含まれていることがわかったのです。

[提供:田村博史さん ※マウスの卵巣写真]

 

田村准教授は、メラトニンが卵子の周りにたくさんある理由を、老化防止だと考えました。

「卵子の酸化ストレス、つまり、活性酸素による酸化ストレスをメラトニンで防ぐことができるのでは」(田村准教授)

そもそも、体外受精の妊娠率は年齢と共に下がります。その原因の1つは、卵子の老化だと考えられています。

その老化を少しでも食い止めるため、メラトニンを利用できないか。

 

田村准教授は10年ほど前に臨床試験を実施。体外受精を一度は失敗してしまった患者さんにメラトニンを服用してもらいました。

ひと月後、およそ20%に止まっていた体外受精の確率は、メラトニンの服用によって50%に上昇したのです。

 

 

そもそも最初は、30億年以上前の微生物が作り出したというメラトニン。
それがいろいろな生き物を経て、いま、人工授精を助けるものとして、生かされようとしています。

まだまだ研究段階ですが、メラトニンには新たな可能性が見えてきているのです。

山口大学医学部付属病院では、現在もメラトニンの臨床研究を重ねています。詳細は、山口大学医学部付属病院へお問い合せ下さい。

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